やはり今年も洗礼は訪れた
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※パチプロ必勝本2001年2月号に掲載されたものを加筆・修正しています

誌上プロにおいて、現在の私のように月々及び年間の収入と稼働時間を公表するような人は少なくなった。来年からは私も公表をやめようと思っているのだが、それは本業に支障が出るからだ。

パチプロになる直前の会社員時代、『まな板の上の鯉』の心境を仲の良い同い年の女性に打ち明けたことがあった。その時の彼女の第一声が、

「でもいいじゃない。遊びながらお金を稼げるんだから。趣味と実益を兼ねるんだったら最高よ」。

当時、私が給料の他に年間300万ほどパチンコで稼いでいる(当時はかなり状況が甘かった)のを知っていたからこそ励ましのつもりで言ったのだろうが、これにはかなりショックを受けた。しかし彼女に悪気があったのではなく、素人としての正直な感想を述べたまでなのだ。

要するに、世間一般ではパチンコは遊びの範疇であり、仕事にできるとは考えられていない。また私の両親のように、諸悪の根源とすら思っている人が数多くいるのも現実だ(ちなみに両親には私がパチプロだとは知らせていない。また近所の人達に職業がばれないよう、なるべく近場の店で打たないよう心がけている)。

余談だが、マスコミに素顔を晒している誌上プロはあくまでも「タレント」であり、プライバシーの公表と引き換えに、ある程度のステータスを確保している。幸か不幸か私の場合、両親の目が黒い内は「タレント」にはなれないが…。


ところで、最近のパチプロは一昔前と違って、いくら頑張ったところでヒラ打ちで年収1千万円は難しいし、健康にも悪く社会的地位もゼロ。そう考えると、『自由』という大きなメリットがあるにせよ、決して魅力的な商売とは言えないだろう。

私にはK君とM君という友人がいるのだが、彼らは私より稼働時間が少ないながらも年収1千万を達成している優秀なパチプロだ(2人の間に面識はない)。えっと思われるかもしれないが、実は2人ともパチンコ以外に稼げる職業を持っているのだ。

彼らのプロフィールを簡単に紹介すると、K君は43歳。前職は東京の某有名ホテルマンで、パチンコ歴は25年。攻略法全盛の時代ももちろん稼ぎまくっていた。現在のもう1つの仕事は私の判断で公表を控えるが、非合法的なものではない。仕事量と年収の割合は、パチンコが月約200時間で40万強、1日の稼働時間は約10時間。もう1つの仕事は、月約100時間で平均月収約60万円になる。

一方のM君は36歳。前職は一部上場のコンピューター会社でシステム開発に携わっていた。パチンコ歴は19年で稼働時間と収入はK君とほぼ同じ。現在のもう1つの仕事は中古車販売業で、これまたK君と労働時間や月収ともに同じくらいである。

他に仕事上の共通点は、「マナーが良い」「同業とあまり話をしない」「なるべく目立たないような立ち回りを心がけている」ということである。違うところはK君が完全ジグマなのに対し(なので常連とはフレンドリーに接している)、M君は主にイベント狙いといったところか。今回2人のことを取り上げたのは、数多い同業の中にあって、一生パチンコと付き合っていくであろう数少ない存在だからだ。


私は1年ほど前から優秀な仲間に、「パチスロの勉強をしたら?」と言われ続けてきた。実際、今年からパチスロを始めた同業は確実に収益を増やし、なおかつ全体としての稼働時間も少し減っている。

とにかくパチスロは立ち回りこそ難しいものの、本物に当たった時の期待値の高さはパチンコなど足元にも及ばない。しかし、何事も猛烈にのめり込む自分自身が恐くて、パチスロに手を出したなら今度こそ完璧に目をやられるんじゃないかと二の足を踏んでいた(2月にジャングルパークを6日連続打ち切った際、スーパーリーチ時のあまりの画面の明るさに眼球が痛くなり、4日目以降は終日サングラスをかけて打っていた)。


そんな折、改めて2人のスタイルに注目したのだ。私は現在の成績に一応満足はしているが、将来の目標を達成するにあたり、1日も早くこの職業に別れを告げなければならない。月日は待ってくれないので、そのためにも、もっと上の年収を目指さなければいけないのだ。

