- TOP
- 神との7聖戦TOP
最終戦
●最終戦(前半)
「神と7たび戦う」という名目で始まった悪ノリ企画。神7。
両者共に個人戦を3回ずつ終え、残す最終戦前夜の編集部――
四帖半(以下、四)「おい、しゃっく」
しゃっく(以下、し)「はいすみません」
四「お前よ、俺らが今どんだけ負けてるんだかわかってるわな?」
し「はいすみません10万4000円です」
四「で? そのうち幾らがお前の負け額なのかな?」
し「はいすみません10万7000円です」
四「ははっ!!wwww」
し「す…すみません…!!」
四「あははは!!wwwwwww」
し「どぅふふww」
四「何笑ってんだよ。コラ」
し「どぅふ」
四「……いいか、俺はさ、過去にこだわらない性質だから、あんまりネチネチ言わないけども、この負債、こればっかりはホント心に刻んどけよ? 『私は一人でバカみたいに10万7000円負けてるところを、偉大な先輩のおかげで5万2000円負けで済まさせて頂いておるのだなぁ』っていう気持ちを一日たりとも1秒たりとも忘れずに過ごさなきゃダメだよ? わかってんのかっ! つーかお前なんで怒られてんのにケータイ見てんだよっっっ!!!!??」
し「モバゲーがイベントなんスよ」
四「はいはいモバゲーがね…バカ! いっぺんホントお前、グーで殴るよ?」
し「すみません冗談です」
四「冗談言う局面きゃぁぁっ!!!!!」
し「……。(きゃぁって言った…)」
四「…まぁいい。よくねーけど、お前としゃべってるとストレスでもう脳細胞が死んでく感じがするわ…。とにかく! とにかく俺が言いたいのはね、これ以上負債をこしらえると本気で経済状況が逼迫してだよ、クリスマスもお正月も惨めな思いをするハメになるってことなんだよ」
し「お正月はともかく…クリスマスはどっちにしろ惨めな思いをする予定じゃないんですか?」
四「そんな予定あるかっ! 恋人とラブラブの聖夜を過ごす予定だわ!」
し「彼女いないじゃないですか」
四「な―――――んでテメエみてえなもんに俺のプライベート全部知ってる風の発言されなきゃなんねーんだよっ! あんまナメんなよ!? あんま俺をナメんなよ!?」
し「じゃ、いるんですか? 彼女?」
四「いねーよ! でもお前が合コン開けばすぐにできるだろうが。彼女くらい。俺にだって。SPA!とかいっぱい読んでるんだし、俺」
※四帖半はクリスマスイブ・当日共に結局アマゾンに頼んだ「元気が出るTV」DVDの配送を待つだけで終わり、しゃっくはクリスマスイブ・当日共に1パチのリング(ライトミドル)を打ってました
し「…………」
四「なんだよ、その哀れむような目はよ」
し「………」
四「つーかよ、そういうお前だって彼女もいない極貧ボンクラ野郎じゃねぇかっ」
し「彼女は確かにいませんけど、結婚はしたいと常々思ってますよ」
四「聞いてねぇよ! 今そんなこと1mmも聞いてねぇよおおおおお!? お前の結婚願望とか死ぬほどどうでもいいわ! なんだその結婚はしたいと思ってるからOKみたいな謎の発言は!? 何の意図がこめられてるんだよ?」
し「あの…論点がズレまくってますよ? 話を戻しましょう」
四「ふうふう。そうだった。なんだっけ?」
し「これ以上負債をこしらえるとマズいって話です」
四「それだよ。そうそれ。いいか? 最終戦の前に少しでもリスクを減らす必要性を俺は主張したいわけ。そこで俺に妙案があるんだけどさ…ヒソヒソ」
し「…ふむふむ。なるほど…。うまくいくかは分かりませんがやってみる価値はありそうですね」
四「だろ? じゃ、お前、上手く援護しろよ?」
し「了解しました。やればできるじゃないですか」
四「でしょ? エフフwwww」
し「先輩、笑い方キツいっす」
四「てめえっっっ!!!!」
し「あ!! 来ましたよ! 交渉すべき相手が!!」
四「よし、てめえはホント後でこう…ガッ! ってやるとして…作戦開始だ!」
