死ぬ時はたとえドブの中でも前のめりで
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死ぬ時はたとえドブの中でも前のめりで
※パチプロ必勝本1999年12月号に掲載されたものを加筆・修正しています
この仕事を専業にしてから2年近くになるが、状況は一向に好転しない。それどころかますます凌ぎにくくなってきた。仙台市近辺においては、先月などはボッタクリに近い営業の多さに辟易させられた。
…が、9月になっても現状は相変わらずである。11月現在、打ったのは76.7時間でプラス24万3750円。数字的には何ら不満はないのだが、内容は半分近くが日当期待値3万円には程遠い台を打っていた。
要するに試し打ちで当たったはいいが、持ち玉時給2千円をやっと超える程度の台で我慢しながら粘った日が多かったのだ。こんなことでは、いずれ必ずツケが回ってくる。
さて、正念場だ。選択肢は2つ。1つは良い台を打てるまでじっと待つ。そしてもう1つは遠征だ。月14万円の住宅ローンがなかったら前者を選び、その間、読書やパソコンに没頭するのだが…。しかし、常に崖っぷちの私はあえて後者を選ぶ。
旅打ちに出れば間違いなく必要経費はかさむ。それに良い台を必ず打てる保障などは何処にもないのだ。が、それを恐れていてはいつまで経っても黎明は訪れない。攻めあるのみだ。坂本竜馬のように、同じ死ぬならたとえドブの中でも前のめりでありたい。
もう腹は決まった。いざ出陣だ!
9月13日(月)快晴
朝6時、先月の家族旅行以来、約1ケ月ぶりに日本海側へ旅立つ。遠征先を新潟に決めた理由は、先月、友人のヒデキがそこそこの結果を出してきており、仙台よりは良い台を打てる可能性が高いという結論に達したからだ。
それに、また日本海の夕日を見ることができるし、学生時代の親友もいる。とにかく金のことはリアルに考えず、良い台を探して打つことだけを心掛けよう。
今日のルートは山形県南陽市から国道113号線を通り、新潟県北部に入る。そして村上市から7号線沿いに新発田市までのホールを見て回る。それで良い台があったら打ってみる、という予定だ。
新潟に入って最初に打ったのは2軒目の神林村にある中規模チェーン店。機種はCR海物語S5。換金率は約2.86円。
海物語のシマは全台ワープ入口が左右とも大きく開いており、ヘソも広め。ただし風車上が若干マイナスでヘソの上げ角度がやや足りない。道釘はノーマル調整。あとはネカセとクセが問題だ。とりあえず左側風車上が一番良い台を選んで打ってみることに。
予想に反してデジタルが思うように回ってくれない。千円で30回は絶対切らないと踏んだのだが、5千円使った時点で141回転。回りムラかとも思いもう3千円頑張ったが、結局228回転。ネカセが緩いのかクセが悪いのか、どうもイマイチだ。これぐらいの回転率で粘ったのでは遠征してきた意味がない。もっと早く見切るべきだった。
こんなことをしていたら今年も年収700万を突破できないぞ、と自分にハッパをかけ退店。
それから国道沿いを新潟方面に走り、9軒のホールを見て回ったが、贔屓目に見て打てそうな店は1軒だけ。何だか不安になってきた。
しかし新発田市に入ってすぐ、宮城県でもお馴染みの大手全国チェーンDが左手に見えてきた。何故か郷愁を感じる。
苦い思い出だが、5年前、パチンコ無知のボロ負け時代に6万円使って大当たりがこなかったのを、若い店員に喰ってかかったことが頭をよぎる…。
だが、この系列の店は社員教育が良く、どこへ行っても感じが良い。加えてハード面にやたら金を掛けないのもグッド。その分いくらかでも客に利益を還元しているはずだ。
平日の午後2時半過ぎだが、この店の広い屋外駐車場の2分の1は埋まっている。今まで見てきたどの店よりも圧倒的に客が多いのだ。これは脈がありそう。
早速、景品交換所で換金率を聞いてみると何と4円、宮城県ではお目にかかったことのない完全等価のパチンコだ。初体験に胸をワクワクさせながら釘を入念に見て回る。
ちょっと気になることがあった。それは台に顔を近付けて釘を見ていると決まって近くの人が『この人、何をしているんだろう?』というような顔で私を必ず一度は見るのだ。
なるほど、ここの客は台を選ぶ時、釘など見ずに台上部のデータを参考にする人が多い。新潟県には17日間滞在したが、その間、釘を見る人を確認したのは1回きりだった。
やはり等価のせいか、お宝台に近い釘調整は皆無だ。が、打てそうな台は何台かピックアップできた。たまたま打っても良いなと思っていたサービスコーナーのCR真ピカイチ天国Tが2台空いたので、寄りのマシな方をキープ。
予想通り回転率は千円ベース30回には遥かに届かず26~27回転。スペックの悪い台ではあるが、計算上は優良台となる。でも、どうにも感覚的に馴染めない。長い間2.38円の世界で打ってきたので、最近はこの程度の回転率で現金投資を長くやったことがないのだ。
負ける時は大きいんだろうな、と思いつつ5千円のカードを使い切り保留玉を見つめていると、残り2個で桜予告が発生した。図柄は九。一所懸命、可愛い子鹿が図柄を突っついている。これが当たり、再抽選で確変「夏」に化けた。回転数は627、自分で回した分は137回。2連チャンしたら一撃1万7千円だ。これが等価交換の魅力なのか?
