健康管理の重要性を痛感
  1. TOP
  2. 健康管理の重要性を痛感


※パチプロ必勝本2000年7月号に掲載されたものを加筆・修正しています


6月を迎え、この稼業を専門としてから2年半になった。色々苦労も多いが、今のところ何とか仕事として成り立っており、パチンコには『感謝』の一言。

しかし前にも言ったが、ひとつ大きな不満がある。それは泣けるほどの大きな感動を味わったことが一度もないということだ。パチンコで経済的に困窮している人からすれば贅沢な悩みと思われるだろうが、金を稼ぐこと以外に何か生き甲斐を見出さないと、人生が非常に味気ないものに思えてしまう。ちなみに私の知る同業の全てが、金を貯めたらパチプロとは訣別すると言い切っている。

ここでパチプロに本気でトライしようとしている人に老婆心ながら助言をひとつ。それは『将来自分が何をやりたいか』という目的をなるべく早く決めた方が良いということだ(一生パチプロでありたいという人は別。そんな人はいないと思うが…)。そうすれば張り合いが出て、稼ぎにもいっそう拍車がかかるだろう。できればその将来の仕事が少しでも世間の役に立てれば言うことなしなのだが…。また、そういう人が増えればパチプロの社会的地位が認められる日が来るかもしれない。



冷静、行動、観察、記憶、計算、忍耐、律儀、勤勉、素直、謙虚、優しさ、そして体力。

ベンケーシー(※)のイントロではないが、これは数多いパチプロの中でも私が一流と認め、なおかつ目標にもしているトッププロのY君とS君に共通している要素である。

私がこの仕事を始めた頃、パチンコ屋は戦場と信じて疑わなかった。それなりに気合いも入り、同業と思わしき輩が開店前の行列に割り込んだり、自分へのマーク屋行為を発見した際には、たびたび阿修羅のごとく怒ったりしたものだ。

反面、真面目でマナーの良い同業には積極的に話しかけていた。とにかく半分危なっかしい立ち回りが、結果的にはより多くのプロ達と知り合うきっかけとなった。これまで知り合ったパチプロの数は100人近くになるが、その中でもY君とS君は、タイプは違えどパチプロの鑑とも言える人物である。


今回は熱烈パチプロ・Y君のことに触れてみたい。彼は青森県出身の30代後半で、6年前まで営業職のサラリーマンだった。なんでも6年前、実家の商売が倒産してしまい、一千万以上の借金を背負ってしまった。

そこで一念発起し脱サラ即パチプロと相成ったわけだが、なんとわずか2年で借金を完済してしまった。彼は今でも郷里に幼い一人娘を残し、仙台で必死に働いている。多くの同業が苦労しているこの激戦区で、毎年700万以上稼いでいるY君はやはり立派の一言に尽きるであろう。


Y君の立ち回りを具体的に述べると、ホールが多数集中している地域の中に1軒、ホームグラウンドを持っており、もちろんこの近くに居を構えている。そこで打てる台がないと近くの十数軒のホールを見て回り、良い台を探して打つ、というものだ。

それでも打つ台が見つからないときは、徐々に行動範囲を広げていく。ただし彼は稼働第一主義なので、遠方で日当期待値3万5千円の台を1日がかりで探すより、近場で2万5千円の台を我慢して打つ、というスタイル。

いざ打つ台が見つかったとなると、9時から22時過ぎまで、小用に行く以外はただひたすら玉を打ち出す。昼食も抜きで滅多に席を立たない(彼に言わせると仕事中に大きい方の用をたすなどもってのほからしい)。

そして終わったあとは必ず近隣の何軒かを見てから帰る(閉店間際だと人が少なくて釘が見やすい)。たとえ大敗したあとでも、当たり前のように打ったあとの店回りは欠かさない。

月の休みは青森に帰る3~4日だけ、とにかく彼の仕事に対する姿勢には頭が下がる。今のトレンドである『40万くらい稼いだらその月はパチンコを止めて自分の好きなことに時間を費やす』という形態とは全く無縁なのだ。

私なんぞ、例えば20時頃に持ち玉が尽きてしまったら、店回りなぞせず、これ幸いと子供たちがまだ寝ていない自宅に直行してしまう。この辺を是正しない限り、私が彼の年収を上回ることは不可能だろう。いい加減なところがある自分には当分真似できそうにない。


Y君の素晴しいところはその人間性にもある。人一倍苦労人の彼だが、それを全く感じさせないほど明るく元気なのだ。そして他人の心の痛みも良く理解できる優しさを持ち合わせ、面倒見も良い。

仮に稼ぎがピンチの同業の友人がいたら、おそらくY君は平気で自分の知っている優秀台を教えてしまうであろう。そんな彼に唯一の弱点があるとすれば、それはあまりに頑張りすぎて体を壊す心配があるということだけだ。

とにかく彼は猛烈そのもの、月250時間以上稼働し、食事は1日1回23時過ぎに摂るだけ。金を稼ぐだけならこの方法がベストと言えるが、もし真似をしようと思っても大半の人は気が狂いそうになるだろう。健康にも極めて悪いので、こういう人もいるんだな、という程度にとどめておいてほしい。



5月6日(土)晴れ
今日は天気がよく絶好の行楽日和だ。きっと近郊の山々には、私の大好きな山菜がたくさん出揃っていることだろう。嗚呼、セローに乗って山へ行きたい!

