再スタートは牙狼だった
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※パチンコ必勝本DREAMS2010年11月号に掲載されたものを加筆・修正しています


さまざまな職業において、一流と言われている人たちに共通している点がある。それは自分のやっている仕事が心底好きだということだ。だからこそ苦しい時でも最後のひと頑張りがきくのではないだろうか。

私も好きで憧れていた職業があったのだが、自分には高嶺の花だと思って諦めてしまい、本気でアクションを起こさなかった。

今となっては年齢制限に引っかかってしまうので叶わぬ夢となってしまったが、返す返すトライしなかったことが悔やまれる。

とにかく人生は一度しかないので、特に若い人ほど自分がやりたいことがあったら、失敗を恐れずダメ元でもトライするべきだと思う。


ところで現在の私の主な仕事はというと俗に言う「パチプロ」であるが、世間にとってほとんど役に立たず、職場(ホール)においては良い成績をあげればあげるほど店や他人から嫌われる哀しい職業である。

それでも昔のように年収8桁の可能性があれば踏ん張りもききそうだが、状況が厳しい現在においてはそうもいかない。以前と比べれば収入もかなり落ち込み、精神的にもかなりツラいものがある。

そして残念ながら、他の多くのパチプロと同様に私も根っからのパチンコ好きではないので、いつこの稼業をおさらばしようか常に足元がぐらついている状況だ。

しかし日々の生活費は稼がなければならず、他にこれといった職能がない私にとって背に腹はかえられないのである。


いずれにせよ、好きでもない仕事をやっている以上、苦境に立たされた場合はなんらかのモチベーションがないとやり続けていくのは難しい。

まあ一番手っ取り早いのはパチンコを大好きになればいいのだが、これは今後も絶対に無理だろう。

それで数年前から、比較的短い期間に何かしら好きなことで達成可能な目標を立てることにしたのだ。ちなみに最近は大好きな趣味の昆虫採集旅行へ頻繁に行っている。

もちろん趣味だから当然金はかかるわけで、現在その資金を調達するために打っていると言っても過言ではない。そしてそれが今一番のモチベーションとなってなんとか打ち続けられているのだ。

読者の方々はバカバカしいと思うかもしれないが、他人に迷惑をかけないのなら自分の好きなことをとことんやってこそ人生冥利に尽きると言えるのではなかろうか。


9月上旬某日(晴)
朝6時過ぎ、趣味の虫部屋へ行ってみると「ギーッチョン、ギーッチョン」と北海道から持ち帰った「ハネナガキリギリス」が元気良く鳴いている。今日は天気が良いので本当は地元で今年初の秋の鳴く虫を探しに行きたかった。

しかし昨日まで北海道旅行で2週間近くも仕事を休んでおり、いくらなんでもそろそろ働かないと尻に火がついてしまうので、後ろ髪を引かれながらも虫がいる山と反対方向へと車を走らせた。


7時20分過ぎA店到着。ここは今年比較的多く通っている店であり、日当3万円を超える台に巡り合うことは少ないが、2万円クラスの台なら打てる可能性が高く空振りが少ないのでやってきた次第である。

まずは入場抽選をクリアしなければならないが、予想に反して30人くらいしかいない。私の今日の狙いはイベントコース(立ち回りに支障が出るので機種名はシークレット)になっているのだが、全部で20台あるので第一関門は突破できそうだ。


抽選の結果は最後から3番目だったが、入場してイベントコースへ向かうとまだ10人も先客がいない。ここまでは順風満帆だったが、釘を見た瞬間ガッカリしてしまった。前回のイベント時よりも全台の釘が明らかにしょぼいのだ。

すぐに他のシマもチェックしたが使えそうな台は見当たらず、最近にしては珍しく1発も弾かずA店を後にした。


今日は久し振りの出勤なので、終日テリトリー内の店回りをすることに決め、A店の近くから店回りを始めたが、8軒目の等価のB店でちょっと気になる台を見つけた。

それは牙狼の1台で、一見他の台と同様にヘソが先細りでとても打てそうにない感じだ。ところがたまたまその台のある一部を見ると、故意か偶然か明らかに他の台と違っていたのだ。

過去にも何回か同じような状況に遭遇したことがあり、その時は決まって1000円あたりの回転率が通常より5回転くらい上を行っていた。すかさず台をキープし、久し振りに出合った妙なお宝台であることを期待しながら打ち始める。


最初の1000円で22回転。本来どうみても20回転は回らない釘だが、やはりある部分の調整が原因で回転率がアップしている。等価なら多少出玉が削られていても十分打てるレベルだろう。時計を見るとまだ10時50分、時間もたっぷりあるので、この回転率が持続できればしめたものだ。

しかしその後回転率が失速し、1000円あたり20回転強に落ち着いてしまった。それでも期待値2万円以上は確実にあるので、終日打ち切ることを決意した。


それにしても以前と比べると状況が厳しくなった。これが10年前で、優秀な同業なら10人中10人がこの程度の台の勝負は避けただろう。

パチンコをあまり打ってない人からすると、日当2万5000円の台を打てるのに何が不満なんだ? ということになるが、1日単位でパチンコ収支を見ると、例えば牙狼のようなMAXタイプの機種においては日当3万円の期待値があったとしても、高換金の場合は勝率がそれほど高くはないのだ。

