闇7-奪われた出玉ver.-
エピローグ~凄惨なる清算現場~

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5月某日、辰巳出版の会議室に置かれたイスにまー棒と松真、そして四帖半が着席していた。

四帖半(以下、四)「まずはお二人さんよ、コイツを見てほしい」

パチ&スロ必勝本 / パチンコ・パチスロ攻略 (C)UNIVERSAL ENTERTAINMENT (C)MIZUHO

四「俺たちが血反吐をはきながら闘った闇7決勝の最終局面、四帖半こと俺が…この俺っちが、うまうまと天井までハメてやった証だやな」

まー棒(以下、棒)「………」

松真ユウ(以下、松)「………」

四「ああ、そうか知ってたか! いたものね、君たちも現場に。見てたものね、俺が天井に到達して、まさに天上人になる瞬間を…さ! じゃあ、この写真も今さら見せるコトもねえか!」

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四「800だってよ! 800!! 天才じゃなかろうか。そんでコレだものな!!」

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四「3825枚だってよ!! 英雄じゃなかろうか。結果流したのは3868枚。個人的には7万使ってるから、7000円しか勝ってないけども。ま、そんなことより、リザルト画面の写真を読者さんに見せるため、閉店ギリギリでATを消化しきるあたりがホンット真心のこもった実戦人って感じがするよね。かつ…ウフフ、かつ俺が…フフフ、優勝…ヌハハハッハッハハーン!! しちゃったワケじゃなーい!? アハハハハハハ!! んでさ? モノは相談つーか、やっぱホラ、ルールにはちゃんと従って、俺だけが全ての出玉をいただ…」

棒「いいからさっさと分配しろや!!!」

松「そんなん、ダメに決まってんでしょ」

四「おいおい~ジョークだぜ? マジに受け止めんなよ~。全く、日本人はコレだからアレだよな」

棒「いいからさっさと……」

松「四帖半さんが言っていた通り僕らも一部始終を見てましたから。早く清算してください(イライラ)」

四「わかっとりゃあす。カリカリしなさんな。飴ちゃん食べる?」

棒「あーもうダメだ俺、あーもうダメだ俺」

松「ま…まー棒さんがキレる…! 早く、四帖半さん早く清算!」

四「ちょ…わかった。マジでやるから。計算するぞ? まー棒、その刺す感じで持っているボールペンを置いて」

棒「ちゃっちゃと茶番を終わらせて金を分配してくれりゃあいいんだよ」

四「わかったよ、じゃあ行きます。さて…落ち着いてよく聞けよ? 決戦での3人の出玉が…

四帖半→3868枚(投資70K)
まー棒→872枚(投資33K)
松真ユウ→163枚(投資52K)

TOTAL:4903枚(累計投資155k)

…だから決勝でのトータル収支はマイナス58K、残念ながらひとり頭19000円のマイナスだな。面倒だから1000円未満は無視するぞ。で、予選でのプール金が55万6000円、1人頭18万5000円だから…19000円引いても…うん、16万6000円も勝ってるぞ!! 充分だね!! オホホイ」

棒「ちげぇーだろうよ、なんでわけわかんない計算してんの? 決勝の部分だけノリ打ちみたいにすんなよ」

四「ん? ああバレたか。俺の投資が結構イッちまってたもんだから」

棒「バレるわ!! 俺たちが山分けすんのは出玉だけでしょーよ。予選の55万6000円、決勝の9万7000円、これを合わせた65万3千円じゃん」

松「ですよね」

棒「ひとり21万7000円ずつ戻ってくるワケだ。予選と決勝で85K投資の俺としちゃあ約13万の勝利。ま、我慢できる範囲かな」

松「僕は2戦の総投資が133Kなんで…約8万の勝利かぁ…まぁピンで打ってたら負けてた内容ですから充分ですね」

四「俺は総投資が89kだから…約13万勝ちってか…? なんだかこんがらがってきたぞ? まぁでもなんでもいいや。これでこのアホ企画ともおさらばできるんだし。13万もありゃあ堀北さんの写真集も買えるでしょうし。じゃ、コレで話は終わったな。アバヨ、野郎ども。次会う時もお互い冥府(ハーデスのシマ)だろうぜ」

