今年のお宝台は?
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今年のお宝台は?
※パチプロ必勝本2000年5月号に掲載されたものを加筆・修正しています
今から18年前、米国旅行中の飛行機で喫煙中(禁煙席だったが、近くに人がいなかったので吸っていた)、はるか後方から「ヒュー」という大きな指笛が聞こえてきた。振り返るとスティーブ・マックイーン似の中年の紳士が立っており、私を指差し、こう言った。
「HEY YOU! NO SMOKING」
当時血の気が多かった私のことだから、逆に喰ってかかって普通なのだが、その時は不思議とその紳士の毅然とした態度に感動すら覚えてしまった。
それは彼の立ち振る舞いがハリウッドの俳優並にカッコ良かったのと、どこの誰とも分からぬ人間に、自分に対する危険を省みず、公衆道徳を守ろうと注意するその姿勢と勇気に敬意を感じたからだ。
以来、この紳士とは大の仲良しとなり、同時に彼の生き方に感動もし、以降の私の人生観に多大な影響を及ぼした。そのことは現在の仕事においてもいかんなく発揮されている。
一例をあげると、開店前の行列への割り込みを発見した際には注意をするようにしている。これは相手の素性が分からず、少々勇気がいるのだが、穏やかに言えばだいたいは素直に聞いてもらえる。しかし中にはマナーの悪い開店プロ軍団やタチの悪い連中がいて、トラブルになったことも何度かあった。
そういう現場を何回か見ている仲の良い年配の同業は私のことを心配し、「得することはあまりないから、多少のことは目をつぶれ」と言ってくれるのだが…。しかし今後も私はこのような行為をやめることはできないだろう。
だが世の中案外捨てたもんじゃない。リスクを背負った行為をたびたびやっていたら、自然と大勢の人達と面識ができ、多くの素晴しい友人達とも知り合えた。おかげで、仕事上の情報網に関してはかなり恵まれた状況だ。
今思うに、18年前の彼は私に身をもって勇気の大切さを教えてくれたのだ。あのとき仮に彼がアクションを起こさなかったら、互いの友人関係は成立しなかった。そうなれば自分の人生観もさほど変わっていなかっただろう。勇気には常にリスクがつきまとう。だがそれを克服すれば、何物にも代え難い宝物を手にできる可能性を秘めているのだ。
前述のような理由で多くの優秀な同業達とも知り合えたわけだが、そのスタイルが何通りかあることが分かった。今回は、その中でも私と対照的なI君のことを書いてみようと思う。
彼は他県の出身で、芸術的な才能があり(特に絵画・彫刻において非凡なものを持っている)、その勉強のため来仙したのだが、学校を出ても不況の今、彼の納得できる仕事が見つからず、仕方なくパチンコで喰いつないでいる。
彼の行動パターンは、週に3~4日朝から自転車でテリトリー内を何件か回り、良さそうな台があったら打つ、というもの。稼働日数は少ないが、普通のパチプロとここまではだいたい同じである。
しかし、以降の行動パターンが私とは全く違うのだ。例えば日当期待値3万オーバーの台をゲットしたとしても、投資金額が自分の決めた上限に達したら昼過ぎでもやめてしまう。
そして、その後も店回りをせず、さっさと自宅へ戻り、美術関係の創作活動に没頭してしまうというものだ。これではいくら良い腕を持っていても月20~30万くらいしか稼げない。
お節介な私は彼に「それで生活できるのか?」と質問したことがある。贅沢とは無縁な彼曰く、「月10万あれば何とか生活できます」とのこと(彼はタバコを吸わず、酒も1人では絶対に飲まない。終日パチンコを打っている時でも、飲み物も滅多に口にしない)。
元々パチンコがあまり好きではない彼だが、以前一生懸命やりすぎて体を壊した経験があるので、こんなスタイルがベストなのかもしれない。
それにしても好きなことに多くの時間を使えるI君が羨ましい。ランニングコストが月に40万もかかる私には到底真似のできない芸当だ。
I君と出会うまで、パチプロのステータスシンボルは稼ぎ高の多さだと思っていたのだが、最近になって、稼いだ金額よりも「自分の意志でいかにパチンコ以外に多くの自由な時間を持つことができるか」が重要だと意識するようになった。これに関してはいろんな意見があるかと思うが、いずれにせよ、パチンコは肉体を蝕むことだけは確かである。
2月8日(火)晴れ
年頭から、今年は一体どんなお宝機種が出るのだろうかと気になっていたのだが、仙台市郊外の某店で、今日やっとその可能性がある機種に挑戦できる。
その名はパープルアイス6。
昨年出た兄弟機の5と大当たり確率と出玉は同じながら、時短突入率がなんと9分の7なのだ。その上技術介入の余地があり、一撃平均4.5連チャンと、時短中の玉減りがなかったら1回の初当たりで約8千発も獲得できるのだ。
実はこの機種、導入されてから今日で5日も経っており、一応3日目に釘を確認して、回りそうな台でも千円ベース20回に届きそうにないと判別した。それ以降無警戒だったのだが、昨日この店で他の機種を打っていたら、同業のM君にこんな質問をされたのだ。
