学生時代の思い出深い店にて
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学生時代の思い出深い店にて
※パチンコ必勝本2009年3月号に掲載されたものを加筆・修正しています
光陰矢の如しと言うが、私が会社員を辞めてからあっという間に11年間が過ぎてしまった。実を言うと、当初の予定では今年からパチプロをやめて新たな旅立ちをしているするはずであった。ところが世界的な大不況の煽りと諸事情が重なり、昨年秋に断腸の思いでその計画を諦めざるを得なくなる。その時は久し振りに自暴自棄になり、何十年ぶりかでやけ酒まであおってしまった。
もしも若く血の気の多い頃だったら、何かのはずみで警察沙汰になるようなことをしでかしていたかもしれない。さすがに今はだいぶ大人しくなったのでそんなことはしなかったが、反面バイタリティーが低下しているのは否めず、以前のような良い意味での無鉄砲さも影を潜めてしまった。
この仕事へ飛び込んだ時の清水の舞台から飛び降りるような向こう見ずさを持ち合わせていれば、間違いなく今年は別の道を選択していただろう。あの頃と違って思いきった行動を取る度胸がなく、今までの仕事にしがみついている自分が非常にもどかしい今日この頃である。
近年不況の影響か、利益を追求するあまり不正に手を染め、それが暴かれるといった企業が多くなってきた。パチンコの方はどうかと言えば、最近マスコミに取り上げられるケースが少なくなっているようには思う。それは一見すると喜ばしい傾向かもしれないが、実際は食品業界に負けないくらい悪事が横行しているのでは? と疑ってかかっている。
以前と比べれば格段にセキュリティーがしっかりしているので、外部から台に細工をするようなゴトの類は難しくなったのかもしれないが、内部の人間が悪さをしやすい環境は昔とあまり変わっていないように思う。従業員が帰った後の店内で幹部クラス以上の人間が店内で何をしようと誰も見ていないのだから…。
以前から思っていたが、一般の人にとって大量のお金が直接入る可能性があるパチンコ台は、クギやネカセ以外の目に見えない部分をいじる場合、第三者の監視を義務付け、しかも時々は抜き打ちで当局が台の中身を検査するなど、今よりもずっとクリアなものにしていかなくてはいけないのではないか。
なぜこんなことを書いたのかというと、会社員時代にたまたま財務局でお金を支払う機会があったのだが、その時十数万円をわざわざ2人の職員で受け取りにきたのだ。後でその理由を知り合いの職員に尋ねたら、1人でお金を受け取ると、出来心が生じてしまう可能性があり、それが2人だとお互いに監視することになるので、そういう心配がなくなると聞かされた。パチンコ店も然り、扱う物が物だけに、やはりもっと健全な環境にして欲しいものである。
1月中旬某日(小雨)
毎年一月はこの仕事を始めて以来、仕事量以上に勝った記憶がほとんどなく、とにかく鬼門とも言うべき忌まわしい月である。ただ昨年秋以降は、上昇気運に乗って年を越せたので、今年こそはジンクスを破れるものと期待していた。
ところが蓋を開けてみれば、気合いを入れて行った初打ちの2日にエヴァのシトフタで5万9000円負け。4日は4万プラスだったが、なかなか期待値通り勝てず、ちょい勝ちが2~3日続いて4~5日目にドッカーンと大負けを喰らうパターンが続いた。そして昨日、去年の1月と同様、奇しくもまた海で逆ホームラン(10万以上の大敗)を喫してしまい、マイナス収支へ転落してしまったのだ。
というわけで、今日もいつものように5時に起床、ペットの虫たちにエサをやってから8時ちょっと前にA店へやってきた。並びは50人くらいとあまり多くはないが、優秀台をゲットするには少なくとも入場抽選で30番以内を引かないと厳しいだろう。
くじ引きの結果、運良く久々に一桁の番号の入場券をゲット。これでエヴァのクギが予想通り開いていれば言うことはないのだが…。
8時15分過ぎに入場し、早速エヴァのシマへ。いつもより明らかにヘソが広い台を数台発見し、その内の1台へ確保券を置いた。いつもはほとんどいじらないワープ入口の釘をおもむろに確認すると…次の瞬間愕然とした。なんとこれまでにこの店では見たことがないほどのシメ具合だったのだ。すぐに他の台も確認したが、案の定ワープに関しては一律のマイナス調整。
もし今月、これまでの仕事量に見合うくらいの収支を上げていれば、これからすぐ自宅に戻って他にやりたいことがあるのだが、月半ばを過ぎたにも関わらず未だマイナス収支では少なくとも昼までは店回りをしなくてはいけない。
と、ここで、先日10万オーバーの大敗を喫したC店で昼からバトルタイプのイベントがあることを思い出し、急遽向かうことに。ただ間違っても期待値3万円を超える台を置いているとは思えないので、途中にある店も見ながらの移動となった。
9軒目のC店へ到着したのは11時を少し過ぎた頃。実はここ、青春時代の思い出がいっぱい詰まっている店なのだ。学生時代、私は旅行が好きで色々な地方に遊びにいったものだが、その資金を調達しようと、それなりの時間をバイトに割いていた。その時、たまたまこの店が住み込みでバイトをさせてくれると知り、店に併設された寮で半年ほど寝泊まりしながら働いたことがある。
