座禅モードで打つ
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※パチプロ必勝本2001年5月号に掲載されたものを加筆・修正しています

2月初旬、1年2ヶ月ぶりの風邪で寝込んでしまった。先月の少ない稼働を取り返そうと意気込んでいた矢先だったので痛かったが、無理せず2週間休むことに決めた。しかし会社員時代と違い、誰に気兼ねすることもない。これはパチプロの特権である。

冒頭の通り今年の稼働は少なく、2月末日現在357.6時間しか打っていない(今年のノルマは1ヶ月230時間)。皮肉なもので、こんな時に限って期待値を下回ってしまう。仕事自体は結構良い台を打っており、期待時給は3千円に近かった。しかし月々の家族の生活費に加え、住宅ローンの返済と私学に通う子供の学費を工面しなければならない私に経済的余裕は全くないのだ。

「ゴキブリを食ったら勝てる、と言われたら食います」

これは以前、有名なボクシングの世界チャンピオンが言ったセリフだが、どんな業種でも本気で稼ごうと思ったら大概の事はやってしまう。私もまた然り…。


最近の私の行動パターンは去年とガラッと変わった。まず6時20分起床、7時20分に郊外のM店の抽選に必ず並ぶ。当たる確率は約6分の1だが、もし当たれば確実に日当が確保できる。でも大概は当たらないので、ここから何件か回ってやっと打ち始める、というのが日課なのだ。ただし月に1~2度、2日くらい集中的に使える店を探し、必ず何件かストックを確保しているので、今のところ打つ台には困っていない。

しかし、本来車の運転と店回りが好きではない自分には少々苦痛である。私の知っている範囲で、打つよりも店回りが好きだという同業が4人もいるが、羨ましい限りである。ここ半月の1日の走行距離は過去最高で、実に70キロ近い。まあここまでは慣れれば何とかなるのだが、問題は仕事ができる日が運良く4~5日以上続いた時に発生する。睡眠不足に陥るのだ。


私の今年の稼働時間のノルマは月230時間だが(去年は250時間だったが、今年は他にもトライするものができたので20時間減らした)、ここで重要になるのは、なるべく少ない日数で切り上げるということなのだ。

単純計算すれば1日13時間きっちり打てば18日で済ませられる。実際は何日か必ず打てない日があるので思惑通りにはいかないが、それがもし12時間の稼働だとしたら19日でもノルマに達しない。結局閉店近くまで粘り、その後やることも多いので寝るのは午前2時頃。ナポレオンなら苦もないのだろうが、連日4時間ちょっとの睡眠では、私の場合は極端に思考力が低下してしまう。

だから5日連日フル稼働になった場合、6日目は必ず休みを取るようにしている。ここしばらくは去年のような10日以上連続稼働は無理であろう。



2月22日(木)晴れ
7時25分、今朝もまた判で押したように、M店の10台あるお宝台の抽選に並んでいる。今日もパチンコの行列は100人近く、相変わらず競争は厳しい。あわよくば昨日のような間違いが(千円あたり41回のわんパラSKを終日打てた)、とも思ったが、それ以前に抽選に当たる訳はなく、私のすぐ後ろのお兄ちゃんが当たりくじを引いたのを尻目にそそくさと退散。

M店はこの地域では一番の優良店であり、台数も多く、待っていてもクソ台ばかりしかないということはないが、私は次の目的地、仙台市東部のA店のイベントへ向かう。本当はM店から20分ほどにあるB店の抽選に並びたかったが、今日はレディースデーと重なっているので分が悪い。

しかし、この時間では仙台市内へ向かう道路はどこも渋滞だ。A店の信頼度は約3分の1だけど、もし使える状態ならば1分でも早く現地に着きたい。普通でもM店からA店までは30分以上かかる。まだ8時過ぎだが、このままだと9時を過ぎるかもしれない。ここは高速に乗るしか選択肢はないようだ。

一旦逆戻りし、3区間分の金を払ってなんとか9時10分前に現地到着。大急ぎで店に駆け込むも結果はペケ。スロッターには少し美味しそうな予感があったらしいが、パチンコの方は「ハイさようなら」状態。すぐに店をあとにした。