松「全然カッコよくないんですが…」

棒「ほっときゃいいんだよ」





このようにして闇7~奪われた出玉ver.~の全ては終了した――ハズだった。

3人の男たちが各々、会議室から去ろうとしたその時、扉を開いて現れた男がいた。その男の名はオペル佐々木。

オペル(以下、オ)「おお、四帖半、決勝代わってくれてありがとう。代打ちとして決勝に出てくれたうえに、優勝までしてくれるなんて、三國さん(天牌の人)かと思ったよ。ホイ、じゃあ優勝賞金ちょーだい」

四「はい?」

棒「お疲れー」

松「お疲れ様でしたー」

四「待て! ウェイト! 色々待て!!……オペルさん、代打ちって何のコトかね? まー棒と松真くん、この局面でお疲れ様はないだろ普通は」

オ「いやだから、俺の代わりに出て優勝したんだからさ、賞金を俺によこすのが人としての道理だろ」

四「そんな道理ないわ! それにアレだ、よしんばその理屈がまかり通るとしてもだね、貴方が期待しているような賞金はないぞ? 俺達で山分けしちまったからな!」

棒「じゃ、我々はコレで…」

松「失礼しまーす」

四「敏感に危険を察知してんじゃねえっ!! こうなったら一蓮托生なんだよ!! オペルの口を全員で塞ぐ方向で動かないと、俺だって今すぐこの場で脱糞的なことをせざるを得んよ!?」

オ「脱糞はやめろ、四帖半! それになんだよ山分けって? 勝手にルール改変してんじゃないよ。まぁ流石に優勝賞金を全額頂くのは無理かなって俺も思ってたよ。でもね、決勝に行けなかった俺が言いたいのはさ、本来の権利を持つ俺が何故、投資の33Kだけを背負って、5539枚を献上しなけりゃならねえのかって話なんだよね」

四「知るかっ! お前さんとこの御子息がお熱を出したって言うから、義の星を持つ男であるところのこの俺が、わざわざ危ない橋を渡ってやったんだろうに。それなのに…」

オ「ほう。家族のことを最優先に考える俺みたいな育メンが、こんなふうに不利益を被る社会を四帖半は黙認、否、率先して助長するような言動をするわけだな? ならイイ。それで。俺は悲しいよ、同じ職場の人間が、そんな最低の部類に入るタイプだったなんて。帰って息子と嫁に洗いざらい話すわ」

四「………待ちたまえ。そんな感じに俺がなっちゃうのは我慢できない。じゃあこうしよう、えーと、オペル氏の33Kは決勝を行った俺たち3人で出しあおう、ホレ、1人11Kずつ…」

棒「いや、そこは四帖半が1人で出すべきでしょう、契約にないもの。そんな事柄は」

オ「待て待て、33Kが戻ってくるだけで引きさがってたら、元・高校サッカー岩手県選抜(候補)の名が泣くわ。俺の予選でのプラス分、コイツは頂かないと」

四「つーことは何か、11万500円を渡せってか?」

棒「どーゆー交渉の結果になっても、四帖半の分配額からお支払いしてね?」

四「つーことは何か、全体で浮いた俺の13万からオペルに11万払えってか?」

オ「金の出所はどこでもイイけどね」

四「ばっきゃろい、こんにゃろい! 俺の取り分が2万ぐらいになっちゃうじゃねえか! オペルの言い分を全面的に呑むならば、金の出所は全員の出玉からってのが筋だろうが!」

棒「知らねえ。君らの間のゴタゴタは双方で片付けるのが筋でしょうよ」

松「僕は帰ってもイイですか?」

会議は激烈に紛糾した。誰もが自分の権利を主張し合う、昼ドラの遺産相続のシーンみたくなった。

ほんの1ヶ月ほど前まで仲良く仕事をしていた前途ある若者たち(一部、中年含む)が今では互いにいがみ合うーー。その様は、まさに地獄の様相を呈していた。

その時である、再び会議室の扉が乱暴に開かれ、4人が一斉にそちらに注目してみると、そこには3人の男が立っていた。

ノリオ、しゃっく、そして…

オ「だ…大編集長……!!」

四「ヤベえ」

棒「(ヤベえ)」

松「(マジでヤバい)」

大編集長とは…辰巳出版における、パチスロ関連の雑誌、動画、webサイトなどの全てを総括する超偉い人である。そんで超怖い人である。大編集長が現れるところ、そこには人権は存在しない。

