思わぬ機種で危機脱出
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思わぬ機種で危機脱出
※パチンコ必勝本DREAMS2004年2月号に掲載されたものを加筆・修正しています
2003年も残すところあとわずかだが、成績の方は幸いな事に予想に反して順調であり、この厳しい状況の中、パチンコ一筋で我ながら良くやって来られたものだと感心している。しかし、物事全てが順風満帆とはいかないようで、"健康"という事に関しては非常に厳しい1年であった。来年は"体調管理"が一番の課題となりそうである。
この原稿を書く直前、パチプロ始まって以来のハマリ記録を作ってしまった。なんと3日間で確率の7倍ハマリを2回、9倍ハマリを1回喰らって25万も負けてしまったのだ。収支の方も月半ばにして一気にマイナスになってしまい、普段なら日々の勝ち負けを気にする事があまりない私も、この時ばかりはさすがに気持ちがグラついてしまった(打った店は"シロ"と確信している。もしこれが"クロ"の可能性がある店だったらここまで金を使う事はなかっただろう)。
幸いその後は調子を持ち直し、辛うじてプラスに転じる事ができたが、初の月間マイナス収支になりそうな予感もする、自信喪失気味の今日この頃である。まあ、まだ月末まで半月ほどあるので、たとえ結果がどう出ようとも最低200時間の稼働だけは確保しようと決意している。
12月中旬某日(雨)
いつも通り6時半頃に起床。しかし前述の悪夢の一週間の記憶が脳裏をよぎり、未だに弱気の虫が収まらないので、はっきり言ってパチンコから逃げ出したい気分だ。
「あ~行ぎだぐね~」
と思いながら朝食を摂っていたその時、ふと、側に置いてある菌糸瓶(クワガタの幼虫が入っている容器)のひとつに目をやったら、丸々と太った10cmくらいの大きなイモムシのオバケが、ガラスの隙間から久しぶりに顔を出して動いているのが見えた。
実はこの虫、今年の春にひょんな事から手に入れた貴重なクワガタムシの子供なのだ。何故貴重なのかと言うと、成虫の姿形もさることながら、生息地が南国の限られた島で、しかもそこは反政府ゲリラのメッカなのだ。もし日本人がそこへ行こうものなら、極端な話、命の保障はない。そして、この虫の親を手に入れた人は、金儲けを度外視してまで、本当にクワガタムシを手に入れたかったのだ。実際に手に入れるまで、かなりの苦労とリスクを負ったのだろう。それを私はほとんどタダ同然で譲ってもらったのだ。
趣味に命を懸ける人がいるというのに(中南米や東南アジアでの昆虫採集は本当に命懸けの場所が多々あり、皮肉な事にそういう場所に限って希少種が棲んでいる。それでも現地に入る勇気あるマニアは少なからずいる)、かたやちょっと凹んだくらいで仕事にビビっている情けない男がいる。そう思うと自分に腹が立ってきた。
気合いを入れ直し、7時半、最近には珍しく井上陽水の曲をフルボリュームでかけながら愛車で東北自動車道を北へと向かった。
8時45分、県北のA店に到着。本当なら今日は仙台市内のテリトリー内の某店のイベントへ向かうはずだった。しかし2週続けて使えなかったのと、以前勝たせてもらったA店が他店との競争で良くなっているという噂を聞き、遠路はるばるやって来た次第なのだ。
これまでの経験上、過度に期待するとロクな事がないのでダメ元で店に入ってみた。私は20番目くらいに入ったが、前に並んだ常連らしき人達の多くは新海のイベントコーナーに向かって行った。久し振りに来た店で特に狙い台があるわけでもなかったので、最近では珍しく気分的に楽な入店だった。
とりあえず私も新海M27のイベントコーナーを見に行ったが、各台の釘にメリハリはあまりなく、予想回転数は千円あたり22~3、間違いが起これば25くらいかな、と思われた。この店の換金率は2円台後半なので、仙台市内のボッタクリイベントに比べればかなり良心的に感じられる。
しかし自分的には『実際打ってみて間違いがあったら儲けもの』程度の感覚だったので、とりあえず釘の良さげな1台にタバコを置き、他のシマを見に行った。そしてCRギンパラのコーナーに入った時、思わず立ち止まってしまった。
ここもイベントコーナーになっているが、ヘソの広さが尋常ではない。しかも台毎に釘調整の差があり、明らかに一律調整の新海のシマとは一味違うのだ。
この店はプロになって以来6年前から何度も来ており、その当時からこの機種は置かれているが、かつてこれほどまでにヘソが開いていた事は一度もない。最大で13mm以上もありそうだ。もし間違いがあれば新海以上に抜群に時間効率がアップし、飛躍的に期待収支も上がりそうだ。
そんな値踏みをしていると…
「しばらぐです。なにしったのっしゃ、今日ギンパラいいみでだよ。設定1いっぺ(いっぱい)あんだどっしゃ」
と、昔からの知り合いの店員に話しかけられた。ひょっとしてヘソの狭い台が設定1かもしれないが、そんな事は分かるはずもないので、とにかくヘソの広い1台を選んでライターを置き、さっきの新海からタバコを引き上げると、ギンパラのシマに素早く移動した。
9時ちょっと過ぎ、打ち出し開始。店一番の割数が高いシマに思われたが、既に満席となった新海のイベントコーナーに比べると、まだ3分の1も客は付いていない。時の流れなのか、明らかにひと昔前の人気はなくなってしまったようだ。