四帖半(以下、四)「ちょっと、いいかな? 神7の実質的な最高責任者であるところのオペル佐々木さんよ?」
オペル佐々木(以下、オ)「なに?」
四「神7の実質的な最高顧問であり『必勝本ケータイサイト』の発展的未来を双肩に懸けたオペル佐々木さんに確認なんだけどもさ、明日って最終戦だったよね?」
オ「なに? ちょっとウザいんだけど?」
四「最終戦は2人同時に実戦する、と」
オ「うん。で?」
四「さっきしゃっくと話したんだけどさ。せっかくの最終戦なんだから、それだけじゃなぁ…と思うわけ、おれは」
オ「うん」
四「そこで提案なんだけど、1台を2人で打ち倒すって…どう?」
オ「ふーん。でもルールは?」
四「やっぱりそうくるよね。それなんだけどさ…おい、しゃっく!」
しゃっく(以下、し)「は! ルールですが、2人で10000G消化or15万負けるまでヤメられない。なんてどうですか?」
オ「10000G…15万…ねぇ。うーん。でもなぁ」
四「確かに10000Gはキツい。キツいと思うよ。でも、ミリゴなら不可能ではないよね」
し「ほぼフル稼働ですね!」
オ「いや、1人ならすごいけどさ…」
四「15万かぁ! ミリゴなら負けれるよなぁ!」
し「僕泣いちゃいます!」
オ「いや、そうじゃなくて…」
四「ちょっと考えてみようよ、神7を。振り返ってみようよ、これまでの3戦。いろんなことがあったじゃん?」
し「負けたなぁ!」
オ「え? ああ、まぁね」
四「笑いはなかったかもしれない。涙と怒りしかなかったかもしれない…けども! なんとか最終戦までこぎつけたわけじゃん?」
し「すげぇ!!」
オ「ああ、うん」
四「それをさ! ね? このまま単なる2人同時実戦で終わらせようとしてるわけじゃない?」
し「マジでか!?」
オ「あー、別にいいんじゃ…」
四「いいわけがないじゃない!! このまま終わらせていいわけがないじゃない!!」
し「断固たる決意!!」
オ「あのさ…」
四「われらが苦渋の歴史を明日こそ輝かしいものに…」
オ「あのさ! ちょっといいかな!!」
四「ん?」
オ「あのさ…うるさいんだけど。われらとか気持ち悪いからさ、普通に喋ってもらえるかな。あと、しゃっくは黙れ」
四「え、そう? ……まぁ…ルール変えてよって話なんだけど、なんか毛色を変えたほうが面白いよって話。何か突き抜けたことやったほうがいいよ。絶対」
オ「突き抜けた…ねぇ。おれはどうでもいいけどさ。変わったことがやりたいならやればいいし」
四「……。(ヒイイィヤッハ―――――――――――!! 騙したで! 上手いこと言って企画の中身を少しヌルめのものに変更せしめたぞっ!! 我ながら惚れ惚れするような交渉術!)」
し「……。(やったやった! 一応勝つ気で打つけども、リスクは少しでも減らしておいた方がいいからね。これで最終戦で最大に負けても2人で25万4000円の負債…ってダメじゃん! やっぱ負けちゃダメ! 勝つのは大前提だよな…!!)」
ォ「なに二人して、ガッツポーズしてんの?」
四「してません」
し「腕の筋肉どれくらいあるかなぁと思って」
ォ「意味わかんねーよ? なんか企んでる?」
四「いや! 何も企んでない! っていうか、決まりね! じゃあ、実戦ホールはどこにしようか?」
オ「しゃっくが行ってたホールは高設定を使ってたっぽいから、そこにすれば?」
し「僕もそこがいいと思います」
四「いや、明日は途中で漫画の原稿を取りに行かないといけないから、新宿界隈でしか打てないんだ、おれ」
し「新宿で…って、優良店ありますかね?」
四「さぁ?」
し「さぁ? …って(この人勝つ気あるのか? もしかしてルールさえ変えれば全部クリアしたとか思ってるんじゃ…少しバカなのか?)」
オ「設定使ってるホールならあるけど、さらに座れるところとなると…どうだろうね?」
四「A店なんかどう? そんなに離れてないし」
オ「あそこは無理だよ。未だに蒼天が満席だから、ミリゴとなるとさらに厳しいよ」
四「それは…狂っとるね。じゃあB店は? この前チラッと見たら番長と秘宝伝出てたよ。すごく」
