最後の「最後のシ者」
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※パチンコ必勝本DREAMS2010年9月号に掲載されたものを加筆・修正しています


先日、東京からやってきた学生時代の友人としばし楽しいひと時を過こしたのだが、そこで遂に私の今の職業をバラしてしまった。

案の定、パチンコ嫌いの彼は驚いた表情を見せたが、そのあとで「体だけは気を付けろよ。そして一刻も早く他の仕事を見つけろよ」と慰められてしまったのだ。

彼に言わせれば、パチンコ店はまともな人間であれば絶対に行くべき所ではないらしく、「パチンコ店内は掃き溜めだ」と言っていた。ちょっと言い過ぎだとは思うが、彼が言っていることの全部を否定はできない。

私のパチンコ歴は30年を優に超えるが、最近急速に視力と聴力が衰えてきた。これは歳のせいもあるかもしれないが、友人が言うようにパチンコ店内で長く過ごしたツケが回ってきたのだと思っている。


私はパチンコ打ちを専業にしてから13年目へ突入してしまったが、その間、同業たちの顔ぶれはだいぶ変わり、気付いてみれば10年以上前からの古い付き合いの同業は片手で数えられるまでになってしまった。

彼らは一様に腕は良かったので、ヤメた原因は収支的なものではなく、ほとんどが精神的なものだ。一生懸命働いて結果を出しても誰も褒めてくれず、それどころか他の客から妬まれ、店からも嫌われてしまうのだから始末が悪い。

それでもコンスタントに稼げればまだなんとか耐えられたのかもしれないが、悪いことにパチプロの平均収支は年々確実に下降線を辿っている。


以前このコラムにも書いたが、5年以上前、「日当3万円以上の台がコンスタントに打てるのなら、ヤメることはありません」と言っていた優秀な同業のS君を最近見かけなくなったので、どうしたのかな? と思っていたら、見事に転業していた。

一応彼は「日当2万円くらいの台しかなくなったら、その時は我慢して打ちます」と言っていたが、恒常的に3万円以上の台が打てなくなり、予想していた状況に直面した途端、精神的に耐えられなくなって見切りを付け、リタイアを決意したのだろう。ただし長い目で見れば、まだ30代の若い彼にとっては良い選択だと思っている。

それに引き換え私はというと、当初10年でヤメようと決めていたのにも関わらず、ズルズルとまだ今の状態から抜けられない。ヤメなかった理由を挙げれば色々あるのだが、いずれにせよヤメていないという現実が全てである。

人生最後の仕事がパチプロなんてことになったら、あまりにも自分が惨めだ。なので一刻も早く俗世への転職を、という思いが日に日に強くなっているが果たして…。


6月下旬某日(雨)
私が住むみちのく仙台は、毎年梅雨時になると山背というオホーツク海方面からの冷たい北東風が必ず何回か吹いてくる。そのため、夏を目前に控えた時期でもたまにストーブが欲しくなるほど冷え込むのだ。

ところが今年は6月に入ってからは未だに寒いと感じられる日がなく、例年より雨は多いものの、蒸し暑い日が続いている。おかげで趣味で飼っている虫の成長が早まり、例年より半月ほど早くクワガタなどのブリードが始まった。おかげで最近は連日午前2時過ぎの就寝である。

しかもこのところ連日遠方の店へ行っているので、朝は遅くても7時前には家を出ており、日中は睡魔との戦いに明け暮れているのだ。


今月も残すところあと数日だが、先月2週間以上も休んだ穴埋めに月初めからほとんど休まずに稼働し、久々に月の稼働時間が200時間を大幅に超えてしまった。

おかげでかなりの寝不足であり、それを解消するためにも今日はオフにしてもよかったのだが、8月に北海道へまた昆虫採集旅行を計画しているのでそのための資金が必要であり、少しでもアテがある以上は行ってみようと決意し、7時過ぎに宮城県中部のE店へと車を走らせた。


それにしても本当に状況が厳しくなった。昔は8時半過ぎに家を出ても余裕で日当3万円オーバーの台を打つことができたのだが、今は早朝に出発して入場抽選をクリアし、狙い台の釘が開いてたとしても、せいぜい日当2万円位の台しか打てないとなればテンションは上がらない。

しかも以前より波が荒いので、仕事量が3万円あったとしても、10万円以上負けることも珍しくはなく、反対に10万円を遥かに超える爆勝ちもありえるのだが、これだけ勝ち負けの幅が大きいとまさに博打そのものである。

前述のS君のように、古き良き時代に当たり前のように優秀台を打っていた人たちにとっては、勝負ラインギリギリの台での博打は耐え難いものに違いない。


さて、これから行くE店の狙い台はエヴァ最後のシ者である。今日は今月最後のメインイベントの日であり、エヴァがサービスコーナーになっているのだ。もし普通に釘を開けてくれさえすれば、少なくとも打てる台は3台あるはずだ。