打ち出してすぐ、『今日こそは千円20回の壁を超えられるかも』という良い感触を掴んだ直後の58回転で、早々と魚群が走った。それにしても何度見てもこの演出は美しい。
その時、隣に座っていた以前何度か話した事のある常連のおばさんが、すかさず「おっ」と覗いてきた。図柄は1と9、当たれば確変確定だ。海のマリンちゃんよりもずっとスマートなマリンちゃんが現れると、いつもは無表情で見ている私だが、ここはコミュニケーションを取らなければと思い、おばさんに「だーれ当だるわげねっちゃー」と一発かましておいた。
実際、単なるハズレ演出だと思っていたので、当然のごとく9が通り過ぎ、4が通り過ぎた瞬間に止まるものだと思った。しかし止まらない。でもどうせ1も通り過ぎるんだろうと思いきや、なんとタコがど真ん中に停止した。
「おーっめずらしー」
と私が言うとほぼ同時におばさんに思いっきり肩を叩かれ、
「あーっ、いがったごだー」
と祝福された。ここしばらくこの機種を打てなかった(打てるレベルの台がなく、たまに試し打ちをしても、せいぜい千円あたり18回くらいが関の山だった)ので、本当に久しぶりの大当たりであった。
この時おばさんに見せた笑顔は自然と出てきたもので、本心から嬉しかったのだ。ここまでの投資額は3千円だが、まだ最後に流した500円の玉は使っていない。さすが大開きの釘調整である。これから先も、極端に回転数が落ちるとも思えなかったので、もう勝ったも同然の心境だった。
が、その時、先週3日間で25万円負けた悪夢を思い出してしまった。実はその時も最初はわずか2千円で確変を引いたのだ。
勝負は下駄を履くまで分からない。途中いくら出ようが、終わった時に換金できなければ意味がないのだ。だから過度の期待はせず、いつものように平常心で打つように自分を戒めた。
16時、ギンパラのシマは満席で、この店では今まで見たことがないほどのお祭り騒ぎになっていた。とにかくシマ全体で当たりまくっているのだ。朝に店員が『設定1がたくさん入っている』といったのは恐らく本当なのだろう。隣の元気がいいおばさんは、2千発のドル箱で既に15箱も持っている。かたや私は初めの勢いはどこへやら、尻すぼみ状態で確変図柄が出なくなり、持ち玉は現在7箱と、おばさんの半分にも満たない。
しかし、これはおばさんが出過ぎているだけで、私も初当たり確率は抜群に良いのだ。今ヤメたとしても、既に3万以上は勝っている。そして仕事上一番気になる回転数は250発あたり20回を行ったり来たりしているので、最後まで打ち切るのになんの不安も感じなかった。
その後も相変わらず初当たりが早く、しかも確変が多くなってきたので、終わってみれば大当たり40回(確変図柄20回)で5万発以上出てくれた。ちなみに隣のおばさんは6万発オーバーで、シマのトップ台となり、『久しぶりにギンパラで勝った』と言って喜んで帰って行った。
恐らくこの店はこれまでギンパラでかなり儲けてきたはずだ。私みたいなものに勝たせるのは本意ではないのだろうが、たまにはこのような大放出は必要である。私もアマチュアだった頃は、1回勝てたらその店には少なくとも3回以上は金を使いに行っていたのだから…。
それにしても今日は先週の悪夢が全く嘘のような出方だった。全くパチンコというヤツは、短いスパンで考えるとギャンブルそのものである。
【哲也に聞け!! 阿川プロへの質問コーナー】
Q.
阿川さん、いつも日記を拝見しております。ところで、正月のパチンコ、あるいは年始のパチンコは、やはり打ってはいけないものなのでしょうか? 阿川さんはいつもこの時期はどうされていますか? また1月中の立ち回りについてもご教授いただきたいのですが…。よろしくお願い致します。
A.
『正月は渋い』と言われるが、最近の傾向としては、大規模チェーン店等はいつもとさして変わらぬ割数で営業しているようだ。しかし、ボロ儲けできる釘調整はほとんどないと思われる。ただ、同じ人間のやる事だから、たまに間違いもあるのではないか。
去年、私を含め同業がほとんど正月休みを取っていた最中、1人だけ一生懸命稼ぎまくっていたパチプロの知人がいた。彼に言わせれば、普段姿を見せる同業たちがいなかったおかげで、かなりおいしい状態が長続きした店もあったらしい。
まあ少数の人がいくら勝ったって店全体に客が入っていればパチンコ店は儲かる。マメに店を回っていれば、少ないながらチャンスはあるはずだ。しかし、周りの華やかな雰囲気に惑わされ、ついつい回収台でも打ってしまいがちになるので、根っからのパチンコ好きな人が勝つのは容易ではないだろう。できればアマチュアの人は正月くらいはどうせパチンコ店へ行くならば、勝負は二の次で楽しんで打ってもらいたい、というのが私の本心である。
ちなみに私はここ数年、正月三が日にパチンコ店へ行ったのは、トイレを借りに入った1回だけである。そして正月が終われば、またいつも通りの主にイベント狙いの立ち回りに戻るパターンを続けている。
※CRギンギラパラダイス[三洋]…大当たり確率:設定1…1/223、設定2…1/241、設定3…1/257、確変突入率50%の権利物。奇数図柄で大当たりすると確変に突入する。
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