大きな勝ちはひょんな事から
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※パチプロ必勝本1999年11月号に掲載されたものを加筆・修正しています


8月16日からの3日間、日本海側の山形県鶴岡方面へ、今年2回目の家族旅行に行ってきた。私の住んでいる仙台と緯度はほとんど同じながら日本海流の影響で気温が若干高く、太平洋側の三陸では味わうことのできない魚介類が食べられ、息子の大好きな南方系の虫たちもたくさんいる。

何より素晴しいのは、太平洋側では見られない、海に沈む夕日が見られることだ。トビウオがビュンビュン飛び交う洋上の小さな漁船から見る夕日は、まるで童話の世界にいるようで久しぶりに感動した。

アッという間の3日間だったが、海水浴、昆虫採集、釣り等思う存分アウトドアライフを満喫できた。



7月下旬、仙台を中心に5店舗ほど経営していた中規模クラスのホールがなくなった。原因はバブル絶頂期に投資した不動産が下落したことにあるらしい。

要するにホール経営だけしっかりやっていれば生き延びられたのだ。不況の今、何だかんだ言っても、ある程度の資本力と経営ノウハウがあればパチンコ屋は結構かたい商売なのだ。


さて7月までは、苦労しながらも日当計算3万以上の台を何とか探し出して結果も残すことができたのだが、8月に入り市内のホール状況は厳しくなってきた。従来どおり新台入替、イベント等をやってはいるのだが何とも渋すぎる。

例えばCRフィーバーカジノRX、換金率2.38円(今でも宮城県はこのレートが一番多い)の店で入替2日目、無制限でも千円ベース26~27回くらいの釘調整がやっとの有様だ。初日だって30回以上回る台を見たのは1台きり(しかも3時開店)。

とにかく市内で新台を登場させれば、極端に言うとボッタクリ調整だろうが、入れ替わり立ち替わり客は付いてくれるのだ。イベントもしかり、仮に当日4店がサービスデーを行っているとしよう。そのうち使えるのは1店がいいところ。たまに良いイベントもあるが、優秀台を打つには徹夜で並ぶ覚悟が必要となる。ましてや平常営業で日当の出る台を見つけるのは至難の業だ。それでも客は多く、売り手市場。

愚痴ばかり書いたが、これが8月の私の活動エリアの状況であった。ただでさえ稼働が少ない8月なのに、打つ台がない、並びがキツい、期待値を大幅に下回る、のまさに三重苦だった。

ちなみに8月中旬以降、雨後の筍のごとく登場したカジノは月末までに3千円しか打っていない。というより打てなかったというのが実状だ。


例年通り、9月にきたる飴に対しての鞭ならばまだ救いはあるのだが、もしこの状況が長く続くのならば他県への遠征を本気で考えなければならない…。



8月19日(木)晴れ
ギーッチョン、ギーッチョン。昨日までの旅行で虫好きの小2の次男と一緒に捕まえたキリギリスが朝から元気よく鳴いている。いつものように家族全員で朝食をとる(並びのキツいイベント日以外は毎朝家族全員の顔が見られる。サラリーマン時代、これがなかなかできなかったので、今は前日いくら遅くても朝食だけは皆と同じ時間にとることにしている)。

8時半、
「お父さん、いってらっしゃい」
と子供たちの温かい声援を受けて4日ぶりの仕事へ向かう。だけど悲しいかな、子供たちはまさか私がパチンコ屋に行くとは夢にも思っていないのだ(現在、身内で私の仕事を知っているのは唯一妻だけである)。

別に悪いことをしている訳ではないのだが、子供に私の仕事を話せないのは辛い。時々子供に仕事の内容を聞かれるが、別の仕事をしていると誤摩化している。いずれ本当のことを話すつもりだが…。


さて、憂いを背負って仕事に向かっても何の得にもならない。気分を変えるため、大好きな井上陽水の曲を大音量で聞きながら、車で約20分の今日の仕事場M店へ向かった。狙いは一列に2台用意してあるイベント用の甘釘サービス台だ。

1ヶ月ほど前に行った時は日当3万以上の釘調整は皆無でがっかりさせられた。しかし10日前のイベントに行ったT君によると、その時はサービス台の約半分は打つ価値があった由、淡い期待も持っていた。他の大型店のイベントなら早い時は6時に並んだこともあるが、ここM店は場末にあり、昔から近所の常連御用達の目立たない店なので9時に着けば大丈夫だ。

店に着くと真っ先にサービス台を見て回るが、贔屓目に見ても日当3万に達しそうな台は皆無。淡い期待はまたもや裏切られた。

がっかりしながらも他の台をチェック。その結果CRギンパラのシマに、風車が左向きでステージ入口の釘がプラス調整の台が1台あったのでとりあえずこれをキープ。その後パッションのシマに行ったら、以前からクセの良かった台が、電チュー左側の道釘の隙間が両端とも狭く、道上の左右2ヶ所の1本釘も通常より上を向いていた。千円ベース9.5回以上はあるだろうが間違っても10.5回以上は回らないと思われる。

