店が出そうとしているシマ
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以前、台選びは可能な限り多角的視点で見ることが大切だと書いた。これは狭義の意味では、前々回から書いている様々な比較のポイントやデキ読みを駆使して多角的判断を加えていくということ、つまりシマ単位などでその時の一番優秀台だと思われる台を選んでいくということになる。ただし注意点として、導入から概ね2ケ月以上経過し、ある程度レベルを把握している台であることが望ましい。その理由は後程触れることにする。


先ほど敢えて狭義という言葉を使ったのだが、では広義の意味ではどういう視点が必要になってくるだろうか? 昨年11月に導入された「聖闘士星矢」と「ルパン三世」を例に話を進めたい。

この2機種はMAXタイプであり、10月に導入された同じMAXタイプの仮面ライダーV3が10万台近い販売を記録した煽りを喰らったのか、メーカーの期待も大きく共に大型版権であったが、設置台数的にはメーカーの思惑ほど伸びなかった。

しかも聖矢とルパンが導入された時点ではまだライダーが高稼働を維持していたため、ホールとしてはこの2機種よりもライダーの長期稼働を期待することになる。それは当然の話で、導入台数がライダーの方が圧倒的に多いのだから仕方ない。

ライダーのような大量導入台は、他店との競合の関係で導入当初は比較的甘めに使い、客への還元率を高める(勝たす)印象操作を行う場合がある。初めて打った台で勝てれば誰でも気分は良いだろう。そして、打ち手は少なからずこの印象に引っ張られるもので、ホールの状況が悪くなったとしても、「●●店で勝った」という良いイメージがホールに客を呼び寄せるのだ。これが「お客を育成する」とホールが呼ぶ行為だ。まぁ結局は自分達の利益のためなのだが…。


それはともかく、そんな時期に導入を迎えたのが上記の2機種である。共に過去の実績がある機種の後継機であるが、ライダーがこのような状況にある中、いきなり甘めに使ってくるホールがあるとは考えにくい。やや渋めの調整にして早めに機械代回収を進めつつ、人気が出るかどうかの様子見をしていたホールが多かったように思われる。現に釘の見た目は、到底打ち気をそそるようなものではなかった。

しかも星矢はゲーム性が難しかったのか人気が持続しなかった。そもそも状況的に期待しにくい環境の中、さらに導入直後にそんな姿を晒されてしまっては、後にホールが本気の開け直しを仕掛けるなんていうことはまず考えられない。ホールもチェーン店など横の繋がりから、他店でも人気がないのが分かってくればダメ押しだ。

イベント規制中の現在、新台入替が唯一の集客方法ともいえ、これは店長たちの生命線と言っても良いだろう。しかしそれはそれ。一般社会でもダメのレッテルを貼られたものに投資する人はまずいないのだ。特にパチンコ台の場合、不人気台が人気を盛り返したなんていう話は聞いたことがない。すると、人気がないからホールはアケない、アケないから客は打たない…そんないつものダメスパイラルに突入し、容赦なく見捨てられていくのである。

逆にルパンの場合、渋めの調整にも関わらず客が次から次へと打つという好循環に見舞われた。聞いた話では、演出の期待感の持続性が抜群に良いらしい。また、サブキャラにも個性的で主役級がズラリということで、こういった点も高評価を後押ししているとのことだが、いずれにせよこのような高稼働状態になると、星矢とは真逆の現象が起こる。

ホールが釘をアケだすのだ。いくら今が高稼働でも今後もそれが続く保証などないのだが、明らかに人気のある台の稼働が落ちるというのはそれなりに原因がある。他にさらに強い人気機種が出る、もしくは客が「この状況では勝てない」と冷静になってしまうか、などだろう。

そこでホールは高稼働を維持する方策として、もしかしたら勝てるかも!? と思わせる程度の状況を作るのだ。つまり、ちょっとずつ負けてもらおうと画策することになる。もちろん、ちょっとずつ負けてもらうなんていう都合の良い調整はできないので、サービス台を増やしたり全体の調整を甘くすることになる。これが功を奏せばさらに稼働は上がることになり、甘くした分は十分に埋め合わせができるのだ。長期稼働のリング2などはこのようにして人気台となり、その後もそれなりに甘く使われていくことになる。

機械代の回収(概ね導入から2ケ月後)が終わってもなお高稼働が続くようであれば人気も本物。そうなれば既述の好循環に持ち込める可能性が高くなるわけだが、ここ最近で言えば、まさにルパンがそれ。つまり、ついにルパンが長期稼働を意識した本格的な開け返しが行われ、ついにサービス対象台となり打ち頃を迎えるかも知れないのだ。