現在は考えられないが、当時このパチンコ店の従業員は朝8時半から夜10時過ぎまでの通し勤務で、昼とタ方に40分の食事休憩があったが、私は毎日仕事が終わると足がパンパンになるほど疲れてしまっていた。しかも月に休みが3日くらいしかなく、完全二部制になった現在と比べるとかなりキツかった。ただその頃のバイトの平均時給が300円もなかったのに、なんとこの店は380円もあり(何年前の話かは歳がバレるので秘密)、現在のお金に換算すると…おそらく月35万円くらいはあったと思う。
しかも当時は仕事が終わる頃になると周辺にある飲食店もすべて閉まってしまい、寮の無料で食べられる夜食をとった後、連日バタンキューだった。おかげであっという間に長期旅行の軍資金が貯まり、その後若くして貴重な体験をすることができたのだ。なので、その大切な思い出がたくさんあるC店へは今まで仕事ではなかなか足を向ける気になれなかった。
そしてもう一つ、本当はこれが足が遠ざかっていた一番の原因なのだが、数年前までアルバイト時代に私を可愛がってくれた社員さんが、引き続き嘱託で働いていたからなのだ。
ちなみにこの人からはよく「パチプロみたいな仕事は選ぶなよ」と言われていたので、私も「そんなことは絶対にありません」と言い返していた。それが今さらその人に「パチプロです」などとは口が裂けても言えないし、たぶん本当のことを言ったら悲しませてしまうのは目に見えている。
ただもう今はすべてのスタッフが入れ替わり、当時の私を知る社員は一人もおらず、これから先ずっとパチプロを続けるわけでもないので、今年からは気兼ねなくC店にも来ようと考えを変えたのだ。
このC店で先日10万オーバーの負けを喫したばかりだが、私は一般のお客さんにとって昔も今も絶対に不正とは縁がない優良店だと信じており、たまたま大敗したのがこの店で良かったと本気で思っている。仮にもし私が一番信頼し、かつ一番思い入れが強いこの店が「グレー」になったとしたら、それはパチンコ店全体の終焉を意味することだと思うし、その時は潔くこの仕事を離れる踏ん切りがつくというものだ。
さて、私が目指したのは今日のイベント機種でバトルタイプの博打台たち。その中でも一番の狙いは出玉スピードが早い牙狼。たぶん良い台に巡り合ったとしても、期待値3万円以上はよほどの間違いがない限り望めないだろうが、今まで仕事量をきちんと確保しているにも関わらず、下旬になっても一向に期待収支に近づかないので、ここは波の荒い台で博打をかますしか方法はない。
短絡的ではあるが、たまにはいいか…という気持ちで牙狼のシマへ入った。ところが平日の昼間にも関わらず満席。「ならば北斗」とも思ったが、ここも満席…さすが人気の優良店である。仕方なく慶次のシマへ向かおうとしたら、運良く目の前の北斗の一台が空き、すかさず確保。この機種、他のバトルタイプと同様、先日来た時と比べ全台ひと回りヘソをアケているので試す価値は十分ある。
しかしスタートになかなか玉が入らない。まだ1000円だけだが、たったの11回しかデジタルは回ってくれなかった。もちろんまだ下ムラのはずなのでヤメる気はなかったが、ここで左隣の台が空いたので表示器を見ると460回転で大当たりなし。今打っている台とほぼ同じクギ調整なので、どちらが回るのか見当がつかないが、ここで思い切って台を替わった。
そしてこれが運命の分かれ道だった。今月は今まで自分が捨てた台がすぐに当たってしまうので、今日もそのパターンになるのだろうな…と思いつつも移った台を打ち始めると、前の台と違いすぐに保留が満タンになった。見守っているとボタンが赤く光ったので押すと、いきなりバイブの振動が伝わった。それも時間が長い。それから待つこと1分あまり…たった1回転でわけの分からぬまま16R確変を引いてしまった。
そしてそれがいきなり17連チャンし(内5R5回)、その後も分母数以上のハマリが421回転の一度だけと当たりまくり、21時20分でヤメた時の獲得出玉はなんと4万発を大きく超えていた。
数日前、同じ店で朝イチから閉店間際まで必死で粘って10万以上も負けたのに、今日はたった500円でその負け分を補って余りある勝利を得てしまった。まったく今時のパチンコは1日単位で見ると博打そのものである。
投資…1500円
回収…45806個
初当たり…8回(2102回転)
大当たり…58回
喜ばしい出来事
それは本文にも書いた店でのことだった。かなりの出玉になり、店員が笑顔で丁寧にカード会員の勧誘をしてきた。その時私は終わったらカードを作ろうと思っており、確変中だったので「帰る時作るよ」と返答した。ところが彼女は「もしお客様さえ良かったら私が書いてあげますよ」と素敵な笑顔で言ってきたのだ。
これには正直驚いたと同時に感激し、彼女に免許証を差し出し、打つのを休まずにカードを作ってもらった。私が昔ここで働いていた頃は、店側が「パチンコを打たせてやってるんだぞ」という時代だったので間違ってもこんなサービスはなかった。時代が変わったな…と感じたと同時に、このような素晴らしい店員がいる限りこの店は安泰だな、と思ったのだった。
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