トップクラスの優秀な台だった
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※パチンコ必勝本2008年8月号に掲載されたものを加筆・修正しています


つい先日、とある店で開店前に並んでいた時、知り合いの若い同業S君が声をかけて来た。私も彼に好意を持っているので笑顔で言葉を返したのだが、ちょっと嫌な予感もあった。

案の定、次の瞬間「この前の◯◯のイベントはどうでしたか?」と言ってきたのだ。大声ではなかったが、周りは静かだったので近くの人たちには丸聞こえ状態。彼は好感が持てる青年なのだが、時々場の空気を読めず、とんでもない行動をとってしまうことがある。

以前も他の同業者に対し同じような行動をとっていたので、今日は意を決して「うるせっ」と言ってしまった(後で事情を説明してフォローしたが)。もしこの時質問に素直に答えていたら、時間をかけて店回りをして見つけた貴重な情報を赤の他人にタダで教え、結果として自分の首を絞めることになるかもしれないのだ。この点に関しては、どうも昔からパチプロ連中はガードが甘いと言わざるを得ない(かくいう私もそうかもしれないが)。

情報交換でメリットのある同業に教えるのなら良いが、ちょっとした知り合いに親切に指導したり、大勢の人が周りにいても平気で重要なことをしゃべりまくる同業がいまだに多く見受けられる。案外パチプロという人種はお人好しが多いのかもしれない。



6月下旬某日(曇時々雨)
洞爺湖サミットが迫り、最近は12時開店はあっても新台導入は皆無になってしまった。新台だろうが旧台だろうが、仕事量さえ確保できればどっちでも良いのだが、思い返せば4月以降新台を初日に打っていない。それは以前ほど釘が開いておらず、朝から入場抽選をしてまで行くメリットが薄れているからだ(12時開店でも何時間も前に入場抽選を行なうことが多い)。

そんな状況の中、今月は前回書いたように、自宅から遠い地域に拠点を移して仕事をしている。その苦労の甲斐あってか、仕事量だけはなんとか確保できているという状況。ただし遠方ゆえ朝6時半過ぎに出発して夜は11時半過ぎに帰宅するというパターンになってしまうので、体に負担がかからないよう最低でも一週間に一度は休むようにしている(余談だがパチプロ初期の頃は毎月300時間以上稼働し 無理し過ぎて何度かぶっ倒れたことがあった)。


そしてちょうどこの日は休みにあたり、天気が良ければオフロードバイクで山へ行こうと思っていたのだ。しかし今にも雨が降りそうな天気なので、残念ながら山行きは断念。久し振りに近場のC店の12時開店(新台は入らない)へ行ってみることにした。といってもこの店、12時オープンでも8時に入場抽選を行なっているので、狙いの台があれば平常時と同じ時間に行かなければならない。

しかし連日の6時半出発に体が慣れているので、7時半の出発までかなりの余裕があり、長年飼っているクワガタ虫の世話をしてから家を出た。昨年から体力的&時間的に負担が大きくならないようにと数を大幅に減らしたのだが、それでもまだ200匹以上いる状態だ(笑)。


8時ちょっと前にC店到着。新台が入るわけではないので10人位しか並んでいなかった。この店で12時オープンの抽選に並んだのは1月以来でちょっと新鮮な気分である。

すぐに抽選が始まったのだが、店員が抽選を終えた一人一人に「8時35分までに来てください」と予想外のことを言っている。理由を尋ねると、12時開店は昨日で、今日から平常営業とのこと。念のためメールを確かめてみたら、私が見ていたのは姉妹店のB店だということに愕然としてしまった。もしメールを見間違えなかったら、最近クオリティーが低いC店へ来ることはなかったのに。

でもせっかく来たので、とりあえずダメ元で入ってみることにした。店員の話によれば今日はイベントコースと札台がたくさんあるらしい。私は5番目での入場、しかも後ろには10人くらいしかおらず、余裕を持って台を選ぶことができそうだ。問題は釘調整だが、もし打つ台がなかったら家に帰って虫の世話をすれば良いと割り切っていたため気は楽である。


真っ先にイベントコースの海のシマに行くと、いつもより倍くらいの札台があった。どれも良い時に比べるとひと回りヘソが狭く厳しい感じがしたので他を見て回っていると、まだ入って間もない仕事人III桜バージョンにも札台があった。多分ダメだろうと思いながら近付いてみると、他の機種と違い、かなりのヘソ幅に見える。しかも他の釘はほとんどノーマル調整だった。これは打ってみる価値があると思い、一台を選んだ。

開店の音楽が鳴って打ち出すと、最初の1000円でわずか18回転しか回らない。この段階で下ムラなのか本当にダメな台なのかを決めつけるわけにはいかないが、大いに不安な滑り出しであることは間違いない。ただし釘を見た限りでは、1000円あたり20回転を余裕で超えるという自信はあった。

次の1000円を打ち込み、予想通り回転数は上がってくれたが、それでもまだ43回転しか回っていない。しかし回転数で不安を感じたのはここまでだった。その後5000円で134回転、1万円で280回転までいってくれた。