し「あそこも稼働すごいです。1ヶ月前ですけど、ヱヴァがほぼ満席でしたから。椅子使って見てる人も何人かいましたよ」
四「それは…狂っとるね。じゃあC店。あそこは座れるよ」
オ「設定使ってないじゃん」
四「え? そう? おれは使ってると思うんだけど」
オ「幻想だから。イベントでもないのにあの店が高設定使うわけないだろ」
四「よく行くけど、チョイチョイ高設定かな、と思う事があるよ? あれ? 違うの?」
し「あ、それは僕も何回かあります」
オ「ないよ。それより、原稿の受け取りって新宿じゃないとダメなの?」
四「うん、ダメ」
オ「確かに行き慣れてて勝手知ったるホールではあるから、居心地はいいだろうけど。俺には関係ないから、どこでもいいんだけどね」
し「台間は広いし、おしぼりは布製だし、トイレもハイテクですよ。自動でフタが開きますから」
オ「設定は入ってないよ。別にいいんだけどね、俺は」
四「俺は入ってると思う。本当に」
し「設定なくてもGOD引けば勝てますよ」
四「ただ勝つだけじゃ駄目だよ。今104000円負けてるから…チッ。そう、トータル収支をプラスにしないといけないんだから!」
し「そうか。じゃあ1人2回は引かないと駄目ですね」
四「まぁそうだね。EGも最低1回は欲しいとこだよね」
し「そうですね。EG中に頑張ればGODに負けないぐらいたくさん出ますものね」
オ「本当に俺には関係ないけどさ、君らが負けようがなんともないけどさ…。勝つ気あるの?」
四「あるよ。布おしぼりのホールは間違いないから。それより、問題ないならさっきのルールで大丈夫だね?」
オ「もう、どうでも」
イワイ(以下、イ)「ヌルくない?」
四&し「え?」
イ「だって、1人あたり5000G消化or75000円負けでヤメられるってことでしょ。なんでハードル下がってんの?」
四「…!!(やべえ。ろくでもないの[注:編集長です]が近くで聞いていやがった。あの男の存在に気づかないなんて、うかつにもほどがあるぜ、俺よ…)」
オ「まぁそうなんですけど、めんどくさくなっちゃって」
イ「ダメだよそんなの。1人で10000Gor15万負けにしようよ」
オ「お、ちょっと面白そうですね」
四「ちょ、お2人さん?」
イ「あ、そうだ。ゲーム数に関係なく15万負けるまで打ち続けるってのはどう? 何日生存できるかっていう。面白そうじゃない?」
四「落ち着けよ!」
オ「まぁ、おれはどっちでもいいですけど」
四「落ち着けって! 落ちつけってば!!」
イ「え? …なに? 楽しそうじゃん。やらないの?」
四「やりませんよ! 気でも触れてんスか!?」
オ「でも突き抜けてはいるよね」
し「たしかに!」
四「なんでお前がそっち側なんだよ!! 突き抜けてるけど! 突き抜けてるけど…わかった! よ――し分かった! やっぱり今までどおりにしよ? それがいいわ! 最初に決めたルールだし。これを途中で変更するとかマジ男らしくない。俺、男らしくないのがこの世で一番嫌いなんだ。な?しゃっく?」
し「そ…そうなんですよね、四帖半さんは男らしくないのが一番嫌いなんですよ。これ。っていうか男が好きなんですよね? たしか」
四「好きじゃねーよ! どさくさに紛れてワケのわからん発言してんなよ!?」
ォ「ああもうウルサイ。おれはどっちでもいいよ。どーせこんな企画、悪ノリでしかやってねーんだから」
四&し「悪ノリでしか!?」
イ「まぁね。でもC店ならルールがどうであれ負けそうだね、君ら」
し「高設定を掴めばいいんですよね。運がよければあたりますよ」
オ「ないっつてんだろ。どうでもいいけど」
四「あるって! あるから!! 布は鉄板っ!!!」
し「GOD引けばいいんですよ! あとEG!」
イ「君らって、本当にバカなんだね。前から知ってたけど」
『最終戦は2人同時』
結局それ以外はこれまで通りのルールになったものの、早くも死臭漂う神7最終戦。
次回最終回!!
