今年最悪の状況が訪れた
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今年最悪の状況が訪れた
※パチプロ必勝本2000年10月号に掲載されたものを加筆・修正しています
前回も触れたが、8月にのっぴきならない用事で、半月ほど仕事を離れることになった。休むだけならどうということもないのだが、その期間の必要経費が50万以上もかかるので、今月はフル稼働と予定を決めている。
しかし皮肉なもので、日当2万5千円以上の台がなかなか見つからない。だから打つ時間が減り、やっと見つけた優秀台で粘るも結果がついて来ず、20日の時点でわずか18万ちょっとしか収入がない。
この調子だと、最悪だった1月の稼ぎにも満たなくなるかもしれない。ただ、1月は結果こそ悪かったものの、けっこう良い台は打っていたので今月よりはマシだった。まだ11日残されているものの、さてどうしたものか。
とにかく仙台の状況は酷く、パチプロ仲間でも順調なのは1人だけ。あとはほとんどが私と似たり寄ったりである。先月までで既に500万以上稼いでいる一流プロのS君でさえ、今月はまだプラス10万にも届かないほどだ。
渇ききったサバンナでじっと耐えるよりも、リスクを背負ってでも移動するのが私のポリシー。よし! また新潟か岩手にでも遠征してみよう。そう思っていた折、岩手に住む友人のJ君から久しぶりに連絡があった。なんでも、10日ほど前からほぼ毎日優秀台を見つけて打っており、もし私が困っているのであれば遊びがてら来てみたら、という有難い話だった。
まさに渡りに船、二つ返事で行くことに決定する。ただし、優秀台を打てる可能性は今までの経験上50%くらいと思われる。それに過度に期待すると、誘ってくれたJ君に精神的負担をかけてしまう。だから今回は打てない時のために、車のトランクに渓流釣りや海水浴などのアウトドアグッズをいっぱい積み込んで行くことにした。天候にも恵まれなかった時は映画でも見れば良いのだ。
いずれにしても大好きな岩手県へ久しぶりで行くわけだから、打てずに即帰るということだけは避けたかった。
7月21日(金)
朝6時30分、いざ出発。梅雨明けの空が昨日までの曇天を嘲るかのように眩しい。もしこれから行く店で打てなかったら、高田の松原(※)へでも泳ぎに行こう。
泉インターチェンジから東北自動車道を約1時間半北上。某市のB店に着いたのは8時35分だった。既に店の前には20人ほどが並んでいた。もちろんJ君は来ていたが、驚いたことに彼は後ろの方で余裕をかましている。これが仮に仙台のA店やY店ならば、自分より前に20人も並ばれていたら、まず優秀台は取れない。しかし心配無用、前に並んでいる人達のほとんどは羽根モノ定量台の抽選狙いなのだ。
それにしてもこの地域はいかにも農業と見てとれる日焼けをした年配の人達が多い。J君曰く、この辺の農家の人達は夏の晴天時、日中は暑くて仕事にならないので早朝だけ働き、その後パチンコ店に来る人が多いとのこと。そして羽根モノの抽選にハズれると、半分以上の人はすぐ帰ってしまうそうだ。よって各台の釘は余裕を持って見られることとなる。
8時40分、入店開始。予想通り大半の人が羽根モノの抽選に並んだ。私とJ君は時間のロスをなくすため、二手に分かれ各シマを識別開始。だが、昨日までと違い千円ベースで50回を超えるお宝台のシマはなかった。
