反動の5月
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反動の5月
※パチンコ必勝本DREAMS2003年7月号に掲載されたものを加筆・修正しています
相変わらずマスコミ(特にテレビ)が世間に与える影響は大きい。例えば旅客機のパイロットが主人公のドラマが流行ったら、航空会社への就職希望が殺到したという。そして、今度は動物病院を題材にしたドラマがヒットしたら、獣医志望の若者が増えたらしい。私も一度観たが、そこに出てくる動物達はなんとも可愛らしかった。
健康・グルメ・温泉などと並んで、ペットを飼うのが今や"癒し"の代名詞だということは理解できたが、このブームのおかげで、私は家族から高価なものを買わされる羽目になってしまった。
例年5月の連休は、家族サービスで必ず隣県に家族旅行をしていたのだが、今年は親戚・知人の不幸が重なったこともあり出掛けられなかった。そこで妻と子供達に「何か好きなもの、高くてもいいからひとつだけ買ってやるぞ」と言ったのだが…。
ゴールデンウィーク最終日、向かったのは仙台郊外の人気ペットショップ。何でも今、通常の価格より2~3割以上安いセールを実施中なんだとか。私は内心、「グァム旅行に比べたらかなり安くつくだろう」と高を括っていたら、これがとんでもない大誤算だった。
私は呑気に、虫のコーナーで迷った末に購入したクワガタ(5040円)と遊んでいたのだが、小学6年生の次男が「お父さん、決まったんだけど」と呼びに来た。
行ってみるとそこは犬のコーナーで、ビーグル犬の子犬の前で妻が申し訳なさそうに「これ欲しいんだけど」と言ってきた。ちらっと隣のチワワの価格が目に入った。2万8千円? いやっ一桁違う、28万円!
後で聞いたがチワワは今大変な人気らしい。これも明らかにテレビの影響だ(あのコマーシャルの犬は確かに可愛い)。これに比べればビーグル犬は7万8千円(備品も含め全部で12万円)だから安いのだが。
まあ正月以来、これといった家族サービスをしていなかったので、多少の出費は仕方がないか。小学生の次男も子犬の前から離れようとしない。「いいよ、買ってやろう」と言ったら、2人とも飛び上がらんばかりに喜んでくれた。それを見ていたら私も嬉しくなってきた。
そんなことを知人の独身プロに話したら、
「僕はいくら稼いでもちっとも楽しくないし、喜んでくれる家族もいない。それに比べたら、阿川さんは仕事で稼いだお金で家族に喜んでもらえる。僕もそんな立場だったら、もっと仕事に張り合いができると思います。パチプロが家庭を持つのは大変でしょうけど、"守るもの"があるのは、ある意味羨ましいですよ」
と言われた。なるほど、そうかもしれない。
今まで稼いだ金を全部独り占めできる独身プロを羨ましく思っていたけれど、彼の話を聞いてからは、「自分もそれなりに幸せなんだ」と感じるようになった。
5月初旬某日(晴れ)
4月までの爆裂モードとはうってかわって、今月は初っ端から苦戦の連続。7日稼働して確率勝ちはまだ2回だけ。そして負けた時の額が大きく、収入は仕事量を大きく下回っている。こんな時はワースト記録もやってくる。
つい先日、久しぶりに見つけた海物語の優秀台で、1日3回も千回オーバーのハマリを喰らってしまった。今までも2千回オーバーのハマリは何回かあったのだが、こんな経験は初めてだ。
当然懐具合もピンチで、数店舗で数年掛かりで蓄えてきた貯玉を頻繁におろしている。それでも"仕事ができているからハマれるのだ"と自分に言い聞かせて、先月までの勝ち過ぎ分の収束が1日でも早く終わるよう、ただひたすら台に向かっている。
こういう状況が続いた時、私は出来るだけ波の荒い機種を打つようにしている。それはパチンコは駄目な時でも100%駄目なわけではなく、たまに良い方の間違いも起こるからだ。そういう場合、波が荒い機種であれば間違いも大きくなる。