7時45分過ぎにE店到着。月末の日曜のメインイベントの日とあれば当然のことだが、この地域の人気店E店の駐車場にはすでに多くの車が停まっている。

その後も次々と車が入ってきて、入場抽選が始まる8時にはおよそ50台くらいの数になっており、最終的には70人くらいの人が集まった。


余談だが、E店は昔からこの地域では1~2を争う人気店で、5年以上前は休日ともなると朝イチから常に200人前後の人たちが来ていたものだ。それに比べると、やはりパチンコ人口は確実に減っているのだろう。

抽選の結果、私は51番と後ろの方だった。もしこれがE店の人気機種の沖海2や某新台だったらちょっとピンチだが、間もなく新しいエヴァ始まりの福音が入ることもあり、エヴァへ行く人は比較的少ないだろうと予想した。

しかも狙いの台は3台あるので、まさかその内の1台もゲットできないなどとは思えなかった。ただし、なくなる寸前の台の釘を開けてくれるかは疑問だったが…。


8時20分、エヴァのシマの釘が開いていて無事に狙いの台が取れることを祈りながら入場した。エヴァへ行く前に、まず新台の某機種の前を通ったが、やはり9台と数が少ないので、すでに全台に台取り券が置いてある。

次に沖海2のシマを見ると、さすがに台数が多いので、まだ半分も客がついてない状況だった。


さていよいよ問題のエヴァは…と思いながら辿り着いたが、なんと先客はたった4人で拍子抜けしてしまった。

しかも狙い台は全部空き台で、おまけに前回のイベント時よりも確実にへソが広く、かといって帳尻を合わせるような他の部分のマイナス調整もなさそうだ。

もし見た目通りのクオリティなら、高換金のこの店において久々に期待値3万円オーバーの仕事量をこなせるかもしれない。しかし実際打ってみるまでは安心できないのだ。現に過去、他の機種で釘以外のある部分を変えられて使い物にならなくなったことが何回かあった。


8時半打ち出し開始。最初の1000円で27回転、この店のエヴァは何度も打っており、この台のクセとへソの開け幅からして、釘以外の何かが変わっていなければ、1000円あたり23回転くらいと踏んでいたので、これは上ムラだろうと思った。

案の定、1万円を使い切った時点で233回転と、ほぼ予想通りの回転数に落ち着いてきた。ただ状況が厳しい現在においてはお宝台と言えるだろう。

今月は稼働時間の多さでなんとか仕事量のノルマを達成したが、日当3万円オーバーの台はそう打ってないので、今日は当たろうがハマろうが時間まで1回転でも多く回そうと肝に命じた。


そう考えていた9時23分。投資1万1000円、247回転で突如画面真ん中に指が…と思った次の瞬間、初号機が画面を切り裂き、7が揃う。なんの前触れもない、いきなりのサプライズに驚いた。

そしてこれが10連チャン。まあ冷静に考えれば、この店の換金率は限りなく等価に近く、持ち玉遊技でのメリットはほとんどないので、この後ハマっても、いつも打っている換金ギャップが大きい店のようなありがたみはあまりない。とはいえやはり早い初当たりでの大連チャンは嬉しいものだ。


ところがその喜びも束の間、次の初当たりがなかなかやって来ない。そして14時20分過ぎ、この手の機種では日常茶飯事の1000回転ゾーンへと突入してしまい、結局大当たりが来たのは15時前、1126回転での2R確変だった。しかもあっけなく単発で終了…。

一時は14000発以上あった持ち玉も3分の1以下に減っている。やはりパチンコは1日を通してみると必ず波があり、なかなか一筋縄ではいかないものだ。この後また1000回以上ハマるのか、それとも早い初当たりで連チャンするのかは神のみぞ知ることであり、私の選択肢は時間まで打ち続けること以外にない。

だが1つ不安があった。それは連日の寝不定による睡魔の襲来だ。しかしその不安は15時35分、画面中央に何気なく鎮座している4号機の出現によってひとまず解消される。

これは2R確変1回を含む4連チャンで終わったが、その後は運良く大ハマリはなかった。そして眠気が来るごとにタイミング良く初当たりを引くことができ、22時55分、終わってみれば41回の大当たり(2R確変5回を含む)の大勝利で稼働を終えることができた。


帰り際、明日の12時開店でエヴァ始まりの福音が入ると店員から聞いた。つまり、この店で最後のシ者を打てるのは今日がラストということだったのだ。そんな日に優秀台を打ち、ホームランで有終の美を飾れたことを感謝して帰路についた。



投資…11000円
回収…33975個
大当たり…41回



顔を出している誌上プロはタレントだ

先日、名古屋の同業の友人と話をしたが、当地には先行導入の新台を打ちに、よく誌上プロが訪れるとのことだった。そして友人は「マナーはいいですね」と彼らを褒めていた。とにかく台を叩くとか無礼は絶対ないし、姿勢も良く、タバコも常に気を遣いながら吸っていて、サインにも気軽に応じてくれるそうなのだ。

私に言わせれば、誌上に顔を出している同業はタレントである。ゆえに変なことは絶対にできないのだ。ちなみに私は隣の人に「魚群は何回目?」と聞かれてもだいたい無視してしまうので、絶対タレントにはなれないと思っている(笑)。