最も期待していた店だったが見事に出端をくじかれた。しかし今日のイベントコーナーであるモンスターハウスの釘はなかなか素晴しい。仙台の店に多い「道釘3本が団子状態」になっておらず、谷の2本釘は今までに見たことがないほどのプラス調整。アタッカー周辺、スルー、電チュー真上の釘も申し分なく、確変中に止め打ちすれば確実に玉が増えると思われた。
ヘソさえもう少し広ければお宝台と確信できるのだが、回転率は30くらいか。換金率が約2.63円(380玉で千円)、完全無制限なので普通なら絶対試してみたいところだ。
しかし他の店に美味しい台があるかもしれないので急いで退店。その後、打てる可能性の高い店を5軒回ったが、結局良い台は見つけられなかった。他にも店は何軒もあるけれど、釘が開いている確率は限りなく0に近い、とJ君は言う。
だから以降の予定として、一番目に行ったB店のモンスターハウスを打ってみて、ダメだったら海水浴へ行くことに決めた。
10時半、B店に戻ったら、さっき目をつけたモンスターの何台かが空いていたのでさっそく打ち始める。
私の座った台のデータをよく見ると、一昨日13回、昨日11回当たっており、確変突入率、初当たり確率ともに調子がいいようだ。しかし本日の回転数は0。なるほど、最後の当たりから35回転しか回してないので当分大当たりがこないと思って他の人は敬遠したとみえる。
打ち出してすぐに保留ランプがフル点灯し、2回転目でオバケ出現。これが右下にいき、つかみリーチとなった。図柄は7。5、6、7、止まらない…。戻りは? やはりあるはずもない。
ここまで絶不調の今月の私は、初回初当たりまでの平均投資額が2万円を超えている。ここらでお座り一発かとも思ったが、やはり調子は変わっていなかったようだ。
いきなり高信頼度リーチがハズれた後、お茶を買いに行こうと思ったら、最後の保留玉でまたもやリーチがかかり、オバケは出ないが、画面が白くなってコマ送りになった。オバケつかみに比べれば格段に信頼度は落ちる。
まさか当たるはずはないと思い、席を立った瞬間、ズバッ、なんと当たり図柄である狼男がデジタル真ん中に停止してしまった。約2年ぶり(最近この機種はほとんど打っていない)にモンスターで確変が当たった。感動! とまではいかなかったが、わずか6回転のお座り一発ということもあり、非常に嬉しかった。
これが珍しく6連チャン。その後、時短終了後67回転で3連チャン、これが終わり、時短後の16回転でまた2連チャン。打ち始めて2時間くらいしか経っていないのに手元にはアッという間に2400発のドル箱が10箱積まれ、シマ一番のトップ台となった。
そろそろ目立ってきたので、確変中の止め打ちを中止したが、普通に打っても玉はほとんど減らないし、出玉もいなかっぺ大将に負けないほどある(いなかっぺ大将シリーズはアタッカーの出来が良く、多い店では1回分の出玉が確実に2300発を超えていた)。
これで回転率が良かったら気分の良いことこの上ないのだが、なにせ当たりが早すぎて確認できない。早く時短を終わらせて、回転率を把握したいと思っていたら、今度は時短中におばけのっかりで当たってしまった。図柄は4だが、再抽選に突入。頼む、当たるな!