時間は9時5分。いつもなら近くにある店を何件か回るのだが、今日は違う。運良くここ6日(休み1日を含む)、仙台市周辺で日当3万オーバーの台を打てていたので、ちょっと間をあけてしまったが、遠方の田舎町で伝家の宝刀を抜くことに決定。約半月ほど前に、困った時に備えて、同業がほとんど来ない地域で集中的に調査し、機種は限定されるが(サンダーバード、打て浜等計4機種)使える店を3件見つけておいたのだ。

今までは仙台近辺がダメな時に気を使いながら打っていたが、あまり慎重になりすぎると、マイナー機種ゆえ新台入替でなくなってしまう。とにかく旬を逃しては店回りの苦労が報われないのだ。

道路は空いてくる時間なので普通に行っても10時頃には現地に着くだろう。あまり早く行っても不人気なシマなため目立ってしまうのだが、はやる気持ちを抑えられずまた高速に乗ってしまった。

ストックの3件のうち一番期待値の高い台があるC店(3.57円)に着いたのは9時45分だった。「何だか今日は随分車が少ないなあ」とちょっと不安気に入口に辿り着くと、悪い予感が的中。なんと新台入替のための店休日だった。

「ひょっとしてあの台はもうなくなってしまうのか? こんなことなら頻繁に来てタコ回しするんだった」と後悔先に立たず。かなりショックだったが、残り2件の優良店も各々車で15分以内の所にあるので落胆するにはまだ早い。

その後C店から一番近くのD店(2.5円無制限)へ向かった。この店でのターゲットは「CRそれ打て浜ちゃん2」。釘が据え置きならば打てる台が2台はあり、いずれも技術を完璧に駆使すれば千円あたり32回くらい回ってくれる(実際は人目があるので多少アバウトな打ち方になってしまうのだが)。

しかも、確変中に結構玉が増えるので、3回ワンセットとして考えると4800発ほどの出玉が見込める。そして消化時間も1セットで1時間25分ほどなので、丸1日打って少なくとも初当たり9回は取れる計算になる。C店で狙っていた台より期待値は少し劣るものの、お宝台には違いないのである。


10時ちょっと前、打て浜がなくなっていませんように、と願いながらD店に駆け込んだら、ちゃんとあった。しかも私が見たところクセの良い2台とも釘は据え置きだ。ただ気になるのは先客がまだ1人しかいないことだった。とりあえず、一番出来がいい台に車のキーを置き、焦る必要もないので店全体をゆっくり観察。予想通り他に打てそうな台はなかった。

それにしても、隣のイベントコーナーの海物語は超人気で客付き100%。どう見たって千円で25回くらいがせいぜいと思われるのに、改めて海シリーズの人気に感心。10分ほどで打て浜のシマに戻ったが、嬉しいことに3人も客がついていた。恐らく隣の海が取れなかったのか、ハマったのかして、それでこのシマに来たのであろう。できるだけ目立ちたくない私にとっては実に有難いことだ。

10時5分、打ち出し開始。30分経過しても1週間前同様、千円あたり30回以上はずっと回ってくれている。しかし不思議だ。どう見たって千円20回そこそこくらいの釘調整にしか思えない。こんな台を同業のS君なんぞに見られたら、私の釘読みの見識が疑われること必至である。実際、チューリップ両側の道釘以外プラス調整はないのだから。まるでこの台は2~3年前によく打ったゴジラシリーズのクソ調整のお宝台(?)を彷彿とさせる。まあ頻度からいえば、ほとんど偶然の部類に入るのだろうが…。


11時50分、瞑想が途切れ(?)昨日の不ヅキが今日も続くのだろうかとうつろに考え、半分眠りながら打っていたら(ただし技術介入はしっかりやっていた)、割と短いアクションで333がいきなり揃った。しかし緑の3が1個あるので非確変。回転数は481、投資額は1万5500円なのでやはりお宝台だ。

それにしても依然として確変が引けない。昨日のわんパラから通算すると単発図柄12連チャンである(1年を通してみるとこういうことは必ず何度かある。逆もまた然り)。特に今日の場合は、確変突入率が3分の2なのにこのざまだ。冷静に考えれば、1日で確率の分母数の9倍くらいしか回せないのに、2~3日で結果を出そうなんて思うのが間違っているのは分かるのだが、やはり私も人間、当たりは多い方が嬉しいに決まっている。