彼らの大きな利点は、どんな優秀台でも目一杯打たない、というよりは打てないということ。これは二足の草鞋の宿命だが、両君とも「さあ、これから」という時に、度々残念そうな顔をして帰っていく。しかし、これがかえってパチンコに対する情熱を持続させている秘訣に思えてならない。

要は、好きな食べ物でも常に腹八分目くらいで我慢しているので、またすぐに食べたくなるし、その理由が別の楽しみのためにというのであれば、まさに言うことなし! なのだ。私も、来年は彼らが実践しているようなことを本気で考えようと思っている。


私は4年前から自分の打った台のデータを記録しているが、平均すると1年に3千時間近く打ってきたので、それなりに他の同業の人より確率の気まぐれを数多く体験しているようだ。今年は今までのところ大勝ちの方ではCRスーパーコンビのプラス17万500円。大負けの方ではCRニューロードスターVの9万2千円というのが記録である。

まあ、だいたい毎年こんなもんかなぁとは思うのだが、気になることが1つある。それは、例年必ず訪れる2千回オーバーのハマリが、まだ1回もないのだ…。



11月20日(月)曇り
昨夜の店回りで仙台市中心部の某店(2.38円・ラッキーナンバー制)に立ち寄ると、今日私の好きなミルキーバーをサービスコーナーにすると告知していたので、早速朝一で来た次第である。

と言っても、恐らくヘソを何台か若干開けるだけのしょぼい調整だと予想されるので、千円あたりの回転率は良くてもせいぜい20回くらいが関の山であろう。まあ他にもイベントを行っている店が結構あるが、どこを選んでも期待値は似たり寄ったり。

強いて言えば、仙台市郊外の人気店S(2.5円無制限)が、日当3万5千円くらいの台を作っている可能性があるのでどうしようかなとも思ったが、10台しかないサービス台(その中で期待値3万以上の台は半分以下)を取るためには朝7時半の抽選に並ばなくてはならないし、もしも50人くらい集まったのではリスクが大きすぎるので、これをパスしたのだ。


8時50分、今日はCRのシマは一切釘を開けない日なので、同業の数は少ないと思い、この店としては20分ほど遅く到着した。案の定、待っている人でパチンコの方は3人だけ。これが前述のS店だったら嬉しいのだが、世の中そんなに甘くはない。

9時過ぎ、気合いの入らない状態で目当てのミルキーバーのシマへ。順々に釘を見ていくもやはりしょぼく、最高の調整の台でも回転率は千円あたり20回もないくらいに思われた。今月は前月とは対照的に、昨日まで順調そのもの。稼働178.6時間で50万7550円の収入があるので、無理をして打つことはないのだが…。


今日のルールは初当たり7図柄で無制限、3と5は持ち玉遊戯OK、その他は1回交換。ただし、9~12時までと18時~20時までは、どの図柄で当たっても無制限。そして、1回交換の場合でも、上皿にしこたま玉を詰め込んで残しておいてもいいルールである。その他にも無制限になる条件があるので正確な期待値はややこしいが、最低でも千円あたり20回転は欲しいところである。

とりあえず一番気に入った台にタバコを置き、電卓をたたいてしばし考えた。回転率を1回転につき約13発と仮定し、千円あたり19.2~3回転でシミュレーションしてみる。出玉は6千発ギリギリだろうから持ち玉遊技にさえなってくれれば時給3千円を切ることはない。タコ回しで閉店の23時直前まで粘れば、初当たりは何とか11回取れる(閉店時1回分の保障あり)。無制限だったら迷わず打つのだが、この店のルールでは期待値3万には届かない。ちょっと迷ったが、まずは弾いてみることにした。


9時5分仕事開始。3千円打ち込んだところで70回転。今のところ見た目以上に良く回る。この先回転率は少し落ちるのだろうが、なかなか良い感触なので、この時点で終日勝負を決意した。そして、12時まで決して席を立たないように5万5千円分の札を全て500円玉に替え、お茶2本とコーヒ-1本を買って台に戻った。

