久し振りで「ナイト」に変身
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※パチンコ必勝本2009年7月号に掲載されたものを加筆・修正しています


4月下旬某日(晴)
もうすぐゴールデンウィークがやって来る。私も若かりし頃は普通の会社員だったので、連休が近くなるといつもワクワクしていたものだ。しかしこの仕事をするようになってからは好きな時にいつでも休みが取れるようになり、暦を見ても喜怒哀楽はあまり得られなくなった。

今月は3月に引き続き、仕事量・収支ともに調子が良く、今朝は特にこれといったアテもないので、今日あたりから人並みに連休を取っても良かった。もしETC優遇制度がなかったら迷わず西日本へ車で旅立っていただろう。

後で分かったことだが、ゴールデンウィーク中、主要高速道路の至る所で大渋滞があり、家族連れの人たちは大変だったらしい。よって旅行延期は大正解だった。


しかし昨日、1軒目がダメで立ち寄ったE店のイベントがいつもと違い、釘・出方ともにお祭り状態で、久し振りにファフナー以外で日当5万円オーバーの優秀台を打つことができたのだ。もしかすると釘が据え置きということも考えられるので、とりあえず昨日に引き続き、早起きして遠方のE店へ向かった。

8時に入場抽選が開始されたが、集まった人数は昨日の半分以下の30人ほど。今日も釘を開けているとすれば、前日と同様に特定の機種のシマ全体を開けるのではないかと予想した。昨日の海系の釘が据え置きだったら言うことないのだが…。


8時15分過ぎ、私は20番台後半で入店。淡い期待を持って海系のシマを覗いたが…予想通り、柳の下に二匹目のドジョウはいなかった。どうやら全台一律にヘソが閉められたようで、やはり昨日は常連のための特別なゲリライベントだったようだ。

ただし先週のガセイベントに比べれば程度は良く、平常よりはずっと良さ気な調整に見受けられた。しかし、デキの良い台でも使えるかどうかはギリギリのところだろう。

とりあえず前日打った大海SPの1台をキープ。間違っても昨日のように1000円28回転オーバーなどということはないはずだが、換金率からして23回転あればなんとか仕事になると踏んでいた。


8時半、打ち出し開始。最初の1000円で18回転。たびたびこの店を訪れている私は、海の島の台のデキをある程度把握しており、この台はもっと回るはずだと確信して打ち続けた。

思った通り2000円、3000円と投資を重ねることに徐々に回転率が上がり、4000円を打ち切った時点での回転数は94と良い感触になってきた。

ただここでヘソ以外で一ヶ所、よく見ないと分からないが、前日とは違う調整に気付く。そのせいかどうかは分からないが、再び回転率は失速してしまった。他の優秀台の存在を知らなければもう少し粘るところだが、ひとまずここで別の台を試してみることに。


向かったのはアグネス・ラムの気になる台。この台は最初の台と違って、例の部分のマイナス調整はなかったが、やはりヘソ幅が少し足りないのか、これも5000円で114回転しか回らなかった。まあそれでも時短中の玉増が若干望めるから打ち続けてもなんとかなりそうではある。しかしここであることを決心した。

実は今日一番打ちたい台が大海SPのシマにあり、しかもそれがまだ空き台だったので、今度こそ打とうと思ったのだ。何故そのような状況かというと、私より前に入った2人の女性が一番打ちたかった台の両隣を陣取ってしまったからだ。

仮に昨日のように賑わっていれば迷わず第1候補の台へ行っただろうが、今朝このシマに入った時点では全部で5人しかおらず、しかもその内3人が並んで座ったのではあまりに目立ってしまう。そう考えて泣く泣くパスしたのだった。

たまたま今月は調子が良いが、こんな立ち回りをしていたのでは後で必ずツケが回ってくるのを長年の経験で悟っており、反省しながら例の台へと移動した。


大海SPの広いシマは先程よりは少し人が増えたものの未だガラガラで、しかも彼女たちの台は確変中。どうりでその中間の1台が空き台だったわけだ。普通の人の心理として、両側の台の調子が良ければその間の台を好んで選んだりしないもの。ましてシマ内はまだまだ空き台が残っている。

案の定、その台に座ろうとしたら好奇の視線を投げかけられた。しかし私はこの台に対しては何の心配もなかったので、彼女たちの視線など一切構わず打ち出した。

実際打ってみると、これまでの2台とは別物のような感じで、玉が面白いようにへソに吸い込まれていく。最初の1000円で36回転。上ムラではあったが、以前からデキが良いと目をつけていたのが間違いないということを確認した。ただ不安があるとすれば、最初に打った台と同様の気になる部分の不思議な調整であった。


その後さすがに回転率は落ちてきたが、それでも3000円打ち込んで91回転で終日勝負は濃厚だ。そして次の500円分の玉を上皿に流した直後に本日初めての魚群が画面を横切った。すぐに両隣の女性の目がこちらを向き、直後に2人とも頷いた。

こういう時、好意を持ってくれるのは有難いのだが、ハズれてしまった時に逆に気を遣ってしまうので、正直無視してもらった方が気楽である。もしアマチュアの頃だったら間違いなく私も何らかのお返しのアクションをしていたと思うが、現在は基本的に店内で自分から他人へリアクションすることはない。よって無表情を決め込んだ。

