ウサギが欲しいんじゃない(藍川たお)
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今、曲を聴きながら見ているあなた、YouTubeを見ながら見ているあなた、ドラマを見ながら見ているあなた。ドパドパしてるー?

そんなあなたのために、先に結論を言います。現代のパチスロはスゴい。そして、それを作る人もスゴい。以上です。ここから先はドパガキ向けの文章じゃないので、気が向いたら本編をどうぞ!


最近「ドパガキ」という言葉をよく聞く。何なら自分も使う。天下のWikipedia様によると、ショート動画やゲームなどの刺激の強いコンテンツに慣れ、常に強い刺激を求めるようになり、集中力が続かなくなる若年層を揶揄するインターネットスラング、とのこと。

これすら読んでいられない。コラム提出前に読み返したけど、普通に飛ばした。


似た言葉として「脳汁」や「タイパ」など、これまでもいろんな言い方をしてきたけど、今はより抽象的になって、この一言に集約されつつある気がする。


かくいう私も立派なドパガキだ。イヤホンで曲を聴きながら、放置ゲームで素材を集めながら、YouTubeを見ながらご飯を食べていたことに気がついたときは、自分でも怖いと思った。あと、文字をずっと読んでいられないので、本はほとんど読まない。そんな私が最近見たのが『暇と退屈の倫理学』という本。

…を要約して解説している動画を1.5倍速で見た。

これが面白くて、この本だけは読んでみたくなったね。

その動画で印象に残ったのが、ドパガキ御用達のショート動画の話。ショート動画は暇つぶしにはなるけど、満足はできない。だから延々と見てしまう。これは目的やゴールがないからだ、と言っていた。

パチスロもドーパミンが馬鹿みたいに出るが、これに置き換えてみると少し違うなと思う。「CZを突破する」「ATに入れる」など、「勝ち」という目的に向かうための目標がところどころにある。

しかし、手を動かし、流れる映像を見ながらずっと打っているにもかかわらず、退屈になる瞬間がある。

そう、目的があっても、そこまでの時間が退屈であれば満たされないのだ。だからなのか、パチスロを打ちながらいろいろな動画を見ている人も少なくない。


人間は刺激に慣れる生き物だ。同じ状況にずっと居続けることに耐えられない生き物。ただ単純に「刺激」があればいいワケじゃないっていうのが、難しいところでもある。

動画では、ウサギ狩りの例が出されていた。

「暇だからウサギ狩りに行こうかな~」と思っている人が、銃を持って森に入ったところ、そこにいた人から「森は危険だから、ウサギが欲しいならあげるよ」と言われ、ウサギをもらった。このとき、どう思うかという話。

「いや、そういうことじゃないんだよな~!」となる人が多いと思う。ウサギ狩りに行く人は、ウサギが欲しいのではなく、「退屈」に耐えられないだけなのだ。

パチスロもそう。ただお金を入れて、ちょっと待ったらコインが出てくるかも、というだけだったら、打つ人は格段に減るだろう。

あのドキドキ・ワクワクする過程を楽しんでいるから打つ。だからこそ、通常時にも小さなドパを感じさせ、ワクワクできる台は本当にスゴいと思う。

某テーマパークのアトラクションも似ている。乗っている時間は数分でも、待ち時間は何十分もある。それでも飽きないのは、並んでいる間も世界観に浸れるように、小さな刺激が随所に散りばめられているからだ。


パチスロの通常時も、まさにこの「待ち時間」と似た感覚だと思う。

そして、数ある演出の中で、小さなドパと大きなドパをどう配分するか。その絶妙なバランスを作り上げているのが、開発の人たちだ。

本を読まない私に「読んでみようかな」と思わせたあの動画も、飽きさせない工夫の塊。刺激を求め続けるドパガキだらけの現代で、打ち手を飽きさせない台を作る。それを実現する開発の人たちは、本当にスゴい。

次に台の前に座ったら、その苦労にも思いを馳せてみてほしいなと思う。


ところで、1500字も読めた?