私はこれまでかなり仕事人IIIを打ってきたが、スペックが良いせいか、どの店においてもヘソはアケてくれても寄り釘がマイナス調整されており、今日のように風車やヨロイが無調整の台を打ったことが一度もなかった。とにかくいつもの仕事人IIIと比べて格段にこぼれ玉が少なく、びっくりするほどよく回っている。今まで仕事人IIIを終日打って、1000円あたりの回転数が25回を超えたことは5回しかなかったが、今日が6回目となるかもしれない。

昨日まで遠くの店で寝不足を我慢して頑張ったからこそこの台を打てているんだなと少々不思議な気分になった。もし疲れていなかったらメールを見間違えることもなかっただろうから、そうであればこの店へ来ることはなかったはずだ。まさに怪我の功名を言えるが、最近の努力が報われたということかもしれない。


その後も高回転率をキープし、10時49分、490回転目の中村家モードでゼブラ泥棒を捕り逃してしまったが、秀SPで見事大当たり。昇格はなかったが、ここまでの投資額はまだ1万8000円。もしこの回転率を持続できるなら、今年C店において最高の仕事量を確保できる。今日はいくらハマろうがこの台を時間まで打つことに決めた。

その後も早い初当たりを引くが、いかんせん確変が当たらない。これではいくら優秀台だろうと絶対に勝てない。確変突入率50%オーバーの台で4連続通常…確率的には起こっても不思議ではないが辛いものである。しかも初当たりが3連続で早かったので、今度は相当ハマるのではないかと不安になってきた。そう思った矢先の時短7回転目、ちょっと信じがたいことが起こった。

何気なしに見ていた極悪人リーチが画面から目をそらしている間にスパッと四で当たっていたのだ。まったくパチンコは自分の予想をことごとく裏切ってしまう気難しい代物だ。しかし今みたいに都合のいい方に予想がハズれるのなら大歓迎である。しかも最後の最後でX斬りが炸裂し、5回目でやっと念願の確変になった。

最近ではトップクラスの優秀台を打っているわけで、この確変で本日の勝ちを確信。ところがすぐに通常図柄で当たり、あっけなく確変は終了してしまう。


しかもこの後まったく当たらなくなり、13時半の最後の当たりから659回転で持ち玉が切れて現金投資が始まってしまった。そして18時半過ぎ、頭上の回転数表示は1500を超える。しかし相変わらず回りは絶好調、追加投資はまだ3万3000円である。

ただ、いくら優秀台だろうが、こう当たらないのでは退屈すぎて眠気を止めることができない。ここで睡魔による無駄打ちが出始めたので小休止。


休憩後、再投資3万7000円の1589回転目で満月が出て画面が暗くなり、擬似連4回で秀と主水の二人が登場(例によって演出の詳細をメモってないので細かい描写はできないことを勘弁していただきたい)。なかなか出ない信頼度の高い演出だが、残念ながらリーチは主水ではなく秀SPを選択。これでは当たるはずもなく、案の定ボタンを押すとかんざしが映っていた。

が、次の瞬間、派手な音と共に画面が光って切り裂かれ、実に約5時間ぶりの大当たりとなった。ただ、残念ながらこれも2連で終了…。


どちらかというとその日の好不調は持続することが多いので、この調子だと残り時間でこれから勝つのは難しいが、私にできることは時間までただひたすら回すことだけ。

19時37分、299回転で今日2度目の持ち玉消滅。相変わらず回転率は絶好調だがハマリもキツくなってきた。しかし自分のマニュアルに従い、迷わず現金投資を続ける。


再々投資9000円で得た本日6回目の大当たりはまたしても単発。閉店まで残り3時間しかないのに総投資は6万4000円。この時点ですっかり勝ちは諦め、とにかくあと2時間打ち続けることだけ頭に入れ、いつも通りの瞑想モードに入ることにした。

すると…時短に入って間もない29回転目でキュイキュイキュイーン。私にはまったく無縁と思えた一発告知。ハンドルは光っていなかったが、今日2回目の確変図柄で大当たり。確変図柄こそ2回だけだったが、引き戻しを含め本日最高の5連チャン。

しかしこの後またもや確率の分母をオーバーし、ヤメようと思った閉店40分前の22時50分、最後の保留玉602回転で今日初めておとつを捕まえる。その後11回転単発、51回転突確、40回転初のP-フラッシュ、5回転単発。最後ギリギリでなんとか時短を取り切り閉店となった。

今日は初当たり、確変図柄の出現率共に理論値より大きく下回ってボロ負けしてしまったが、最近にしてはかなりの優秀台を打ち切れたのは収獲であった。長い目で見ればこういう台でハマるのは得なので、なんの憂いもなく満足して帰路についた。


投資…64000円
回収…8488個
初当たり(時短含む)…7回(4119回転)
大当たり…17回



パチプロは人生の休憩地だ

「パチプロは人生の休憩地だ」などと書くと苦情がたくさん来そうだが、私が知っている限りパチプロで生計を立てている人の多くは、格好良く言うとアウトサイダーだ。しかし悪く言うと社会に対応できず、逃避して来た人たちだ(もちろん私もそうなのだが)。

共通しているのは、決して望んでパチプロになったわけではなく、堂々と人様に言える職に就きたいと願いながらも、仕方なく人生の回り道、休息地としてこの職業を選んだことである。

同業の友人が「自分はパチプロになるために生まれてきたわけではない」と言っていたが、やり手で腕の良い同業ほど、一日も早くこの稼業を卒業しようと努力しているようである。