●最終戦(後半その1)
あんなに長かった神7も今回が最後。そう思うとついニヤついてまう…というのが当時の心境ですが。
今回の実戦は何が原因でこのような結果になったのか、コラムを書きながら思い返す事にします。
まず、当日の朝。
予定よりも早く目が覚めてしまったのでシャワーを浴びました。そしたら坊主の野武士くん(※)のお風呂セット置き場でコンディショナーを発見しました。
※同居人でパチスロ極の編集(副業)。寝る間を惜しんで麻雀(本業)に明け暮れる。
電車の中で思い出し笑いを堪えきれずニヤニヤしっぱなしだったのは迂闊でしたけど、決戦前で嫌な緊張が取れなかった時に思わずホッコリとなる出来事に遭遇できて、こりゃ今日はいい事がありそうだぞと上機嫌でC店に入店できました。
開店直後のミリゴのシマへ向かうと、もう四帖半先輩がいたので実戦台の確認をしました。
結局どこがいいのか分からないから、前日ダメな台が変更の挙動を示すようなら少し粘って様子を見ようという結論に達しました。僕は右から、先輩は左から。どうせなら居心地のいい両カドから攻めてみようと。
シマには、おそらく同じ作戦だと思われる挙動を示す女性が1人。5~10Gずつ回して移動を繰り返してました。
人のことをどうこう言える身分ではありませんけど、若い女性のそんな姿を見ると、なんだかせつなくなっちゃいます。
ところが、3000円投資したところで財布が空に。迂闊です。財布に金を入れ忘れて、朝イチの状況把握を無駄にするつもりですかね。僕は。
お金をおろす時間が惜しいので、とりあえず四帖半先輩に3万円ほど借りることにしました。
微妙にパキパキ鳴ってたから少し様子を見ようと思っただけなのに600G回してた。だってずーっとパキパキ鳴ってるから、それならもう少し様子を見ようと回すから、回したらパキパキ鳴るし、そしたら26000円も投資してた。
やばいと思った瞬間見つかって、様子見で600G回した事と、隣の台が奇数テンパイで空いてるのに気づかなかった事と、ダブルで怒られました。
言われてみれば、確かに朝イチ7Gで放置されていた隣の台が5テンパイしてました。
ちょうどいいタイミングだったので、台を確保したあとに振り込まれたばかりの給料を半分おろして打ち始めると1000円で当たりました。
座って2Gでこんな出目。さらに次ゲーム。
ハズレの遅れです。そして次ゲームは神の雷。朝イチ騒がしいどころの騒ぎではない。おかしいにもほどがあります。
そのゲームでは奇数が揃わなかったものの、11G目に再び発生した神の雷で当然のように奇数が揃いました。
当選契機は分からないし、もう当たってた可能性も大いに考えられます。
でも、それはいいんです。
気掛かりなのは、僕がヤメた直後にしたり顔で座ったオッサンが、移動後の僕よりも早くGG当たったってことです。
もしかすると、僕の台も当ってる状態だったのかも。GG当たってるのに台移動したのかも。考えると恐ろしい。
…いや、いいのか?
どちらにしてもすぐに当たったんだから。
ただ、僕の台は単発で、オッサンが連チャンしてるってことは、やっぱりダメってことなのか?
そんな考えが頭の中をぐるぐるしてましたが、やっぱりそれはオッサンの手柄ですから関係ありません。僕が打ってても連チャンしてたかどうか、そもそも当たってたかどうかわからないですから。
実戦時も似たような結論に辿りつき、冷静に通常時を消化しかけた頃に右のオヤジが3セット目に突入し、画面はポセイドン。
イヤな感じですけどね。それはアナタのヒキですから僕のメンタルは崩れんよ。ほらブラックホールが1Gで終わった。なんて思ってたら右がフリーズしました。
確かにアレだけど。あぁもう!
連チャンもGODも右のオヤジの手柄かもしれんけども、そういうのとは関係なく腹が立つ。あと、なんか引くたびにこっち見てニヤリとするのはやめろ! 腹が立つ!
こうなると猛烈に、できるだけ遠くに台移動したくなります。
前日のデータは表示でGG20回/5329Gです。正直いいのか悪いのか、今ひとつピンときませんし、朝イチの当たりから何か分かったわけではありませんし、そもそもダメな台の上げ狙いになってないことに気付いたんです。けど。当たりが早いのはいいことです。
稼働が落ちてきたとはいえ、この時間になるとさすがにどの台もひと通り回されてますので、朝イチの挙動で変更の予想を立てる事もできませんので、ノマれても続行することに。
そこからはしばらく特定役をなにも引けず、少し邪悪な心持ちになりかけた頃に本日3回目となる神の雷。
神々しいったらありゃしない!
