紆余曲折があろうとも
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紆余曲折があろうとも
今回は少しでも稼働を減らそうとしている多くの同業者達のスタイルに今でも逆行している男のことを書きたい。
以前紹介したデータマンのT君は未だに換金率2.38円、千円ベース17~18回、ラッキーナンバー制のミルキーバーを月に330時間強打っている。収入は月平均35万くらいで、時給千円強にしかならない。
それでも苦労人のT君は
「時給千円弱のコンビニの深夜労働に比べれば天国だ」
と未だに言っている。
幸か不幸か彼は特別な事情によりこの店でしか打てないので、普通我々が打っている日当3万くらいの台を2年以上打ったことがない。だからこそ千円ベース17~18回のミルキーバーで2千回くらいハマっても精神的に耐えられるのだ(この時は2500発のドル箱を12箱飲まれた)。
それにしても知らないということは恐ろしい(T君ごめん)。いや強い。
とにかく彼は私の心配をよそに、少ないながらも勝ち続けているのでやめろとは言えない。
去年の8月、データ取りでの勝ち方を彼に伝授したとき、月トータルで1回でもマイナスになったら即ヤメしろと言っているのだが、そんなものはどこ吹く風。何回かピンチはあったものの、未だに勝ち続けている。全く彼には脱帽ものだ。
ここで読者の皆さんに注意。完全確率方式を未だに理解し切れていないオカルト派の彼が、ボーダー以下の台で1年近くも勝ち続けていることは紛れもない事実だ。だが、まともな神経を持っている皆さんには安易に真似して欲しくない。
理由は毎日14時間(仙台の店はほとんど9時から23時までの営業)、少なくとも15台以上の回転数、当たりの回数を把握することは、物理的、精神的、肉体的に難しいからである。
完璧なデータ取りをしても勝率7割弱なのだから、中途半端なデータ取りは大怪我の元だ。
それに少しでもパチンコの心得のある人だったら、いくら持ち玉時給抜群の3回権利物で無制限をゲットしたとしても、持ち玉ゼロになったとき、250発で17~18回転しか回らない台に平気で追い金をしないだろう。
計算上勝てると思っても、神経の方が持たないと思うからだ。
それでも何事も経験、是非試してみたい、と思う方はどうぞ。少なくともデータ取りが完璧であれば、1ヶ月打ち切った時点で負けはないはずだ。
ちなみに記憶力抜群のT君の頭の中は、ひとシマ18台のその日の稼働時間、投資金額、持ち玉遊技時間、当たり回数等全てインプットされており、それをトイレに入った時などに、専用ノートに書き込んでいる。
今までT君のやり方について概ね否定的なことを書いてきたが、読者の皆さんに見習って欲しいことが2つある。
1つは自己管理。T君が打っているミルキーバーのシマはあまり人気がなく、狙った台を取ることなどわけないのだが、彼は毎朝8時40分には店に到着している。開店は8時55分。打ち出しは9時だが、彼は8時58分には前夜両替しておいた現金2万5千円分の500円玉と数枚の100円玉を手元に揃え、上皿には125発の玉を流し、タバコ、ライターはもちろん、飲み物まで用意している。そして、9時の音楽が始まると同時に打ち出す。
私が知っている限り、このスタイルを崩したことは1度もない。書くのは簡単だが、毎日実践するとなると大変なことだ(彼の寝る時間は毎日午前1時頃)。
この精進の甲斐あってか、狙った台が取れなかったことは去年の8月以降3回くらいしかないし、タイムサービス終了の午前10時ギリギリに当たりを引き、無制限札をゲットしたことは数知れず。まさに、努力の賜物だ。
2つ目は常連とのコミュニケーションの取り方だ。他人が嫌がる行為をしないのはもちろんのこと、元々人がいいT君は常連のおじさん、おばさん達(このシマは年配者が多い)に好かれる。いや、嫌われないように努力している。
例えば飲み物を奢るなど当たり前、挨拶も自分から気さくに声を掛ける。自分がハマっていても、話し掛けられたら気軽に応じる。
そして、毎月勝っているなど間違っても口外しない。
憎めない性格の彼に関するエピソードがある。ある日の夜8時過ぎ、いつものように、明日打つ台を2~3台に絞り込んで観察していたら、そのうちの1台が初当たり連続1500回オーバーのハマリを喰らっており、しかもアバウトながら1万回転で初当たり確率が500分の1以下だったらしい。
しかし、この台を夕方以降打っていたのは、勤め帰りのサラリーマンではなく、常連のよく負けているおじいちゃんだった。この人は午前中から打つこともよくあるので、念のためT君はおじいちゃんに
「明日の朝この台を打ってもいいですか」
と話し掛けた。
この話を聞いたとき、私は大笑いしてしまった。普通の人ならハマっている人にこんなことは言えないし、もし言ったとしたら嫌な顔をされるか文句を言われるかのどっちかだ。
この後がまた傑作だ。おじいちゃん曰く
「俺、今日4万以上使ったがら明日もやりで(やりたい)。んでも、なじょすても(でも、どうしても)朝9時10分過ぎにしかこらんねがら(来られないから)、あんだ、はえぐきてこの台取っておいてけろ(あんた、早く来てこの台取っておいてくれ)」
これに対してT君は即座に
「はい、分かりました」
と答えた。
そして次の日、T君はいつも通り9時前に店に入り、9時10分に現れたおじいちゃんのために例の台を取ってやった。もちろん、彼は2番目に打ちたい台を打っていたが。
さて、この日の結果だが、T君が一番出ると思っていたおじいちゃんの台は投資3万強(追い金含む)出玉約3万8千発。ミルキーバー、18台中3番目の優秀台だった。そして彼が打っていた台は投資500円で出玉5万発オーバーのホームラン。見事トップ台となったのだ。
後日T君に、もし結果が逆だったら悔しかっただろう、と意地悪な質問をしたらこんな答えが返ってきた。
「大負けすることは度々あるが、それでも月トータルで勝たせてもらっている。それは常連や他のお客さん達が金を使ってくれるからに他ならない。仮に自分の打ちたい台(この店には一流のプロがやれるレベルの台はない)を他人に取られ、それが大爆発をしたとしても、その人は近いうちにきっと、それ以上の金を使ってくれる。それに、いつも俺ばかり勝ってたら常連があまりにも可哀想だ」
なんと殊勝な心がけ。こんな心の優しいT君を友人に持っていて私は幸せだ。
この先、月々15万でもいいから、ずっと彼には勝ち続けて欲しい。なにせ期待値マイナスの台を毎月打ち続けて11ヶ月で300万以上稼いだのだ。
これはトッププロが年間800万以上稼いだことより称賛に値する。と同時に、まだまだ一流にほど遠い私に活力を与えてくれる素晴しい出来事だ。負けるなよT君!
