2日連続のドロップアウト
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2日連続のドロップアウト
※パチンコ必勝本2009年5月号に掲載されたものを加筆・修正しています
今から10年以上前、この仕事を始めた頃は優秀台をゲットするため、夜が明ける前に並んだことがたびたびあった。台さえ確保すれば、ほぼ鉄板で日当5~6万(時には7~8万以上)の台を打てる店がテリトリー内に何軒があったのだが、初めて徹夜で並んだ時に苦い思い出がある。
それは冬の寒い日だったが、夜中の2時過ぎから辛抱して並び、やっとの思いで優秀台をゲットしたのだが、台に表示してある札をよく見たら「女性専用台」と書いてあったのだ(笑)。
台を取ってから一瞬でも頭上の札に目をやればすぐ間違いに気づいたはずなのだが、待ってる間の寒さと辛さゆえ、トイレと温かいコーヒーに気を取られすぎたのが失敗の原因だった。だがよく考えてみると、冬の寒さの中、外に徹夜で客を並ばせ、打つ前から疲れさせた店側にも問題はあるだろう(このような場合、今なら抽選にするはずだ)。
当時の店側の対応は、客に「打たせてやる」というような殿様商売的なところがあったように思う。それに比べれば、今はこの点については改善されて非常に楽になった。
ちなみに私の活動範囲において、朝イチから大勢の客が集まる店のほとんどは入場抽選を行なっており、開店の何時間も前から並ぶようなことはなくなった。それに加え、店員の質も格段に向上し、客に当たり前のように頭を下げるようになったのだ。
かつて店員がホール内で客の目の前でも平気でタバコを吸っていた時代に比べると隔世の感がある。これで毎日優秀台を打てるなら言うことないのだが…。
最近は以前より確実に台のクオリティが落ち、クギ読みだけではどうにもならないケースが多い。なので日頃の台確保は以前よりかなり大変になっており、現在仕事量のノルマをクリアしている台の半分以上は、打つ前から勝負ラインに達しているとは確信できないレベルの微妙なクギ調整である。
反面、換金率2.5円くらいの店で、等価のボーダーをも大幅に下回る台を、日頃から大量に置いているような超ボッタクリ店もほとんどなくなった。このような傾向は、要するに勝ち組と負け組の差を縮めようという店側の配慮なのかもしれない。これはパチンコ業界全体のことを考えれば良いことだと思う。しかし今後、私のような輩にとってはますます厳しい状況になってくるだろう。
2月下旬某日(晴)
最近私の地元宮城県は以前と比べるとだいぶ営業時間が長くなり、通っている半数以上の店が15時間以上の営業時間になってしまった(最長では16時間営業)。おかげで稼働日の多くは8時半から22時過ぎまで打っており、しかも行く店のほとんどは開店前に入場抽選を行なっているので、仕事の日は遅くとも朝7時には家を出て、23時過ぎに帰宅している。
それでも帰ってからすぐ寝るのならあまり体に負担もかからないのだが、毎日パチンコだけの生活は嫌なので、少なくとも帰宅してから2時間あまりはパソコンや虫の世話などで起きている。そのためここ数年、仕事をした日の睡眠時間は平均4時間くらいだろうか。
よってそれが4~5日も続くとかなり疲れがたまり、年のせいもあって以前のように1週間以上連続での終日稼働は不可能になった。ただ、近年は毎日仕事量が確保できるほど状況は甘くないので、それが幸いしてほどほどに休みが取れている。
しかし2月以降、テリトリー内において珍しく連日稼働できる良い状況が続き、3月に入ってからもそれが継続中で、相変わらず睡眠不足と戦いながら真面目に稼働している。ツキ指数が地獄のようだった1月の反動なのか分からないが、おかげさまでここまでは満足のいく結果も残せており、収支的には非常に楽な日々を過ごせているのだ。
そういった状況もあって、前回触れたように、もうこの辺で仕事を切り上げて、一刻も早く旅に出たいとウズウズしている。
しかしこれまでの経験上、こういう時は多少無理をしてでも打ち続けるべきなのだ。長くこの仕事をしていれば、いざ打とうと思っても長時間仕事ができない事態が必ずやってくる。それはどうしても避けられないのだから、むしろそういう時にこそ焦らないよう、状況が良い時は可能な限り稼働すべきなのだ。
とにかくこの仕事、一寸先は闇であり、ナメてかかるとろくなことがない。というわけで、今日も休みたい衝動をこらえ、朝6時半過ぎに家を出て、遠路30キロも離れている高換金率のD店へ一発大魚狙いでやってきた次第なのである。
この店も私のテリトリー内と同様に入場抽選を行なっており、まずは第一関門の早い順番を引かなくてはいけない。と言ってもメインイベントの日ではないせいか、抽選に並んだのは予想より少ない30人程度だった。
実は今日、最近のこの店の傾向から自分なりに何台かあたりをつけており、クギを開けた台に札を付けるわけでもないので、この程度の人数なら余裕で台を選んでゲットできるはずだと目論んでいた。
8時過ぎに抽選が始まり、私の番号は11番。8時20分過ぎに入場し、本命は時間効率が良い大海SPだが、台数も多く後からでも間に合うので、先に人気機種のキン肉マンのシマを覗いてみた。すると数台のヘソが少し開いていたが、打てるかどうかは微妙な感じだ。