ホールのサービス対象台とは、簡単に言えば勝てる台を提供してくれるということ。パチプロであっても好きな台を打ち続けて勝ち続けることは困難なのだが、"店が出そうとしているシマ"を見抜いて立ち回っていれば、常に甘い状況で打ち続けることができるため、勝利を重ねていくことが可能となる。例えそれが非常につまらない修行系の台であっても、お遍路さん的に言えば、"お接待"として有り難くホールのおもてなしを頂戴しておけば良いのだ。

ちなみに、ルパンのような人気台は中古台市場の価格指標に顕著に現れるということを覚えておいても良いかもしれない。価格が高騰するか高止まりするのだ。更に需要が増すとメーカーが増産し新セルを伴ってホールに登場させる場合もある。最近では、羽根物のデビルマン倶楽部の例があったが、このルパンも年明けからメーカーの増産が始まり、今では兄弟機を含め7万台近くまでシェアを伸ばしたなんて話も聞こえてくるが…。


ここからマイホールでの実戦例を紹介してみたい。これは若干コアでジグマならではの話である。

ある時、仮面ライダーV3がシマ単位で普段より大幅に釘が開いた。当然、それに気がついた勝ちたい連中が殺到して打つことになる。15台のシマなので、2台程度はそれなりの爆裂状態に入るが、その他の台がサッパリ出ないのだ。

夕方を過ぎ1000回ハマリの台が幾つかあり、大当たり回数も一桁の台が乱立した。普段より回転率が良いから、客もそれに負けじと打つ。しかし結局、大幅にその時は客が負けた。要するに、シマ単位で客が不ヅキを喰らったのだ。これは一言で言えば確率の成せる業なのだが、ホールとしてはサービスしようとしたのに想定以上の利益が出たということで、特に嬉しいわけでもないのがポイントだ。


余談ながら、本来シマ単位で大幅にアケた場合は夕方頃に大勢が判明する。理由として、打っている客が普段からの勝ち組が多い、また、大当たり回数が普段以上に伸びているということが挙げられる。例えば、大当たりに振り分けがなく、終日20回の大当たり獲得で勝てるという機種があるとすると、18時頃にはシマ平均ですでに15回前後の当たりを獲得している状況になる。これは"平均"というのがキモで、平均でここまで回数が伸びているというのは、まさにサービス台だったために稼働がアップしているからに他ならない。夕方から参戦の読者様は是非参考にしてほしい立ち回り方の1つだ。


ライダーの話に戻ろう。次の日、釘はややシマった。それを確認してスルーする人もいたが、わしはこの程度なら昨日大幅に開いたことを考慮し、まだ勝負になると読んだ。まあ、台毎の個体差や腕の差により回転率に差が出るのが当然なのでスルーすることも仕方ないが、何はともあれ腕の良いライバルが減るのは歓迎すべき状況だ。

だが、この日も同じようにシマ単位で見れば客側が負けた。そして次の日もまた更に釘はシマったのだが、わしはまだ打てると読んだ。他のシマの調整を見てみてみると、やはりライダーのシマが"店が出そうとしているシマ"だと確信できたからだ。

なぜなら、他のシマは普段より釘を閉めている台も確認できたのだが、我がライダーは前々日の大幅なアケからはシマっているとはいえ、普段と比べればまだまだ甘い状況だったからだ。そうであれば、他のシマよりもライダーの中からデキ良し台を選ぶことが正解への近道となる。案の状、その選択は正しいものとなった。さすがにこの日は客側が大きな勝利を収めたため、その翌日の釘は普段よりも厳しくなり、そうして今回のライダー祭は終了となったのである。


毎日のようにある台の釘を見、店全体の調整から優秀台を特定するのは台のレベルを知っているジグマならではだといえる。ハッキリ言って、知らない店で、調整から回転率の推測は可能でも、打ってみないと調整のクセやキモは何も分からない。その把握までに何気にカネがかかる。通う店が多ければ、その分、デキを把握するまでの投資が必要となってしまうのだ。わしはこれをムダな行為だと考えている。ムダを省くとジグマに行きつき、しまいにはわしのようになってしまうという寸法だ。

別にお薦めしませんが、ジグマというのは、分かりやすい時には何も迷いが生じない良いスタイルだと思いますよ。