そんなお方のお出ましに、場は緊張で凍りついた。

大編集長(以下、大)「話は全部、しゃっくから聞いたぞ………おっめーら何してんだぁぁあぁあああン!!!!?」

四「ひう」

オ「ちっちちがうんです、俺、子供が熱で…」

大「何が出玉総取りじゃあああっ!! しかも最も若手であるノリオがバッキバキに負けて、おめーら先輩として心が痛くならんのかっっッ!!!! 今すぐ全員でノリだったことにしろっっっ!!!!!!」

四「いや…でもソレは…」

大「てめーゴラ、何か異論があるとでも言うのか? ン? しかも許可なく発言するような不敬を働くとは。あらゆる苦痛を与えて、『痛い』とか『悲しい』とか考えられなくしてやろうか?」

四「何もありません、何も」

大「わかったな、全員で分配しろ。コレは大編集長命令だ」

四「サ―、恐れながら申し上げます。この企画は最初から無理がありました。けれども我々一同はルールに従って、そして激闘を終えたモノでありますから、そこらへんを考慮して頂いて…」

大「おい、四。貴様が4位でありながら決勝に出て、しかも姑息な紳士協定もどきを締結したことは知ってるんだぞ。この時点で企画は破綻だ!!!! この痴れ者がっっ!! とにかく5人全員で全ての収支を分配しろっっっ!!!!!」

四「……」

オ「……」

棒「……」

大「返事ィ!!!!」

全員「サ―、イエス、サ―!!!」

嵐は過ぎ去った。

結果を、読者の皆様にお伝えしたい。このたびの「闇7」、紆余曲折しかなかったものの、最終的には鶴の一声で全ての実戦と収支は「ノリ」として処理することとなった。

予選・決勝・罰ゲームの個人収支をまとめると

四帖半:+61500円
まー棒:+149500円
松真ユウ:-3000円
オペル佐々木:+110500円
ノリオ:-91000円

TOTAL:+227500円

1人頭:+45500円

………このような、非常に常識的な金額となった。ほぼ無言で分配作業に入る5人。ノリオのみが満面の笑みである。

ノリオ(以下、ノ)「なんかスミマセン、こんな感じになっちゃって…できるものなら辞退したいんですけどね、僕。ふぁう」

四「もういい喋るな。腹立つから。それに、大編集長に見つかった以上、もう無理だ。逆らえば死ぬよりキツい目にあうんだから」

ノ「怖いですよね」

四「俺とまー棒とオペルは、ピン打ちの時より勝ち額が減ってる、いわゆるノリ喰いされた側ではあるけども……俺は4位なのに決勝へ。まー棒は優勝していない、オペルは決勝実戦をしていない…まぁよくよく考えりゃ純粋な優勝者はいないわけだからな」

ノ「…ッスよね☆」

四「リアクションが違うだろ、ソコは…はぁ、まぁでももうイイわマジで。おじさん疲れたよ」

棒「俺も疲れた…どーでもいーわ」

しゃっく(以下、し)「ま、企画は大成功ってコトですね!」

四「いたのかよテメエ」

オ「どこらへんが成功してんだ?」

棒「どこの骨を折られたいの?」

松「………」

し「すみません。でも僕、感動した。あんなに自分の利益だけを追い求めた5人に今、深い絆が生まれてるんですよね」

四「おめーをプチってやりたい気持ちなのは5人共通だよ」

し「さて、絆が深まったところで次回の闇7なんですけども…」

四「話聞いてんのかお前!!?」

棒「よし、歯ぁ喰いしばれ」

オ「2度とやるか!!」

松「しゃっくさん1人でしてください」

ノ「ノリならイイですよ、僕は~」





―――狂騒は終わった。

ハーデスで出玉総取り実戦改め、結果的には仲良くノリ打ち実戦となった本企画。数々のドラマが生まれたのは確かである。

それ以上に、しゃっくへの殺意がより深いものになったことも確かである。

もしも次回があるのならば、そのメンバーには冥府をくぐり抜けた5人の修羅のいずれかの名があるだろう。

そしてその者の手に握りしめられた鎖の先には、必ずや「しゃっく」という名の犬畜生が繋げられているハズである。

それが、我々「闇7~奪われた出玉ver.~」を闘った5人の願いなのだから。

おわり。
アツいぜ
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