闇7-奪われた出玉ver.-
決勝 その3

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  3. 決勝 その3

※「決勝 その1・その2」を先に読むことをおススメします

あぁ。嫌だなぁ。

やりたくないなぁ。

勝ったら勝ったで気まずいし、負けたら負けたでお金なくなるし。

一応整理しておくと、予選を終えた時点で既に約28000枚の出玉がプールされております。つまり、優勝すれば最低でも56万円という大金が手に入るわけです。

56万円っていったらあれですよ。僕の今年の負債と同じくらいの額ですよ(DXの某イチ企画のせい)。

まだ5月なのにどんだけ負けてんだよっていうツッコミはさておき、この闇7という企画がいかに常軌を逸した企画であるかが分かってもらえるかと思います。

しかも、企画概要には載っていないけど「決勝は同じ日に同じホールで実戦しなければならない」という非常に厄介な裏ルールがありまして。

考えてみて下さい。常に相手の出玉状況を把握できるということは、負けているうちは当然ヤメられないわけです。逆に、勝っているとしてもヤメたら逆転されるかもしれないから結局ヤメられないわけです。

何なんですかね。この鷲巣とか兵藤が考えそうな愛のないルールは。やっぱり今からでも中止すべきだと思うんですけど。人間関係がめちゃくちゃになると思うんですけど。

――そんなことを考えながら実戦ホールへ向かうと、まー棒先輩の隣になぜか四帖半先輩がいた。応援に駆けつけてくれたのだろうか。それとも冷やかしにきたのだろうか。いずれにせよ、予選で負けたことがよっぽど悔しかったんだろう。

僕「あれ? どうしたんですか?」

四帖半(以下、四)「あ、オペル佐々木の代わりに俺が決勝出ることになったから」

あぁ。そうなんだ。助っ人なんだ。そういう事情なら仕方ない。4位の人を繰り上げる必要性があるのかどうかは疑問だけど、そんなことを言い出したらキリがないから黙っておこう。闇7なんてもともと理不尽を理不尽で塗り固めたような企画だし。

四「そこで相談なんだけどさ、ノリ打ちにしねぇか? 今日」

んん。何だこの展開は。優勝賞金を3人で山分け? 勝っても負けても皆シアワセ? そんなことが許されるのだろうか。

確かにそれが許されるのであれば、ほぼ間違いなくプラス収支で終えることになる。さらに、4444Gというノルマさえ消化すればいつでもヤメられるというメリットも発生する。

僕は戸惑った。助けを求めるようにまー棒先輩の方に目をやると、険しい顔でじっと何かを考えている。

再び四帖半先輩の方に目をやると、「ウィーアーザワールド!」と叫んでいる。どうしよう。分からない。何が正義なのか分からない。

すると、突然まー棒先輩が四帖半先輩のことを責め立て始めた。そして、開店と同時に「じゃあ四帖半が優勝した場合のみ山分けで」的なことを言い放ってホール内へ消えていった。

おお。見事に丸めこんだ。最後は勢いだけど。もし、このやり取りを遠山の金さんが見ていたら、「ワシなんてもう金さんじゃなくて銀さんですわ…」と世代交代の波を感じずにはいられなかっただろう(意味不明)。

とりあえず、これで四帖半先輩の存在は完全に無視していいことになった。つまり、僕はまー棒先輩の優勝を阻止することだけに全力を注げばいいわけだ。

そこで僕は考えた。まー棒先輩に勝つ画期的な作戦を。

まず、頑張って1500枚程度の出玉を確保したまま4444Gのノルマを消化する。次に、まー棒先輩にバレないようにさりげなくその出玉を流す。

そして、「どこかに良い台落ちてないかなぁ…このままじゃ出玉ナシで終了だよ…とほほ」みたいな顔をしながらひたすらホール内を徘徊する。

すると、それに気付いたまー棒先輩が「あいつもうダメだな」と油断して1000枚程度の出玉を流す。最後に、「てへぺろ☆」と言いながらレシートを差し出す。

うむ。我ながら完璧だ。頑張って1500枚程度の出玉を確保するっていう部分が若干ふわっとしてるけど、それ以外はほぼ完璧だろう。

卑怯だと言われてもいい。回胴界の藤木くんと呼ばれてもいい。どんな手を使ってでも絶対勝つ。勝って今年の負債を返済するんや!





――というわけで実戦開始。

まずは朝イチの台選択。下見などは一切してないので、いつものように直感だけを頼りに出そうな台をキープする。ここでのポイントは、あくまで「設定が良さそうな台」ではなく「出そうな台」をチョイスすることだ。

打ち始めること268G。まずは投資13000円でヘルゾーン(青)からGGへ。

さて、犬が出るか人が出るか。経験上、朝イチ1発目のGGで人が出た日は必ず勝てるというデータがあるので(サンプル2件)、ここは是非とも人でお願いしたい。もしくは、血統書付きの優秀な犬でお願いしたい。

そんな願いを込めつつ恐る恐る第3停止ボタンから指を離すと、「今日もよろしくね!」と言わんばかりの無邪気な表情をした犬が出てきた。70Gだった。雑種だった。

しかし、このGGが終わってから台の挙動が急変する。

(32)ヘルゾーン(黄)→失敗
(76)ヘルゾーン(青)→失敗
(99)ヘルゾーン(青)→失敗
(122)ヘルゾーン(黄)→失敗
(137)ヘルゾーン(黄)→失敗
(162)ヘルゾーン(黄)→失敗
(171)ヘルゾーン(黄)→失敗
以下略。

