松真の世界
〜19講義目:収支表〜

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※パチスロ極Z2019年1月号に掲載されたものを転載しています


【収支表】しゅうし-ひょう

一般的な認識

パチスロの収支を記録しておくための表。近年では手軽に収支を入力できるスマホアプリも登場し、年間収支や機種別の収支を簡単に算出できる便利な機能も搭載されている。



主な使用例
    

「今月の収支表見たらゲロ吐きそうになった」

収支を付けることはプラスかマイナスか

パチスロを覚えてから5年くらいが経った頃だろうか。いつものように打ち散らかしていつものようにいっぱい負けた帰り道、ふと思った。

「今までの人生で、一体いくら負けているんだろう」

収支を付けていなかったから正確な金額を知る術はなかったものの、記憶を辿ることでなんとなくは分かった。たぶんスゲー負けているんだろうと。もちろん、パチスロを打っていなかったらその分キャバクラで豪遊したり、オレオレ詐欺に遭ったりしてお金を減らしていたかもしれないから、パチスロで負けていることが一概に悪いとは言い切れない。しかし、パチスロで勝っていたら、もしくはそんなに負けていなかったら、今よりももう少し幸せな人生を送れていたことは確かだ。

パチスロライターという職業に就いてから、ちゃんと収支を付けたほうが良いという噂を聞いた。自分がいつ負けているか、どのホールのどの機種で負けているか、そして、どのくらい負けているか。それらの情報を正確に記録しておくことは、勝つための礎となる可能性があるのだと言う。ほんまかいな。そんなけったいな話があるんかいなーーそう思いつつも、僕はとりあえず収支を付けてみることにした。その結果、本当にスゲー負けていることが判明。なんだかんだいっぱい勝つ時もあるんだから実はそんなに負けていないのでは…という一縷の望みは、粉々に打ち砕かれた。

そんな中、気付いたこともある。それは、勝った日はホールを出るや否やすぐに細く正確に収支を付けたくなるのに、負けた日は収支を付けること自体をヤメたくなるということ。事実、負けた日は収支を付けないことも多々あるため、実際の収支は記録されているものよりもだいぶ悪い。収支表なんて誰に見せるわけでもないのに、それを誤魔化したところでお金が返ってくるわけでもないのに、少しでも自分を良く見せたいという人間の悲しい性は、収支表にも顕著に現れる。

問題はそれだけではない。むしろ1番の問題は、収支を付けているおかげでただでさえグラグラな立ち回りがさらに揺らいでしまうことだと思う。例えば、月間収支がちょうどマイナス10万の状態でその月の最終日を迎えたとする。その場合、なんとか月間収支をプラスにしようという意識が働いてしまい、高確率で凱旋を打ってしまう。運良く大勝ちが続いた場合もそう。収支表の見栄えをさらに良くしたいという無意味な欲が出てしまい、いつも以上に根拠もクソもない立ち回りを繰り出してしまう。それらの負けは、言わば収支表を付けているからこその負け。勝つための礎となるはずの収支表が、人によってはむしろ足枷となる可能性もあるのである。

しかし、現在も僕は健気に収支を付け続けている。無論、年間収支がプラスになったことは1度もない。それどころか、月間収支がプラスになったことも数えるほどしかない。今年なんて酷いもんだ。三重県のオールナイトで2万3千枚を出すという最高のスタートを切ったにもかかかわらず、現時点での年間収支はマイナス70万くらい。この感じでいけば12月も余裕で30万くらい負けるだろうから、逆ミリオンを達成する日もそう遠くないだろう。

では、なぜ足枷になると分かっていながら、僕はいまだに収支を付けているのか。それは、僕の真っ赤っかな収支表を見て、読者の皆様に自信を持ってもらいたいから。加えて、こんなに負けている可哀想な僕を、誰かに優しく慰めて欲しいから。そんなわけで、今回は僕が厳選した珠玉の収支表を2ヶ月分この場に晒してみようと思う。最近、雑誌やDVDをすべてチェックしているらしい母親がこのページを見ないことを、心の底から祈っている。




パチスロ人生やり直したい(松真ユウ)。