おっと、いけないいけない、一刻も早く煩悩を捨て「座禅モード」に戻らねば。


ここで読者の皆さんに分かりやすく説明しておくと、私は仕事をするにあたり終日打ち切れる台が見つかると、できるだけ平常心に近づこうと努力している。具体的に言うと、背筋を伸ばし真正面を向く(長時間打つにはこの体勢が一番。足を組むことはほとんどしない)、カオは正面よりやや下方、目はお釈迦様のような半目で意識は半恍惚状態(ちなみに、今日の瞑想のテーマは渓流のヤマメ釣り)。傍目にはきっとアホヅラに見えるだろう。

しかしスタートチャッカーと保留玉だけはしっかりと見据え、なおかつカメレオンのように常に周囲に気配りをしている。そして指の動きはせいぜい2~3ミリだ。

一旦このモードに入れば、たとえ現金で千回以上ハマってもさほど苦痛は感じない。ただ毎度スムーズにこの状態に入れる訳ではないので、そんな時は、例えばアフリカ等の飢えに苦しむ難民や、他界した友人知人のことを思い浮かべ、五体満足でぬくぬくとパチンコを打っている自分がいかに幸せかと自身に言い聞かせている。

幸いなことに今日はちょっとハマったけれど比較的早めに座禅モードに入れた。それが今、機種は違えど昨日からの非確変ラッシュに煩悩が蘇ってしまったのだ。すぐにまた己は幸せ者だと言い聞かせ、数分後には再び安定モードへと突入した。昨日の超お宝台より期待値は劣るとはいえ、22時半まで真面目に打っていれば仕事量4万は確保できるはずなのだ。


12時18分、93回転目でまた短いアクションからいきなり当たってくれた。しかし、緑の混じった333。これで昨日から通算し、13連続単発図柄だ。2日トータル18回の初当たりで確変図柄はたったの3回。まことに確率は短期間において自由奔放に暴れ回る生き物だ。もしこれが逆方向に暴れていたら、ゆうに10万以上勝っているのだが…。

本当はどういうリーチアクションで、どのように当たったのかを読者の皆さんに詳細に伝えたいのだが、東京などと違い、私の地元宮城県においてはメモに関して神経質な店や客が多いので、データの記録は常に店員や他人の目を気にし、ほとぼりが冷めてから数秒で書くことに決めている。よって今回の当たりでは12:18・98×と書くのがやっとなのだ(当時県内のほとんどの店はホール内での携帯の操作はご法度で、メモすら禁止の店が多かった)。

かといって当たるたびに席を立ってメモなどしたくない。だから後になるとCR機の場合、確変非確変の区別以外は分からなくなってしまうことが多い。自分のためにはこれで十分なのだが、読者の皆さんのことを考えると、今後何らかの工夫を講じなければと思っている。ちなみに本日の打て浜は技術介入の要素が大きい機種なので、極力目立たないよう、トイレに立ったついでにまとめて数回分を記帳していた。



閑話休題。
12時18分、先程の当たりから118回転目、久々に長いリーチアクションから777で遂に待望の確変図柄が当たった。これが予想に反して8連チャン。収支は一気にプラスへと転じた。

以降185回転目4連、152回転目4連、258回転目単発、6回転目3連、401回転目5連、と順調に当たり続け、最後508回転回し22時30分業務終了。

本日の成績、初当たり確率2202分の8(275.25分の1)、確変図柄19回、非確変図柄8回。投資1万5500円、回収6万6千円、プラス5万500円。終日カメレオン状態は少々気疲れしたが、まさにお宝台であった。

最後に余談になるが、三洋の機種は技術介入の要素が少なくあまり好きではない。しかし、実際仕事をするにあたり、一番気楽に打てるのは三洋なのだ。最近滅多に海は打たないが、もし海で確変を引いたなら、次の当たりがくるまでそれは至福の時間。カメレオンどころか、眠たい時などバッチリと目をつぶれるのだ。



※CRそれ打て浜ちゃん2[タイヨーエレック]…大当たり確率1/270.5、確変突入率2/3、1回ループのデジパチ。