なんだこれ。ハーデスってこういう台だっけ。まだ500Gしか消化してないのに、既に10回もヘルゾーンに突入している。

もしかしてあれか。一度移行してしまえばヘルゾーンに当選するまで下位状態への転落抽選が行われなくなるうえに、ヘルゾーンに当選しても同状態を80%でループするため、怒涛のヘルゾーン連チャンに期待できることでおなじみの高確ロングか(長い)。

レア役はしばらく引いてないので、おそらく押し順黄7で上がったんだろう。非高確中の0.003%という、天文学者も失禁してしまうほどの低い確率を引いてしまったんだろう。まぁそんなことはどうでもいいからそろそろ当たってほしい。

すると、この思いが通じたのかたまたまなのか、11回目のヘルゾーン(黄)からようやくGGへ。

さらに、そのGGが終わってからループストックっぽい感じで犬が3匹ほど出てきてくれて、一気に1500枚程度の出玉を獲得することに成功。よしよし。今日はなんかいけそうな気がする。

ちなみに、この間にまー棒先輩らしき人が犬で600Gくらい乗せた瞬間を目撃してしまったけど、「あれはまー棒先輩の双子の兄なんだ」と自分に言い聞かせることでなんとか戦意を喪失せずに済んだ。それにしてもそっくりだったなぁ。双子ってスゴいなぁ。

そんな感じでペシペシ打ち続けていると、

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いつの間にかほとんど飲まれていた。

マズいぞ。これはマズいぞ。ノルマを消化した時点である程度の出玉を確保しておくことが勝利への絶対条件なのに、一瞬にして全てを失ってしまった。

そう言えばさっきからまー棒先輩の姿が見えないし、双子のお兄さんは順調に出し続けてるし、なんか嫌な予感がする。

こうなったらアレだ。アレを出すしかない。一流のスロッターなら誰もがお世話に…(省略)。

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レッドブル。翼を授けてくれるやつ。

ホールの自販機に置いてなかったので、近くのコンビニまで走って買ってきた。しかもこれ、本当にピンチの時にしか飲んではいけないとされているロング缶(250ml)である。これを飲めば、黄7じゃなくて紫7が4連してしまうほどヒキが良くなるという噂だ。

というわけでレッドブルを一気に飲み干し、「GOD引け! GOD引け!」と祈りながらレバーを叩いていると、

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華麗に1500Gを突破。

なるほどなるほど。レッドブルさんは天井へ羽ばたくための翼を授けてくれたわけね…ってアホか!! いらんわ!!

でも待てよ。これはむしろチャンスと捉えるべきなのかもしれない。天井にさえぶち込んでしまえば、軽く1500枚くらいは出てくれるはず。天井GGが終わる頃にはノルマも達成しているだろうから、あとはさりげなくその出玉を流せばいい。どうせ設定1であろうこの台で、天井直前の謎GGなんて悲劇が起こるわけもない(起こったらレバーを折る…努力をする)。

そして運命の1570G。

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――え??
 
「ヴヴヴヴ」って鳴ったよ?? 液晶にボタンが出てるよ??

そう言えばちょっと前にチャンス目とか右上がり黄7とか色々引いた気がする。でも明らかに低確だったし、それ以降も強い演出は出てなかったし、たぶん、いや、絶対大丈夫だと思う(震え声)。

じゃあ仮にこのゲームで当たったとしたらどうなるんだろう。1570Gには到達しているからセーフになるのか。GG当選ゲームも本前兆中とみなされてアウトになるのか。

僕は、急いでまー棒先輩の双子のお兄さんのもとへ、その真相を確認しに行った。この際もう敵とか味方とかどうでもいい。今はそんな悠長なことを言っている場合ではない。

あ、でも双子のお兄さんなんだから敵でも味方でもないのか、なんて冗談を続けている場合でもない。

「アウトだよ」

――マジか。マジなのか。こんな状況に遭遇したことないから知らなかったよ。

で、でも諦めるのはまだ早い。当たってない可能性だってあるわけだから。そ、そもそもチャンスボタンなんてほ、ほとんど当たらないから。うん。き、ききき、きっと大丈夫。

席に戻った僕は、そっとBETボタンを押した。液晶には「CHANCE」の文字。リールを止めると、

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ハズレ目が停止。当たってますやん。

あぁ。なんだろうこの裏切られた感じ。ハーデスだけは信じてたのに。相思相愛の関係だと思ってたのに。例えるなら、10年来の親友から「実はお前のこと嫌いだったんだよね」って言われたような、小保方さんに「STAP細胞なんてもとからねーよ!」って言われたような、そんな気分。喪失感がハンパない。

しかしその1分後。

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ふつーに天井到達。

……そ、そうか!! さっきのチャンスボタンは天井到達のサインだったのか!!

何でこんなことに気付かなかったんだろう。冷静に考えればすぐ分かることなのに。予想外の出来事が起こると人って何も見えなくなるんだね。えへへ(照)。

あとはこのハーデスでいっぱい乗せていっぱい出すだけ。できる。きっとできる。目標は500G。いや、300Gでもいい。300Gあればその間にGOD引けるから! GOD引けなくてもいっぱいデジャヴさせるから!

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……………………。

こうして、僕の闇7が終わった。この後も時間いっぱいまで粘ってみたけど、特に何も起きてくれなかった。不本意だけど、あとは四帖半先輩が優勝してくれることを祈るのみ。

――というわけで、最終的な結果につきましてはエピローグである「凄惨なる清算現場」をご覧下さい。

▼TOTAL DATA
総ゲーム数:7961G
GOD:0回
冥王:0回
紫7:0回
総ジャッジメント:21回
├ケルベロス:18回
├ペルセポネ:2回
└ハーデス:1回
投資:52000円
出玉:163枚
換金:3000円
収支:-49000円



松真ユウ、163枚(3000円)をプール!!
アツいぜ
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