そんなわけで、今日は県北のとある田舎町へ、現在ではトップクラスの博打台・ニューロードスターVをやりに来た。この機種、パイナップルボンバーと並び、私のパチプロ人生の中で1日の負け金額ワースト10に3回も顔を出している強者なのだ。
今日の店は、店内設備や備品にはほとんどお金をかけておらず、お世辞にも綺麗な店とは言えないが、中規模店でここほどお客密度の高い店を私は知らない。間違っても若いカップルがデートスポットに選ぶような場所ではなく、客もほとんど地元の年齢層の高い人達で占められている。
他にも多くの中規模店を知っているが、その中でも私のテリトリー内では客に対して最も甘い店ではないかと思っている。最近増えている、"ハードばっちり中身駄目"な見かけ倒し店とは大違いというわけだ。ただし、平常営業においてパチプロの目標日当が出るような台は、稀にしかないことも付け加えておく。
この日も、例によって店の駐車場に着いたのは開店時間の9時ちょっと前。外で待っていた年配の5人の男女がちょうど店に入るところだった。今日はイベントの日だが、特別狙い台があるわけではなく、同業も誰一人いないのでゆっくり入店した。
一応シマ全体をチェック、目当てのロードスターのシマは何とか打てそうだ。しかし他にも打てそうなシマは現金機などにいくつかあり、見た感じロードスターと期待収支は同じくらいに見える。この場合、まともなプロならロードスターは避けて現金機を選ぶだろう。だが前述の理由から、あえて波の荒いロードスターを選んだのだ。この選択が吉と出るか凶と出るか…。
投資5千円、101回転で本日初のトルネード発生。当たり図柄はロードスターで、ハズレ図柄は手前の5。この演出は同じ三洋のギンパラの魚群よりはるかに高確率で当たり、しかも当たれば確変確定だから激アツである。車と5を何度か行ったり来たりする僅かな時間は、かなり期待を持たされたが、数秒後、願いとは裏腹に5で止まってしまった。
しかし、過去のイベント時にヘソの開き具合に対する回転率をしっかり把握していたので、もうこの時点で終日勝負できる台だと認識していた。その後、予想通り徐々にだが回転率は上昇してきた。
それから4時間近く経った13時前、ちょっと信じがたいことが起こっていた。私はこの機種が登場して以来幾度となく打ってきた。だから、ハマリも爆裂も何回も経験してきたので少々の事では驚かないはずだった。
しかし、朝イチから小当りさえ来ないとは。これが今主流の新基準機なら分かるが、今打っているのは最低設定でも確率は141分の1。海3に置き換えれば2700回転オーバーに匹敵するハマリだ。
大分前にも書いたが、権利物の現金投資でハマることは非常にキツい。盤面下部のガラスには141分の1、高確率と店が強調した手書きの紙が貼ってあるのだが、内心は「何が高確率だ、おだづなよ(ふざけるな)! この!」と叫んでいた(笑)。
まったくJAROにでも報告してやりたい心境で半ば腐りながら打っていると、6でノーマルリーチがかかった。全く期待しないでほとんど無視しているが、一旦ハズれた図柄5が真ん中で高速回転を始めた。投資5万6500円、回転数は1227回だった。
とにかく当たりは確定なので内心はホッとしたが安心できない。なぜならロードスターシリーズの中でも唯一、この演出の当たりだけは半分が1Rの小当りなのだ。
同じ三洋の大工の源さんの確変図柄ベルトコンベアー高速リーチと同様、なかなか秀逸な演出ではあるが、小当たりなら目も当てられない。故にA停止後の再始動はドキドキものだ。1R小当りか16R確変かが分かるまでの、ほんの数秒間がやけに長く感じられた。願わくは6が揃って欲しいのだが…。
だが、現金でハマりにハマった挙げ句、真ん中に出現したのはA。たったの1Rだった。