「ここのパープルアイス、他の店のと違うんですよね。確率はいくらなんでしょうね」
私はこの話に仰天し、急いでパープルアイスのシマにいって確認したら、大当たり確率こそ書いていないものの、盤面下側に貼ってある紙に小さくパープルアイス6という文字が書いてあるではないか。そして左側に表示してある時短図柄を確認すると、本来非時短図柄であるはずの「8」がなんと時短継続図柄になっている。
迂闊だった。端から他の店によくあるパープルアイス5だと思い込んでいたのだ。M君の話によれば、入替から3日間、このシマは爆裂状態で4万発・5万発オーバーの台が続出したとのこと。あとから分かったのだが、このシマだけ店側が大損したらしい。恐らくほとんどの台が千円ベース20回前後回っていたのだろう。
時すでに遅しといったところだが、それでも昨夜目をつけていた台は今日も釘が据え置きで、他の台より明らかにプラス調整だ。
換金率約2.84円で無制限、しかも閉店時(23時)大当たり1回分の保証ありという条件なので、思惑通り千円ベース17~18回、時短中の玉減りが4.5連チャンで千発以内なら、期待値4万オーバーという久々の現金機でのお宝台だ。
9時ちょうど、スタートの音楽と同時に打ち始めた。無制限営業なので何ら焦る必要はないのだが、2年前までタイムサービスのある店で3回権利物や一般電役の優秀台をよく打っていた頃の習慣を思い出し、手元のドル箱とズボンのポケットには2枚の100円玉と4万円近い500円玉、そして2時間以上持つようにペットボトルの中ビンまで用意している。ここしばらくほとんどCR機しか打っていないので少しばかり新鮮な気分だ。
打ち始めて1時間経過、頭上の回転数表示は238回を示している。パープルアイスはほとんど打ったことがなく、1時間に200回以上回せるとは思っていなかったので嬉しい誤算だった。
投資金額はここまで1万3500円。千円ベース18回を何とかキープしている。当たりがくればもっと嬉しいのだが、まだ先は長い。とにかくパチンコは『終わった時でナンボ』のものなのだ。
さて次の500円硬貨を投入しようとした241回転目、鉄板演出の長いアクションで気を持たされたが、8図柄で止まってくれた。確率分母数ぴったりで当たるなんてそうあることではないし、しかも図柄が、パープルアイス5なら非時短図柄である8とはラッキーだ。ひょっとしたら現金機で今年初のホームランが出るかもしれないぞ、と自分に都合の良いように解釈してしまうほど気分が良い。
以降21時54分まで打ったが、とにかく時短の長いこと長いこと。しかし時短中の回転は同業の友人から聞いていた通り、べらぼうに早かった(確率の分母数を回すのに約15分)。
もっとも気になった時短中の玉減りは241回転で120~130個。千円ベース約18回転、初当たり確率1317分の7(時短中を除く)、時短図柄23回、非時短図柄7回。ホームランにはならなかったが、8万7千円も勝つことができた。
以後、この機種のスペックの甘さに魅せられ、都合8回打ったが負けは一度だけ! トータルで40万近く勝たせてもらった。ただし、入替から2週間経った時点で釘は全台壊滅してしまい、2月17日以降は一度も打っていない。
結論として、この機種の寿命は一昨年のカリブ6、昨年のサンダースケルトンよりもさらに短命で終わると思った。よって残念ながら今年のお宝機種ではないと諦めた。理由はスルー=回転率の単純すぎる釘構成(厳密にいうとスルーとは関係のないヘソ上部からの入賞ルートがあるのだが、電チュー経由に比べれば大した比率ではない)、ネカセにほとんど左右されない回転率にある。
もし私が店の経営者ならば、このような機種は絶対導入しないだろう。なぜならば、5と違いスペックが甘すぎるゆえ、爆発すれば4万~5万発オーバーも頻繁に発生するので釘を渋くせざるを得ない。するとスルーを悪く調整する必要に迫られ、時短中の玉減りが酷くなる。
つまり、他のデジパチのように「良く回るけど時短中に玉が減る」とか、逆に「回らないけど時短中玉が減らない」等の調整が不可能に近いわけだ。実際千円ベース10回ちょっとの台で打っていた人が、時短中700回も回せないうちに持ち玉がなくなったり、9連チャンもしたのに3千発に達しないなんてことも目撃している。そうなれば客離れはすぐ起こる。ちなみに8日間で時短を放棄した人を4人も見た。
もしこの機種が他の店に入ったとしても、打てるのはせいぜい2日が良いとこだろう。短期間でおいしい思いをさせてもらったが、肩すかしを喰らったような気分でもあった。
最近はまたCR機を打っているのだが、1機種だけでいいから早くお宝台に出会いたいものだ。できれば現金機でお目にかかりたいのだが…。
※パープルアイス6 [銀座]…大当たり確率1/241、1・2・3・5・7・8・9図柄で大当たりすると次回大当たりまで継続する時短が付く
【初出:パチプロ必勝本2000年5月号】
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