10時29分、535回転目で今日2回目のコマ送りリーチがセンターラインにかかった。図柄はJACK。ミルキーバーのスーパーリーチはどれも信頼度がイマイチなので、またハズれるだろうと見守っていたら、案の定当たり位置を通り過ぎた…と思ったら、一瞬間をおいて真ん中に戻ってくれた。直後に隣のお爺さんが「こいづであだっと、いづばんきもづいいおねや(※これで当たると一番気持ちいいよね)」と言ってくれた。まるで自分の父親のような訛の強い仙台弁だったので、思わず笑って頷いてしまった。

ここまでの投資は2万4500円。確率オーバーではあったが、ここまでは思いの外回ってくれたし、何といっても無制限札が嬉しかった。とにかく3回権利物の持ち玉遊技は心強い。そして2回目の初当たりは割と早く189回転でやってきた。確変消化は2回合わせて101回転要したが、手元には2500発のドル箱が満タンで3箱ある。これで確率分母の倍はハマっても安心だ。

しかし、パチンコの展開はいつも自分の予想とは裏腹で、また確率オーバーを喰らい、持ち玉は745回転で消滅してしまった。


14時45分、追加投資4500円、828回転でやっと3回目の初当たりを引いた。周りを見ると、午前中に無制限の権利を獲得した人は、最低でも5箱以上持っている。私の台はここまでの初当たり確率が約517分の1。これまでのところ、この台が一番調子が悪そうだ。でもまだ時間はたっぷりある。とにかく終わった時に勝っていれば良いのである。

15時10分、4回目の初当たりを98回転でゲット。私はこの時点ですっかり安心したが、その後の展開は全く予想だにしなかった。

17時57分、907回転目で本日2回目の持ち玉壊滅。そして、ここからが長かった。


21時10分、遂に今年初の2千回転オーバーの洗礼を受けた。信じがたい話だが、知り合いの同業で今年8回も2千回転ハマリを喰らった人がいる。しかしもっと凄いのは、その都度全部勝っているのだ(※現在は時間250回転も回せない機種が多いが、当時の優秀台は通常時でも余裕で400以上回せる機種が多かったので こんなことが起こり得たのかも…)。

ん~まずい。9万5千円持ってきたタネ銭があと1万ちょっとしかない。このままハマリ続けると、あと40分ですっからかんだ。とにかく権利物の現金投資のスピードは、最近よく打っている新要件機の倍以上早い。

しかし、ここでヤメる訳にはいかないので(時給を落としても1日の仕事量を確保するのが私のポリシー)、友人に電話して金を持ってきてくれるように頼んだ。


21時35分、土砂降りの雨にもかかわらず、学生時代からの親友が笑いながらやってきた(彼はパチプロではない)。「しかし、おめも頑張っちゃなぁ。あどなんぼ使うのや」と言ってきたので、「2万円全部500円玉にしてきてけねが」と頼んだ。

2~3分後、友人が両手いっぱいに500円玉を持ってやってきた。とその時、彼が「あっ」といったので画面を見ると、久々にハイレグの女の子が登場しているではないか。何とノーマルリーチが当たっていたのだ。2154回転、再々投資6万3500円。時間は21時40分。今度こそ持ち玉が切れる心配はない。ここまで合計9万2500円使っているので負けは確定だが、とりあえずホッとした。

結局、閉店近くまで粘ったが、その後初当たりは1回しかこなかった。


最終成績は、初当たり確率4037分の5(807.4分の1)、総投資9万2500円、回収2万4千円、差し引きマイナス6万8500円也。回転率は千円あたり19.7回。年に数回の大ハマリがこの程度の台とは、何とも情けない1日だった。


最後に読者の皆さんへ、この狂気とも言える立ち回りの理由を説明しておくと、私は常にその日の仕事量(13時間、2万5千円以上)ということを意識しているので、例え夜に持ち玉が切れても原則として22時過ぎまで打つことにしている。一般的な考えとはかなり外れているこの方法は、かなりの精神力の持ち主で時給を落としてでも稼ぎたい、というハングリーな人にしかオススメできない。

ちなみに、関西に私と同じようなスタイルの親しいプロがいるが、時給は落ちたもののやはり収入は増えたようだ。ただし、換金ギャップがある店で夜になってからも度々現金投資をやらかすので、周りのプロからは狂人と見られているらしい。全く私も同じタイプなのだ。


※CRミルキーバー[ニューギン]…大当たり確率1/329.5、確変突入率100%、3回セットの権利物。