余談だが、鬼門のこの機種において、先月は別の店で小当たり12連チャンというワースト記録を樹立している。ちなみにその時は運良く(?)マイナス5万8千円で済んでいる。まあ、とりあえず回転率は期待値3万円を切らないので、いくら現金投資がかさもうとも、終日打ち切ることを決意した。
とにかくこの手の機種は荒波が故に時として夜からの大逆転もあり得る。以前知り合いの同業が16時まで6万5千円を投資し、最終的に12万円のプラスになったのを目撃している。自分はそういう好運にはまだ恵まれたことはないが、今はただひたすらデジタルを回すのみ。明鏡止水、無の境地で臨むのだ。
その後も22時40分まで打ち続けたものの、再投資もあるなど、結局展開が好転することはなかった。
本日の成績、総投資7万1千円。回収3万7500円。初当たり確率3794分の17(約223分の1)。実質確率4029分の35(15R18回、1R17回。約115分の1)。途中、野暮用で1時間近く抜けたので、予定回転数より300回近く足りなかったが、仕事量は何とか3万円は確保できたので満足している。
ところで今回のスランプ脱出は意外と長引くかもしれない。というのも、先月までの仕事量に対してのプラス分がまだ30万以上も多いのだ。早く春を迎えたいのはやまやまだが。身体を壊したら元も子もないので、これまで通り230時間程度のペースで焦らずやっていきたいと思っている。
【哲也に聞け!! 阿川プロへの質問コーナー】
Q.
阿川さんのスタイルはできるだけ稼働を稼ぐ(数多くデジタルを回す)やり方ですが、勝ったらヤメる"勝ち逃げ"はダメでしょうか?
A.
あなたが一般の勤め人でパチンコ好きな方なら、本音を言うと私のスタイルは真似してほしくない。なぜならパチンコがつまらなくなってしまうからだ。だから勝ち逃げは大いに結構。
私の知人の元誌上プロはこう言っている。
「たまの休みに朝から打つとなると、たとえ500円でも勝ちにこだわるようになった」
と。もし逆に500円でも負けたら、精神的には天と地ほどの差があるのだろう。だから彼は夜になったら常にヤメ時を考えているそうだ。
私も会社員時代、貴重な休日に終日打ち切り、最後にハマってちょい負けなんて事があったが、終わった後で、「今日の休みは一体なんだったんだろう。こんなことなら勝ってる時点でヤメれば良かった」と思ったものだ。こういうケースはボロ負けした時よりはるかに疲れたのを覚えている。
今でこそ『勝ち逃げ大いに結構』と言える私も、当時はその台が優秀台(良くデジタルが回る台)だったなら、ストレスを溜めながら閉店まで打ち切り、けっして勝ち逃げをしなかった。皮肉にも、その時の自分のやり方はプロの視点から見れば正しかったのだが…。
プロとして、私は月々の安定した生活費を稼ぐには、日当2万5千~3万円くらいの台を少なくとも月200時間は打たなければならないと考えている。しかし、それでも1年を通して見ると、多い月と少ない月では毎年50万円以上の開きがあるのだ。それほどパチンコは短期間ではなかなか結果が出にくい。
毎日、終日打つのなら勝ち逃げは得策ではない。が、これはプロとしての話。時間の制限があるアマチュアの方々にとって終日打ち切ることはストレスが溜まることだろう。むしろ勝ち逃げに徹し、パチンコを楽しんだ方が良いと思う。ただし、漫然と打つのではなく、無償で得られるサービス等は積極的に利用して、勝ちに繋げてほしい。
※ニューロードスターV[三洋]…大当たり確率:設定1…1/119、設定2…1/131、設定3…1/141、確変突入率50%の権利物。同一図柄3つ揃いで確変大当たり、左右同一図柄で中央「A」停止で1R(小当り)。
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