しかし誘惑をグッとこらえ、自転車で最近の定番、駅前のG店へ出発。今日はいつもと通勤ルートを変え、仙台駅正面の青葉通りのケヤキ並木を見ながら行くことにした。

1週間以上前に通ったときは、まだ緑の息吹は見られなかったが、ここ最近のポカポカ陽気で並木の淡い新葉は、やっと2~3センチほどまで伸びていた。1年を通して、初々しく躍動感に満ちた新緑の今頃が、もっとも私をアウトドアライフへと誘う季節だ。

しかし今はじっと我慢の子。3月中旬以来ずっと打ち続けてきた、平均日当約4万円の牛若外伝のシマがいよいよ今月中旬に姿を消しそうなのである。だから今は打てる状態にあるかぎり、休みは取らないと決めている。先月の稼ぎが20万にも届かなかった仲間がいるというのに、何とも贅沢な悩みであるのだが。


いつも通り9時5分前にホールに到着。相変わらずガラガラのシマなので、台取りはいたって簡単。

さて、今日選んだ台はどんな釘調整かというと、ヘソは平行で極端に近いほどの上げ調整。ジャンプ釘も両方ともヘソとは反対方向に振って下げてある。一転プラス調整は1ケ所もない。釘読みの見識のある人にはクソ台としか見えないはずだ。

しかしこの台、ヘソ幅が先細りにならないかぎり、千円ベースで30回を切ったことが一度もない。まさに『自分の理想』とする、ヘソが平行でも1回交換のボーダーをクリアする可能性を秘めた『優秀なゲージ』の恩恵なのだ。同じタイプの機種「爆走トラック街道」などと比べると呆れるほどの違いがある。

この店の営業形態は2.38円交換の完全無制限で、全台持ち玉共有OK。おまけに私の他に2名のプロがほぼ毎日優秀台を打っているので(もちろん彼らとは仲良しで、玉の貸し借りをしている)、いくらハマっても午後からの現金投資はほとんどない。

こんな状態で1ケ月半も打てているので、収入はうなぎのぼり。絶不調だった年頭の不足分をカバーしてあまりある収支となった。

9時ちょうどに打ち出しを開始。今日も22時30分過ぎまで体が持ちますようにと願いながら…。


一昔前、他誌の有名な誌上プロが羨ましいことを言っていた。何でも午後5時以降は一般の勤め人に台を明け渡し、土日も同じ理由で仕事を休むとのこと。私も3~4年前の極めて甘い時期に1日の稼働時間をわざと減らした経験がある。

しかし最近はそれとは反対の立ち回りをすることが多い。ただでさえ厳しい状況の中で、他の人達と差別化を図るため、攻略打ちを多用する機会が増えてきたからだ。

特にゴム打ち等で回る台があったならば、よほど太っ腹の店でもない限り、できるだけ目立たないよう、なるべく土日祝日やイベントデーなど、混雑する日にしか打たないように心がけている。その結果、釘もけっこう持つことが分かった。

それにしてもこの店は良い店だ。連日平均4万も稼がせてもらっているのに、いつも店員さんはニコニコ。特別なマークも一切なく、鬼のように釘を叩かれたこともない。最近では自分がこのシマの『サクラ』的な役割なのだろう、と勝手に思い込み、その意気に応えようと連日休みなしで頑張っている。


さて打ち始めて285回転目、投資9千円で通常大当たりから持ち玉遊技になった。時間は9時56分、仮に飲まれても、一流プロである友人のS君が既に2500発のドル箱を4箱以上持って確変中なので現金投資する必要はない。この日も、以降22時30分までメシ抜きで頑張った。

大きいハマリは1013回転というのが1回。初当たり確率は3180分の9とやや悪かったが、確変図柄が16回も登場し、7万4千円も勝たせてもらった。途中、連日の睡眠不足がたたり、猛烈な睡魔に襲われたが何とかリタイアは避けられた。

ただ、S君は大変だっただろう。私と同様、ほぼ休みなしで打っているので体に無理がきたらしく、朝から何回もしゃがむ方のトイレへ行っていた。そしてついに20時ちょっと前、確変中にもかかわらず痛恨のリタイア。それまで35回もの大当たりを引いていたので、出玉は6万発を超えていたと思われるが、半分死人のような顔で帰っていった。


お互いパチンコ以外にやることがあり、毎日睡眠時間を大幅に削っているので、こういうことが起こっても何ら不思議はないのだが…。とにかくあと2週間の体力勝負。つくづく健康管理の大切さを痛感している今日この頃である。



※ベンケーシー…1962年~放映のアメリカのテレビドラマ。神経外科医の人間模様を描いている。

※爆走トラック街道[高尾]…大当たり確率1/315.5、確変突入率50%のデジパチ


【初出:パチプロ必勝本2000年7月号】