この時初めて仲間同士であろう2人の顔をマジマジと見たが、左隣の女性には見覚えがあり、この店の常連だということが分かった。しかし問題は右の女性だった。この店では初めて見る顔だが、学生時代に付き合った女性に実に良く似ていたので、一瞬ドキッとしてしまった。彼女のことは今でも大好きで、妻には申し訳ないが青春時代の良き思い出として心の中に大切にしまってある。はっきり言って私のタイプの女性なのだ。


最近は仕事中に女性に心を奪われることなどなかったが、今は心中おだやかでなく、パチンコどころではなくなっている(笑)。ドキドキしながら(もちろん大当たりではなく彼女のことで)画面を見つめていると、4のサンゴ礁リーチで当たり、昇格スクロールで確変大当たりとなった。

直後に2人とも今度は笑顔で頷いてくれた。特に右側の女性の微笑は心底嬉しく、こちらも笑顔で頷きたかったが、無表情で無視したばかりであり、都合が良すぎるのでリアクションできない。ただし、できるだけ嫌われないように温和な表情は作った(笑)。


この確変は3連で終わったが、間髪を入れず次の当たりも魚群から125回転でやってきた。この時初めて左側の女性が話しかけてきた。どうも私が大当たりごとに携帯でデータを採っているのを見て、それを確変セグを確認しているのだと勘違いしたようで、「私のはどっちかしら?」と聞いてきたのだ。

本当は左側の女性はどうでも良かったのだが(笑)、右側の女性の心証を悪くしないように、とりあえず「携帯で調べれば分かりますよ。俺はいちいち見ませんけどね」と当たり障りなく言った。

その後も私の方は初当たりが早く、数珠連状態が続き、いつの間にか両隣の出玉を追い抜いた。そしてその間、左側の女性はたびたび話しかけてくるようになったが、その都度丁寧に応対した。しかし意中の女性は一向に私へ話しかけてこない。


ところが11時過ぎ、思いがけないことが起こった。右の女性が席を立った数分後、何本かの飲み物を持って戻ってきて、1本を左側の女性に、そしてまだひと言も口をきいていない私にもう1本の缶コーヒーを差し出し、「どうぞ飲んでください」と笑顔で話しかけてきたのだ。

これには驚いたのと同時に天にも昇るほど嬉しい気持ちになってしまった。とにかくチャンスが到来したのだけは間違いない。これを逃したら今度いつ話ができるか分からないので、ここぞとばかりにマジマジと真正面から彼女を見つめ、意識して一瞬戸惑ったような表情を作った(笑)。

そして思い切り格好つけて、もちろん標準語で「あーせっかくですからいただきます。どうもありがとうございます」と精一杯の笑顔を作って彼女に話しかけたのだった。

この時、私はすっかり「ナイト」になりきっていた(笑)。その後も早い当たりを引き続け、ときどき左の女性が話しかけてきたが、右の女性は相変わらず私の魚群や大当たりに頷いてはくれるが話しかけてはこない。


ところがここで肝心な回転率が失速しっぱなしであることに気付いてしまった。当たりが早いのでまだ1回分の出玉でどれくらい回るかは試行できてないが、持ち玉になってから1000円あたり約20回ちょいしか回っておらず、その状態で合計で1時間以上にもなるだろうか。

ここで、この日初めてまるまる1回分の出玉での回転数をチェックできたが、たった119回転しか回っていなかった。この状態が続けばストレスが溜まることだけは確かだ。やはりある一ヶ所の調整が鬼門になったようである。


13時40分、今月最後の稼働日だったが、ファフナー以外では初のドロップアウトを決めた。ヤメる時に両隣の女性へ私のことを印象付けるため(特に右側の女性に対して)玉すくいカップで目一杯の玉をプレゼントし「俺の当たり玉を使ってください」と言って最後まで「ナイト」になりきって格好良く立ち去った(笑)。

ただし相手がどう感じたかは定かではない。本当はもっと右側の女性の隣で打っていたかったが、後ろ髪を引かれる思いで店を後にした。


余談だが、その後も数回E店を訪れた時、夜以外は必ず例の女性を大海SPのシマで見かけた。あの日以来彼女とは一度も話したことはないが、いつかまた声をかけようとチャンスをうかがっている。この仕事も長くなってきたので日々単調になりがちだが、たまにはこんな楽しみがあっても良いだろう。



投資…13500円
回収…27530個
初当たり…9回(1589回転)
大当たり…24回



チャンスは三度はやって来ない

今年2月から西日本へ旅立つことを計画していたが、諸事情で二度も実行を先延ばししてしまった。今にして思うとたいした障害ではなかったが、「自由人」が故にいつでも行けると油断していたのだ。もし休みが自分の思い通りにならない普通の会社員時代だったなら、多少の障害があっても強行していただろう。

今回の旅行の主な目的は趣味の昆虫採集なのだが、その虫は梅雨に入ると姿を消してしまうということが判明して焦ってしまった。何事もチャンスは三度やって来ないというのが持論なので、もうノーチャンスの今は仕事を犠牲にしてでも急いで出発しようと腹をくくっている。