これから本気でパチンコでお金を稼ごうと思っている人達は、T君のパチンコに対する姿勢だけを見習って欲しい。とにかく間違ってもデータ取りで勝とうなんて思わないことだ。労多くして見返りは少ないぞ。
6月15日(火)
梅雨だというのに今日も朝から晴天で心地よい暑さだ。アウトドアライフへの未練が未だに強く残る私にとって、今日のような天気は欲求不満を増長させるだけだ。いっそのこと土砂降りの雨になってしまえ、と思いながら今日も仙台市東部の某店に向かっていた。9時ちょうどに店に着く。
今日も狙いはこの店ナンバ-1の不人気機種CRゴジラ2。しかし割数の高さは1番のコーナーだ。なにせ18台中千円ベース35回を超える台が、私の知っているだけでも4台あり、そのうちの1台がベース40回で出玉約2300発強、換金率2.38円、無制限ときているので、これは美味しい。
その上同業が手をのばせないほどのヘソの狭さ。社長出勤でもOKだ(私の場合9時30分)。
先週まで友人のS君が2週間で60万近く稼いだ、ベース40回オーバーだった2台の釘はさすがにガチガチに締められていたが、私がキープした台は今日で5日間も釘が据え置きだ。しかも、4日間で20万近く稼がせてもらっている。今日も同じ釘? こんなことがあって良いのだろうか。
とにかく最近はゴジラ様々だ。同じ359分の1ながら、2751回ハマリ、千回以上のハマリも幾度となく喰らった空手OHと比べると雲泥の差だ。
今までゴジラシリーズは30回以上打ったが、昨日現在で千回オーバーのハマリはたった2度しかない。それ以上に平均日当3万5千円以上の期待値の台をずっと打っていることがゴジラ様々の所以である。
9時20分、いつものように店内のパチンコ台を全部チェックしてから打ち始めた。昨日までと同じで、釘のメリハリがあるのは羽根モノとCRギンパラのシマで、打ちたい台があったのもこの2シマだけだった。
なるほど、この2シマだけ朝の台取りに苦労し、かつ客付きがいい理由が分かった。
打ち始めてから1時間、326回転目、右スベリから渦潮予告になり、9でリーチがかかった。
どうせまたメカゴジラの電磁波だろうと思っていたら画面が白くなり、今までで一番信頼度の高いメカゴジラレーザーに発展した。
必勝本には信頼度約35%と書いてあり、しかも図柄は当たりやすい9。
今月のゴジラシリーズでの現金投資は1日平均約7429円、最高でも1万1千円しか使っていないほど絶好調なのだ。今日も初当たりはこの時点で引けたのでは、と思い込み腕組みをしてふんぞり返っていたら8で止まりハズれた。
この時点での投資金額は7千円、千円ベースで47回。でもこの台、同じ釘で4日間打っているので、じきにベース40回に落ち着くことは承知している。
それにしても平常営業でこれだけデジタルが回れば気分が良い。こんな優秀台を13時間打てるのだから、仮に2千回ハマっても迷うことなく現金投資できるなんて考えてしまった。
しかし、まさかこれが現実になろうとは。鬼門のパッションや空手OHならいざ知らず、絶好調のゴジラで、この後記録的なドハマリを喰らうとは夢にも思わなかった。
午後2時55分、1751回転目、予告なしでゴジラが現れ変身、また当たらないメカゴジラ電磁波か、と思ったら、おっ赤ではないか、ゴジラが。
久しぶりにスベリアクションのない噴火なしの赤ゴジラで、やっと当たった。図柄は6、昨日から通算して2104回転。
本日のこれまでの投資4万2千円、千円ベースで42回弱。2日間に渡っての記録ではあるが、今年2回目の2千回オーバーのハマリだ。
ここで、余裕の苦笑い。やっと持ち玉遊技になった。少なくとも、この出玉が尽きるまでに370回転はデジタルを回せるはずだ。それに、今後は当たりが早いだろうと高を括っていた。
が、この後、余裕の苦笑いが勝利の女神の逆鱗に触れたのか、アレパチではないが数日間に渡る未曾有の地獄モードが待ち構えていた…。
以下、次回に続く。
【初出:パチプロ必勝本1999年9月号】
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