この確変は運良く3連チャン、今日の収支は一気にプラスになった。しかもこれで回転率が落ちなければ時給3千円を上回る。勝負は続行だ。
それにしても左隣の台はよく回る。隣の人は保留止めもせず適当に打っているのに、時間が経つにつれ回転数の差は確実に開いてきた。千円ベースで30回くらいはあるんじゃないだろうか。にもかかわらず、約3時間で打ち手が3人も変わっている。自分の台は相変わらず27回くらいで安定しているのだが、どうにも隣の芝生が青く見えてしかたない。出玉も2箱を行ったり来たりのダラダラした展開で嫌になってきた。
とその時、場内放送で
「パイナップルボンバーとロードスターVの設定1の台を公表します」
というアナウンスが流れた。
興味津々だったので見に行くと、ボンバ-6台、ロードスターV4台に高設定の表示が付いていた。その内、ボンバーの1台はさっき見た時、千円ベース9回以上回りそうだと思っていたのでタバコでキープ。他にも1台空いていたが、釘はこちらの方が良いのでヤッターという心境だ。
ピカイチの持ち玉2箱は正確な玉数を知るためにカウンターに全部流し(等価の利点)、ボンバーを打ち始める。これが予想通りに回るので、また喜んだ(千円ベース10回弱)。出玉が普通であればお宝台に近い、とアタッカー周りをまじまじと見れば、あっ、しまった! どうにも話が旨すぎたはずだ。フルに10カウントまでいかないような釘調整だったのだ。
不覚!
打ち始めてから既に30分経ち、ピカイチには戻れない。とりあえず大当たりがくるまで打ってみよう。それで出玉が極端に少なかったらヤメればいいのだ。何にしても設定1なんだから、と自分を励ます。
午後7時10分、打ち始めて2時間以上経過、ここまで当たりは4回あったものの全て1R。出玉を確認しようにも大当たりが引けないのではお話にならない。投資金額も今の上皿を使い切った所でジャスト4万円。先月やっとボンバーで大勝ちしたと思ったら、またこれだ。換金率が等価でなかったらここまで現金投資しなかったのに…。
後悔先に立たずなどと考えていたら、玉がなくなる寸前、奇跡が起こった。いきなり赤いFが3つ揃ったのだ。ビタ止まりはいつも唐突で劇的。
そしてこれが7連チャン。どうやら博打台が天国モード(?)に突入したのか、以降順調にドル箱が増えていった。
午後9時半、約2400発のドル箱が11箱となる。一気に大逆転だ。あと1時間打ち込んでもプラス3万以上が確定したが、予想通りの出玉の悪さに先程から嫌気がさしてきたのでヤメることにした。
結局1回分の平均出玉は2100発弱だった。よくこれだけ勝てたものである。期待値だけで言えば先のピカイチの方が上だったのだ。明日はそれより回りそうなピカイチを打つぞ、と心に決め退店。今日は等価のハイリスクハイリターンを身を持って体験した1日だった。
本日の収支、投資5万3千円、回収10万6500円、プラス5万3500円。ラッキーを絵に描いたような結果オーライの旅打ち初日であった。
【初出:パチプロ必勝本1999年12月号】
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