こんな時、以前ならそのような台に私物を置いていくのだが、現在テリトリー内の多くの店は、朝イチの入店と同時に台取り券を渡されるので、そのようなことはできなくなっている。今日のような場合、私にとっては不都合だが、このようなシステムは平等と風紀を守る上で非常に良いことだと思う。
その後、すぐに大海SPのシマへ移動し、急いで流し見をした。その結果、若干へソを開けた台があり、シマが広い分その台数も多かった。ただしここもキン肉マンと同様に打てるかどうかは「?」が付く。
結局クギが開くという予想が当たったものの、結果論だが、違う地域のE店へ札台狙いで行った方が良かったのかもしれない。とりあえずその中でも比較的デキが良いと思われる1台を確保しようと思い、そこまで戻った。
ところがその台の前で、初老の男性が台確保券を持ったまま、マジマジとヘソを見ていた。たぶん台取り券を置こうかどうか迷っているのだろう。
しかしその時、私はとっさに台取り券をその男性の横から台に置いてしまった。「なんということをしてしまったのだろう」と思ったが、もう後の祭り。先に台取り券を置いたのは自分だが、これはマナー違反である。少なくともこういう場合「この台やるんですか?」とか声をかけなければいけない(ちなみに私が台を確保する際は、台取り券を置いてから細部をチェックするのでこのようなことにはならないが…)。
長年この稼業に身を置いていると、いつのまにか金の亡者になってしまっている。時たま何とはなしにこのようなえげつないことをやらかしてしまうのだが、その度に自分自身情けない思いに苛まされ、ますますこの仕事が嫌いになってしまうのだ。
話を戻そう。当然相手は文句を言ってくるはずなので、私は潔く謝って台を渡そうと思った。ところが次の瞬間、その男性は予想に反し、すぐに立ち去ってしまった。少し後味が悪かったが、普通はこれで一件落着だ。
だがここからが私の変わったところなのかもしれない。良い意味で言うと義侠心が強いというかお節介な私は、男性を追いかけ「さっきはすいません。良かったらあの台を打ってください」と声をかけたのだ。
するとその男性は「いいがら、俺こっつの台やっから気にすっこどねーよ」と他の台を指さし、東北弁で答えたくれた。とりあえずホッとしたが、この辺をとってみても自分はパチプロには不向きなのかもしれない…。
勝手に自分の中で一悶着を起こしてしまったが、8時半打ち出し開始。最初の1000円で23回転。この台は2ヵ月ほど前に一度打っており、その時は1000円あたり26回転ほどの優秀台だった。その時に比べてヘソがひと回り狭いが、この店の換金率からすれば、この程度の回転率でもなんとか仕事量を確保できそうだ。
しかし予想に反し、金額を重ねることに回転率は跳ね上がり、4000円を打ち終えた時点で112回転になった。たぶん上ムラだとは思ったが、やはりこの台はデキが良いのだろう。
そして次の1000円を投資してすぐの114回転目。この機種において通常時に自身初見の赤魚群が画面に現れ、直後に黒潮リーチとなり、緑色の髪のサムが画面右から泳いできたのである。
この確変は2連チャンで幸先良いスタートが切れた。ところがこの時、同じシマで打っていた例の男性が私の台を覗きにやってくる。おそらく内心は自分がまだ当たってないので快く思っていないはずだが、もう済んだことなので打ち続けるしかなかった。まあこの手のことは職業上仕方がなく、宿命でもある。
今はだいぶ割り切れるようになったが、かつてはこの手の問題で随分悩んだものだ。とにかくパチンコは自分さえ勝てば良いのであって、そういう図太い神経を持ち合わせていないとやってはいけないものである。いや、そう思うしかないのだ。
しかしそんな姿勢に天罰が下ったのか、この後急激に回転率が落ちていき、1回分の出玉で121回転しか回せなかった。ただこの時はたぶん下ムラだと考え、大して気にしなかった。要は次の1回分で復活してくれれば良いのだし、そうなると思っていた。
だが回転率はまったく上がらず、わずか354回転で持ち玉を切らしてしまった。やはり前回よりヘソが狭いのが原因だろう。この後、回転率はいくらか上がるだろうと思われたが、儲からない台だと見切りをつけた。
他にヘソが開いている台はまだあったが、見た目はどれもイマイチだったので、今月初めての2日連続ドロップアウトを決意。とにかく今月は稼働が多いせいで用事がたくさんたまっており、仕事ができないのは不本意だが、自分にとっては有難いことだと思いながら早めの帰路についた。
投資…5000円
回収…0個
初当たり…1回(468回転)
大当たり…2回
電話での大失敗
先日仕事中に携帯が鳴った。画面の表示を見ると、上3桁の数字が前日もかかってきた某ボッタクリ攻略会社と同じだった。今日こそ釘を刺してやろうと思い、「サトウさんか?」(某社の担当者の名前)と聞くと「そうです」と返ってきた。ここで私は「バカヤロー! 何回同じことを言ったら分かるんだ! 二度とかけてくるな!」と怒鳴ってしまった。
ところが「あの~、クワガタ…」と言ってきたので驚いた。なんと攻略会社ではなく、虫屋のサトウさんだったのだ。もちろん事情を話して平謝りしたが、早とちりのとんでもない失態を犯してしまった。とにかく今後電話での対応に気をつけようと心に誓ったのは言うまでもない。
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