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有利区間
※パチスロ極Z2018年12月号に掲載されたものを転載しています
【有利区間】ゆうり-くかん
一般的な認識
押し順ナビを発生させられる&押し順ナビにかかわる抽選を行える区間。CZ抽選やAT・ART抽選は、主に有利区間中に行われる。

主な使用例
「有利区間あと15Gしか残ってないじゃん…」
誤爆がなくなったらもう生きていけない
今では当たり前に聞くようになった有利区間という言葉。この言葉に対して、読者の皆様はどのようなイメージをお持ちだろうか。おそらく、大半の方は「つまらなくなった」とか「夢がなくなった」とか、一撃で獲得できる出玉に上限が設けられたことをあまり良く思っていないと思う。しかし、そういう方々に僕は言いたい。有利区間の存在を誰よりも憎んでいるのは、他でもないこの僕ですよ、と。
そもそも、有利区間とは何なのか。スーパーざっくり言うと、「あまり出過ぎないように一定のラインを超えたらAT・ARTを強制終了させるシステム」のこと。5.9号機・6号機ともに、有利区間は最大1500G。6号機に関してはこれに「一撃で獲得できる出玉は最大2400枚まで」という直接的な上限も設けられているため、どんなに奇跡的なヒキを発揮したところで、一撃でそれを上回る出玉を獲得することが不可能になった。
では、この有利区間という存在は業界にどのような影響を及ぼすのか。
まず懸念すべきは、単純に遊技人口が減ってしまうことだろう。夢を求めてパチスロを打っている人は少なからず離れていくだろうし、仕様をよく知らない人はAT・ARTを強制終了させられたことに不満を抱くだろうし、残念ながら、遊技人口が減ることは避けられないと思う。もちろん、有利区間のあるパチスロが面白くないというわけではない。5.9号機の件はさて置き、6号機第1弾として導入された「HEY!鏡」が安定した稼働を維持していることがその証明だろう。
しかし、僕が懸念しているのはそういう表面的な部分のことだけではない。むしろもっと懸念すべきは、勝ち組・負け組間の格差がさらに拡大してしまうことだと思う。我々負け組が負け組である最大の要因は、高設定を掴む能力が乏しいところにある。言い換えれば、我々負け組は低設定の誤爆による勝ち方以外の勝ち方を知らない。例えば、パチスロを適当に10日間打ったとする。そのうち7日は順当に3万くらい負けるだろう。残りの3日は誤爆のおかげで3万くらい勝てるだろう。つまり、10日間でのトータル収支はマイナス12万くらいになる。1日あたりの収支に換算すると1万ちょっとのマイナスになるから、我々は「1万ちょっとで遊べたならまぁいいや」と開き直り、またのこのことパチスロを打ちに行くのである。
ここで、有利区間の存在を思い出しし欲しい。有利区間があるパチスロだけを適当に10日間打ったとして、果たして3日も勝てるだろうか。
おそらく、勝てないと思う。なぜなら、有利区間の存在がせっかくの誤爆をいちいち食い止めてくるから。当然、誤爆はそんなに頻繁に起こるものではない。だからこそ、誤爆が起こった時にどれだけそれを伸ばせるかは我々にとって極めて重要なポイントであり、その誤爆を強制的に食い止められてしまっては勝てるものも勝てなくなってしまう。AT・ARTの強制終了は、すごろくで言うところの「ふり出しに戻る」のようなもの。誤爆なんて1日に1回起きれば御の字なわけだから、低設定を長時間打ち続けたらどうなるかは言うまでもないだろう。
つまり、我々が有利区間のある機種で勝てることがあるとしたら、たまたま浮いたタイミングでヤメるかたまたま高設定に座るかの2パターンのみ。それ以外のパターンでは基本的に負けるだろうから、負け組は少しずつ淘汰されていくに違いない。高設定を掴める勝ち組は高確率で勝ち続け、高設定を掴めない負け組は高確率で負け続ける。その構図が今より明確になってしまうことが、有利区間がもたらす最大の弊害なのではないだろうか。
今後、業界は少しずつ6号機時代へ移行していく。ホールが完全に6号機で埋め尽くされたら、誤爆狙いは通用しなくなるだろう。では、その時までに我々がすべきことは何なのかーーそれは、高設定を掴めるようになることでもなければ、ちょっとでも浮いた時点でヤメられる精神力を身につけることでもない。メーカーさんが何らかの抜け道を必死に探し出し、再び一撃で万枚を狙えるような荒波マシンを産み出してくれることを、ただただ祈り続けることだけなのである。
メーカーさん頑張ってください(松真ユウ)。