これがどういうものなのか、以前同レベルの牙狼を3日間打った時の経験に照らし合わせて具体的に言うと、初日マイナス3万円、2日目もマイナス3万円と、連続の負けが普通に起こるということだ。幸い最終日にプラス13万5000円と結果的には短期間では珍しく理論値と帳尻が合ったのだが。

もちろん3日間とも終日稼働で勝率は33.3%である。どんな人でも3日目の大勝ちについては嬉しいに違いないが、2日間で26時間も好きでもないパチンコを打っての6万円負けはかなりのストレスを感じるに違いない。

とにかくパチンコは勝った時の嬉しさよりも負けた時の精神的ダメージが大きいのだ。以前の一流のパチプロが、日当2万円くらいの台でも打ちたがらないのはこのあたりにも理由がある。


さて、その後も安定して1000円20回転以上をキープしていたが、打ち始めて1時間経過してもまだ当たりはこない。

12時前、299回転目で擬似連3回から魔天使つきでエンブレムが完成し、魔界竜リーチになった。エフェクトは赤、鉄板以外では最高の期待度になり、図柄は3なので当たれば魔戒チャンス突入である。

最近はあまり演出で一喜一憂しなくなったが、2週間ぶりに打っていることもあり、この時はかなりドキドキして画面に目が釘づけになった。

このような演出は1日打っても一度あるかないかのレア物なので、当たる当たらないは別として、私も少しはパチンコを楽しむべくしっかりと一部始終を見守っていた。しかし残念ながら魔界竜を撃破することはできなかった。

期待度が高かった故に落胆したが、まだ残り時間は長いので、すぐに気を取り直して次の回転への移行を待っていると、「パキーン」という音とともにエンブレムが完成しているではないか。

牙狼はひと月ほど打っておらず、このパターンでの大当たりはすっかり頭になかったので余計に嬉しかった。これが運良く8連チャンしてくれたので、気分的には楽勝モードである。

ここですぐヤメれば、この台の期待日当よりも多い金額が得られる。だがここでヤメられないのが職業パチンカーのツラいところ。もしここでやめるような立ち回りを恒常的にやらかしていたら、いずれ破綻してしまうだろう。


その後間もなく82回転で通常大当たりを引いたが、それから約5時間後の18時12分、13000発ほどあった持ち玉が1211回転でなくなってしまった。

まあこんなことは日常茶飯事であり、この後まったく当たらずボロ負けするか、はたまた逆転ホームランになるのか、まだこの時間ではまったく分からない。その後も黙々と打ち続けたが、一向に当たりはこない。


そして20時38分、半分眠りながら打っていたら台枠に頭を打ちつけて我に返った。考えてみればもう7時間以上も打っているのに1回も当たってないのだ。そのせいで、いつの間にか瞑想モードから睡眠モードへ移行していたようだ。

たまらず少し休憩を取ろうと保留玉の消化を待っていたら、ここで今日何度もハズしまくっているVFX予告がまた入った。しかし鷹麟リーチであったため、期待はできない。

当然ハズれるものだと思って見ていたが、直後に出現した稲妻を見て驚いた。なんと鉄板のレインボーだったのだ。表示器を見ると1826回転で、これでなんとか今年2回目の牙狼における2000回転オーバーのハマリを回避することができた。

再投資額は3万1000円だが、ここで初回と同じく8連チャンすれば再逆転である。すぐにセグを確認すると嬉しいことに魔戒チャンス突入パターンだった。そしてこれが幸運にも11連チャンし、22時5分、魔戒チャンス終了と同時に即ヤメした。


結果的にはほぼ期待値通りの収支だったが、4万5000円の負けを最後の1時間ちょっとで逆にプラス2万7000円まで持っていけたのは、マックスタイプの牙狼ならではの爆発力のおかげだろう。

たまたま今日は最後に出たから良かったが、本当にこの機種は1日単位で見ると博打そのものである。



投資…45500円
回収…18253個
大当たり…20回



懐かしい旅打ちの思い出

10年くらい前までは、気まぐれでよく旅打ちに出た。特に新潟へは足繁く通い、長い時で半月以上も滞在していた。その際、地元ではあり得ないことをずいぶん経験したものだ。その中でも1番印象深かったのは、3.3円の店で攻略打ちで1000円80回転以上も回る台を1週間以上も打てたことだ。

ところがこの時あまりにも出過ぎて目立ってしまい、終日打てたのはたった2日間だけだった(笑)。しかしそのおかげで連日日本海へ沈む夕日を見に行くことができ、その後で美味しい物を鱈腹食べていた。しかし最近は厳しい状況なので経費をかけてまで打ちに行けず、今にして思えば実に恵まれた良い時代であった。