おかしなことだが、知らない店で出過ぎたり、目立ち過ぎたりした際、時々本気でこう思ってしまう。願いが通じたのか、なんとか9で止まってくれてホッとした(?)。
その後約1250発打ち込んだが、129回転しか回ってくれなかった。やはりヘソ幅が足りないようである。それに大当たり時や時短中もヘソの入賞状況がイマイチと思っていたので、この台を見切ることにした。
しかし今日この店にはもう一機種気になるシマがあった。それはパープルアイス5。
全台、スルー右側の釘がややマイナスだが、道釘は今まで打ってきたどの台よりもプラス調整になっていた。経験上、スルー入口の形状がイマイチでも10台に1台くらいの比率で玉がよくもぐってくれる台があると認識している。とにかく持ち玉がしこたまあるので、試さない手はない。
ここで電話が鳴った。携帯電話に神経質な店なので、店外に出て話をしていたら、不快な出来事に出くわした。店員がジロジロと私の車を覗き込み、何かをメモしていたのだ。
このことをJ君に話したら、最近この地域において一部の悪い連中によるジェットカウンターの不正操作、V2チップ等に対するゴト行為の被害が多発しており、店側はかなりナーバスになっているらしい。だから車両ナンバーチェックなどは当たり前で、特別気にする必要はないとのこと。考えてみれば宮城ナンバーは私の車1台だけ。注目されて当然か。
ところでJ君は他の店でやっと粘れる台が見つかったらしい。それでもし私の方がダメだったら、そこそこの台はあるので来てみたらどうか? ということをわざわざ連絡してくれたのだ。
しかし時間は12時50分。もう既に6万ほど勝っているので、余程の台がない限りこれから他の店に行ってまで現金投資をする必要はない。もしパープルアイスがダメなら、今日の仕事は終えようと思っていた。
ところが、試し打ち5台目にして出来の良い台を発見。とにかく見た目は悪いのだが、スルーを玉が気持ち良く通過してくれる。即座にベース20は切らないと判断し、技術介入の打ち方に切り替えた。
完璧に技術を駆使すると千円ベースで25回くらいの回りがありそうだ。しかしガラガラのシマでドル箱9つではあまりにも目立つ。だからここはアバウト打法で妥協。だが予想通り良く回る。240回転させるのに約2500発で済んだ。もっと玉を節約したらベース30回近く回るのでは? などと思ったが、今後のこともあるので出直すことに決定、今日は退くことにした。
…と思っていたら残っていた保留玉(293回転目)で3回目の予告が鉄板パターンの773で入ってしまった。直後、追っかけリーチとなり5で揃った。
気にしていた玉の増減は、道釘が抜群に良いせいか、半端じゃなく増える。次の大当たりの896回転目までで、なんと1300発近く増えていたのだ。2連チャンで終わってしまったが、これは2月に稼ぎまくった仙台P店のパープルアイス6以上に美味しい。
とりあえず今日はこれで十分なのだが、ここで少し欲が出てきた。100回転だけ、今度は完璧な止め打ち打法を駆使し、最高回転率を把握してから業務を終了しようと考えたのだ。
しかし50回転を超えたあたりで背後から
「なんだ、止め打ぢしてんでねーが」
という声が…。
間髪を入れず年配のおエライさんと思わしき人が私に話しかけてくる。「お客さん、すみませんが普通に打っていただけますか」と。
いくら指の動きが完璧でも、盤面を見られたのでは万事休す。せっかく見つけたお宝台だが、もう二度と止め打ちはできないだろう。
初日にして立ち回り大失敗。やはり持ち玉が多くて、こういう台を打つ際は細心の注意が必要である。こんなことなら先の当たりが終わった時に即ヤメするのだった。だが、もう後の祭り。
私は紳士的に注意してきた店員さんに
「やっぱりダメですか、じゃあすぐヤメます」
と言い、玉を流してもらった。
でもこの店員さん、嫌味なことを一切言わず、最後まで私を親切に扱ってくれたのは嬉しかった。
打ち方にクレームを付けられたのは残念だが、以後もこの店には遠慮なくこられることを確信し、遠征初日を終了。投資500円、回収6万9500円。不満が残るリタイアだったが、まずは良しとするか。
しかし今日の出来事が、今回の遠征の収支にとんでもないハプニングをもたらすとは、この時点では夢にも思わなかった…。
※高田松原…南三陸にある東北を代表する有名な海水浴場。黒松林が広がる、富士山こそ見えないものの三保の松原に勝とも劣らない風光明媚な場所。一昨年の東日本大震災の大津波により現在は壊滅状態。「奇跡の一本松」が有名となった。
※モンスターハウス[竹屋]…大当たり確率1/367、確変突入率50%、確変終了後100回転の時短が付くデジパチ。
※パープルアイス5[銀座]…大当たり確率1/241、1・2・3・5・7・9図柄で大当たりすると次回大当たりまで継続する時短が付く
【初出:パチプロ必勝本2000年10月号】
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