何でみんな拍手しないんだ!
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何でみんな拍手しないんだ!
※パチンコ必勝本DREAMS2004年9月号に掲載されたものを加筆・修正しています
先般、東京の友人K氏が入院することになった。K氏とは7月に隣県の山形へ昆虫採集へ行こうと半年前から約束しており、都会人のK氏は非常に楽しみにしていたので、私としてもとても残念だった。
ところで、そのK氏は10年以上前に某攻略誌で文章を書いており、また一時はパチプロをやっていた。当時は本物の攻略法も結構あり、同年代の会社員に比べ倍以上の収入があったようだ。しかし、彼は将来を見据えてパチンコ業に見切りをつけ、年収が半分にも満たない公務員に鞍替えした。そして現在、彼が予想した通りパチプロは極めて厳しい状態に置かれている。
入院する彼のことについて触れたのは、K氏が私と同年代なのでそこはかとない不安に襲われたからだ。K氏は長年一生懸命働いて職場へ貢献してきたので、手厚い公的保護がある。これがもし自分だったなら…長期入院ともなれば、その間の収入がなくなるだけでなく入院費用が出ていくのだ。仮に今倒れてしまったら家計は即パンクである。
私はパチプロになりたくてなったわけではないけれど、せめてあと10年早くこの仕事に携わっていれば良かったと思っている(かつては強力な攻略法が結構あって、年収2000万以上稼いでいる人もいた)。もっと若いうちからやっていれば、今頃は本来やりたかった仕事に移れていたかもしれない。
7月初旬某日(晴れ)
6時半、昨夜携帯にセットしたビートルズの"抱きしめたい"で目が覚めた。近頃、仕事に対する情熱が薄れたせいか朝起きるのがつらくなってきたので、今朝は目覚ましにロックを仕込んでおいたのだ。
これが意外と相性が良いようで、気分よく起きることができる。ついでに気合を入れるべく曲に合わせてちょっと踊ってみた(笑)。まあ、朝イチからテンションを上げるのにはこれはなかなかいいようで、病み付きになりそうだ。
本日のターゲットは県南のパチンコ激戦区にあるA店。仙台市近辺の大規模店では、数年前から朝イチの入店で抽選方式を採用するところが多くなってきたが、割とのんびりしたローカルなA店は朝イチの並びがほとんどない店なので、未だに並び順で入店させている。いつもなら開店ギリギリでも余裕なのだが、今日は新海中心のイベント日ということもあり、最近には珍しく7時前に家を出た。
出発してすぐ、缶コーヒーとお茶を買うために自宅近くのパチンコ店の自販機へ立ち寄ったところ、なんとその店は6月いっぱいで営業をやめたと貼り紙があるではないか。
この店は私が中学生だった頃からあり、当時はお客さんの数も多く、近所ということもあってたびたびお世話になっていたお気に入りの店だった。最近はまったく使えなくなったので打ってはいなかったが、結構思い出もあったので、いざ潰れたとなるとなんとも寂しい限りである。
これでテリトリー内で今年9件目の廃業となってしまった。私も相変わらず厳しいが、パチンコ店の方はもっと大変なのだ。私はあと何年この稼業を続けられるだろうか…。
7時40分にA店へ着くと、もう20人近い人達が並んでおり、この店においては想定外のことだった。この人数だと儲け効率が比較的高い新海M56のサービス台を取れるかどうかは微妙なところだ。それでも30番以内なら他のサービス台は余裕で取れるのだが…。
8時50分、入場が始まり、私は19番目に店へ入った。いつものように新海のコーナーには所々サービス台の表示がしてあったが、いつもより台数が少ない! …ということはもしかして他のシマに!? と思い、急いで違う機種のシマを見に行ったら、ありましたありましたサービス台が。
どうりで新海の方は台数が少ないわけである。そこで私が選んだ台は、というより最初に出くわした台は9カウントの某フル時短機種だった。
店内を見回した結果、今日のサービス台のクギ調整には機種によって少し差があるように感じられた。M56はいつも通りでまあまあ、スキップ機能がついている機種はペケ、他の機種は可もなく不可もなくといったところだ。
さて、私が選んだ台はヘソ幅13ミリくらい、他のクギはほぼノーマル調整で、お世辞にもお宝台と言えるような調整ではない。しかし千円あたりの回転数は25回転を切らないのではと思えたので、予想が当たっていればこの店の換金率を考えると今時の優秀台には違いない。
店内を見回した後もまだ5分ほど時間があったので、ここ一週間の履歴を調べたら、総回転数15000回以上で52回しか当たっていない。しかも前日、前々日と2日続けて1000回オーバーのハマリがあったようだ。要するにドハマリ台である。ここで常連の知り合いが、「この台この頃しょっちゅうオススメ台になってっけど、出だごどねんだ。何がおがしんでねーがや」と声をかけてきた。
この店はこれまで私が見た限りいたってまともであるが、悪い輩が台に何か仕込んだ可能性がないとは言い切れない。実際、過去に2度、他の店で細工された台を打った経験があるし、時々、この手の話は新聞等でも見ている。でもあまり神経質になっても仕方がないし、ここはとりあえず打つしかない。
9時ちょうど打ち出し開始。最初の千円で29回、風車下からのこぼれ玉が少なく、なかなか良い感じだ。次の投資15000円目、31回転目で信頼度約30%のスーパーリーチに発展した。この機種は試し打ちを含め、過去2回しか打っていないので、ここはじっくりウォッチングを決め込む。