ただでさえ相性の悪い博打台のパッションでは、設定2以上でなければ打つ気にさえならない。しかも既にタバコが置いてある。


また今日も店回りだけで終わるのか。とりあえず前回使ったカードの残りが4千500円分あるので、ギンパラを試し打ちすることに。間違って千円ベース20回以上あれば、粘ってみようかとも考えた。しかし4千円使った時点で、68回転しか回ってくれず退店を決意。

いそいそと車に乗り込んで駐車場を出た。が、ここからドラマは始まった。昨日までの食べ過ぎが祟ったのか、突然便意を催しトイレに行くため先の店に逆戻り。その時、店の古参の主任が
「久しぶりです。今までどこで打ってたんですか? 今日はギンパラとパッションが全台高設定ですよ」
とニコニコしながら声を掛けてきた。まさかこの言葉がこの後のとんでもない展開を引き起こすきっかけになるとは…。


トイレから戻ると先のパッションが空いている。主任の「全台高設定」という言葉を信じて設定2と仮定すれば、千円10回の台なら計算上ギリギリ勝負できるライン。そうと自分の中で決め込み、この台にて本日の仕事に取りかかることにする。


打ち始めてから46回転目、何気なしに見ていたFのノーマルリーチが緑で当たった。やっぱり今日も鬼門は突破できないか。しかし回転率だけは絶好調。ここまで3千500円しか使っていない。いずれ落ちるだろうが、回っている以上やめる訳にはいかない。

追加投資3千500円、41回転目、んっ! 赤い7が突然揃っているではないか! まさに快感、約2ヶ月ぶりのビタ止まり。


しかし2連チャンにて終了。やはり鬼門か。今まで嫌というほど味わった『19時以降追加投資持ち玉全滅お疲れさんパターン』が頭をかすめる。が、この直後から信じられない大間違いが始まった。


わずか3回転でこの機種において自己2番目の記録となる8連チャン、その8回転後にまた8連チャン。その次は158回転ハマったが、初当たり確率オーバーは何とこの1回だけ(159回転目で4連チャン)。その後初当たりで小当たり4連発を喰らったが、その間161回転しか要さず、直後6回転でまたまた確変5連チャン。次もハマらず7回転目で4連チャン。

この時点で何とドル箱は22箱、推定出玉約6万発。ついにこの店では、私にとって初めて、飾り玉として16箱が景品場に運ばれた。10箱を超えたあたりから周りの強烈な羨望の視線が気になって仕方なかったが、このくらい出るともう開き直れる。


それにしても、3年に渡り、この機種に何度辛酸を嘗めさせられたことか。3日で24万負けたのを筆頭に、小当り9連発が3度、5万以上負けたことは数知れず。一番悔しいのは、最高でも6万8千円しか勝っていないことだ。プロ仲間でパッション、ボンバーで10万以上勝ったことがないのは私だけ。

とにかくジャマイカと並んで鬼門の双璧なのだ。今日、仮に10万発出たって満足するにはほど遠い。現在、時間は午後2時過ぎ、今やめれば悲願のパッション10万勝ちだ。だが自分の信念を守るのなら、ハマろうが出ようが持ち玉で時給2千500円以上あれば22時まで勝負続行だ。


しかしそれ以降も予想に反して初当たりは全て確率以内、それも半分以上が確変、そして必ず2連チャン以上と爆裂モードは一向に衰えない。


17時過ぎ、さっきまでニコニコしていた店長が苦笑いしながら
「これで終わり、いや~、参ったなあ」
と言ってきた。そしてその後、この店の幻の伝家の宝刀『定量』をついに持ち出されたのだ。この店では今まで何回もゴト師と思われる連中に大量に出されたことがあるので、対策の一つとして無制限という言葉を死語にした(その代わり全台持ち玉移動自由)。


しかしたった今確変で当たった所なので、「これが終わるまでいいのか」と聞くと、それはOKとのこと。そして3連チャンで終了。17時20分、珍しいやめ方で仕事を終えた。

足元には19箱のドル箱。いつの間にか飾り玉の16箱をも超えていた。店員が3~4人で別々のジェットカウンターに玉を流している間に店長に何回当たったのかを調べてもらうと(途中からギャラリーの視線が気になり、データ記帳は一切ヤメ)、67回で店の出玉最高記録でもあるらしい。


約7時間で67回、その内4分の3近くが確変図柄だった。他の機種でこれくらい勝ったのなら素直に喜べるが、ことパッション、ボンバーに関してはこんなものでは気が済まない。今日みたいなことがもう2~3回あってもまだ不満である。

しかし今年の目標の一つ、鬼門機種での10万勝ちは達成できたのだから素直に喜ぶべきか。


本日の成績、投資1万1千円、回収22万(9万2427発)、収支プラス20万9千円。実働(打ち込み)時間は7.3時間、回転率にして千円あたり約10回。記録としては一昨年のホー助くんのプラス15万500円を大幅に上回る生涯記録となった。

それにしても何と波の荒い博打台だ。こんな出方ならクソ台でも軽く10万以上勝てるだろう。もちろん、その逆もある訳だが…。


次はジャマイカ! お前の番だ。首を洗って待っておけ。しかしこんな間違いは最初で最後かも…。

【初出:パチプロ必勝本1999年11月号】