待つこと約1分、新海と違いかなりしつこい演出がやっと終わったと思ったら、なんと同じ数値が3つ揃っているではないか。通常図柄ではあったが、これにはちょっと拍子抜けした。というのも、前日・前々日の2日間とも最初の当たりが1000回転を超えていたからである。2度あることは3度ある。今日も投資額がかさむだろうと予測していたので、ちょっと嬉しい誤算だった。
しかし安心するのはまだ早い。まともな台(?)でも、500円で当たってそれから2000回オーバーのハマリをくらった…なんてこともあるのだ。
それにしてもフル時短機は良いものだ。しかもひと昔前と違って時短中に止め打ちを必要としない機種が多いから、少なくとも6分は楽ができる。
時短が始まってまもなく、20回転目に確変図柄でノーマルリーチがかかり、早く終われと思っていたら実にあっけなく当たってしまった。これはワンセットで終わったが、この後驚くべき出来事が起こっていた。なんと8回連続で初当たりが確率よりも早くきたのだ。こんなことは滅多にあるものではない。私の記憶ではこれまでのパチプロ生活で2回しかないはずだ。
20時、この日34回目の大当たりで既にホームランも確定した。持ち玉も5万発ほどあり、ドル箱も20箱を超えている。これでは今日はかなり注目されているな、などと思いながらトイレに立ったついでに飾り玉のフロアーを覗いてみると…とんでもない光景に唖然としてしまった。
私のを含めて別積みが9人分あったのも凄かったが、中でも「パイナップルボンバー」の飾り玉はすさまじく、巨大なピラミッドを形成していた。約2000個のドル箱を40箱までは数えたが、それ以上は確認するのに時間がかかりそうなのでやめてしまうほどだった。
この機種は波が荒く5~6万発は珍しくないが(私の9万発オーバーの生涯記録もこの機種である)、旧連チャン機が消えてから今まで、こんな凄い出玉は見たことも聞いたこともない。道理で私の台を見に来る人が少ないわけだ(笑)。
大勢のギャラリーが代わる代わる見に行く中、私も行ってみると、朝から打っていたお兄ちゃんがずっと粘っていた。釘はさほどではないので同業ではないようだが、なかなか良い根性をしている。普通このくらい出れば、とっくに帰っているものだ。
さて、その後自分の台へ戻り、22時30分まで打ったが、さらに4回大当たりし、最後にこの日最大のハマリ416回転を打ち込んで仕事を終えた。
本日の成績、初当たり22/4305→約1/196(時短含む)。確変図柄16回、普通図柄22回、投資1500円。回収12万6000円。
久々の大爆発だったが、例のパイナップルボンバーの前では霞んでしまった。ちなみに彼が玉を流すのを見たが、2000個のドル箱でゆうに60箱を超えており、玉を流す間もたくさんのギャラリーが集まってきていた。しかし当のお兄ちゃんはというと、少し離れたところから遠慮がちに見ており、素晴らしい生涯記録かもしれないのに、嬉しいどころかなにかバツが悪そうな顔をしていた。
そしてこれだけ大勢の人達が見ていたにもかかわらず、賞賛の言葉どころが、拍手のひとつもない。なぜか異様な雰囲気だ。これだからパチンコは暗いイメージがつきまとうのである。
彼が13万発を超える玉を流し終わった後、私は思わず拍手をしてしまった。はっきり言って私は完全にその場で浮いていたが(笑)、今でも自分の行為は間違っていなかったと思っている。その時私は、『なんでみんな拍手しねぇんだ』と心の中でつぶやいていた。
追記。この時私が打っていたのは「笑点」という、スキップ機能が付いている台で、1時間で500回転以上消化でき、普通の機種より1.5倍以上も仕事量を確保できる優れものだった。しかしこの手の機種は、その優秀なスペックゆえ短命に終わった。当時は立ち回り上、機種名を公表できなかった。悪しからず。
【阿川プロへの質問コーナー】
Q.
阿川さん、こんにちは。いつも日記楽しみにしています。新装オープンについて質問です。大昔なら確実に勝てた新装オープンですが、今は下手をするとまったく出ない時もありますよね。阿川さんは、こうした今のオープンイベントをどう使っていますか? よろしければ教えて下さい。
A.
私の立ち回り先において、ひと昔前なら考えにくいことだが、普通の日に打てても新装は使えないという店が多くなってきた。10年以上前は新台入れ替えは赤字になっても客に勝たせる、という考え方を多くの経営者が持っていた、と思う。
しかし、現在の新装初日なら多少釘を厳しくしてもある程度は客は付くはずだから、それに乗じて少しでも儲けようという店が多くなってきた。それが前述した現象につながっているのだろう。これは恐らく、撒き餌をする余裕がないほど経営が苦しいことに他ならない。
加えて私の地元では、新装オープンというとほとんどの店が昼、もしくは午後3時からの夕方にかけての開店である。せめて初日くらい等価にしてくれるのであれば、もっと積極的に行くのだろうが、いつも通りの換金ギャップなのに、しょぼい釘で稼働時間も削られたのでは旨みはない。それでも仕事なので、時々は開店前に並ぶが、せっかく取った新台を一発も打たないで放棄することもある。
ただ、未だに時々、儲け効率が高い機種が入ったり、店側の釘調整ミスや勉強不足で美味しい思いをすることがあるので、そういうことに関してはハゲタカのように目を光らせている(笑)。
※CR笑点YJ[平和]…大当たり確率1/359.7、確変突入率50%、全大当たり後に100回転時短が付く。盤面左下のタッチセンサーに手をかざすと変動が即停止する「スキップ機能」が搭載されていたので時間効率が非常に良かった。
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