隣の理不尽に負けず頑張った僕へ、神様がご褒美をくれたのかもしれません。上乗せ告知もなく2セット目に突入したし、それって多分50%のループストックで当てたってことでしょう。
結局これは2セットで終了したものの、とりあえず単発じゃなかったことに少し気をよくしながら勝負続行すると、30Gほど回したところで雷+奇数テンパイハズレ。
一瞬ギョッとしかけるものの、たまに出てもおかしくはない演出なので、過度に浮かれず、しかし液晶を凝視しつつ消化していると、20G後にアルテミスの矢でリプレイがハズれました。
立て続けに2回。
しかも片っぽはガセでの発生率が1/5000ということを考えると、どこかで裏天国に突入したと考えるのが自然です。1/5000を引けるぐらいならもう2、3回赤7引いてるでしょう。
裏天国といったら一度突入すれば一撃数千枚の出玉が普通に期待できる夢のような状態です。しかも、同時に設定6期待度も大幅にアップする…と、むしろGOD揃いよりも偉いと言っても言いすぎじゃないかもしれません。やっぱりこのホールは高設定使ってるんだ。
とりあえず右のオヤジにニヤニヤしてみせたものの、この時の僕は逆に疑心暗鬼になっておりました。
無理もありません、相手はミリゴ。
どんな手をつかってでも金を使わせようとするウシジマくんみたいな台ですから、疑ってしまうのは仕方ありません。
でも、そんな疑念も左第1黄7からすぐにGG告知が発生した時には吹き飛びました。
本当に本物の裏天国でした。
こりゃあ大変だと、駆け足で四帖半先輩に報告に行くと今まで見たこともないようなニヤけ面で「それって裏天国じゃん!」と。不愉快なリアクションを4桁ハマリのデータ表示器とセットで見せられました。今思い出しても腹が立つ光景でした。
彼のせいでモチベーションはだいぶ下がったものの、それでも僕の台は裏天国。
しかも、少し前に出勤してきたヤマタク先輩(※)が前日40GヤメのモンキーでSGを引いたと。これはハマリ部の活動ですから、勝ち分の半分は僕の懐に入る事になります。
※ヤマタク先輩:ハマリ部(ノリ打ちでハマリ台狙いをする部活)の部長(本業)。パチスロ極の編集長(副業)でもある。
前日のミリゴ下見のついでに、保険掛けのつもりで他の機種の閉店時ハマリゲーム数をチェックしといてよかった。とてもエラいですね。
気を取り直してARTを消化。
1セット目は左第1黄7が3回。そして継続。うむ。これは継続するでしょう。
2セット目は左第1黄7が2回。そして継続。合計5回も引いてりゃ2回ぐらいは当たってるでしょう。
3セット目は左第1黄7が0回。そして終了。危ない! けど裏天国がこんなにショボいはずがないから大丈夫でしょう。
どうせまだ裏天国にいるんでしょ。なんて高をくくってたら、やっぱり出ました。637Gでアルテミスの矢+リプレイハズレ。
ホラね。637Gでってことはさ、抜けてたんじゃん! 637Gってことは!
しかもそれっきり音沙汰なしって、これガセじゃん! だったら赤7くれよ! ってことです。いや…そんなことよりも、裏天国で3セットって! あぁ…。
さらに、左隣に移動してきた四帖半先輩が露骨に嫌な表情をアピールするので、こちらの不快指数は否応なく上昇し、それに伴い実戦もまずい展開に。「ずーっとGOD引けって思いながらレバー叩くわけじゃん? そしたらさ、そのうちふっとGODのことを忘れる瞬間があるんだよね。そん時に引けるよ、GOD」なんて偉そうに講釈をたれてる四帖半先輩の頭上の数字が再び4桁を突破しました。
あの野郎はまた4桁もハマりやがって。しかも悪びれた様子もなく「ちょっと原稿受け取ってくるわ」だと。
晴れてるけど、ヤツの頭上に雷でも落ちてくれんかな…なんて考えてたのがいけなかったんでしょうか。
追いついちゃった。
おわ! やばい!
帰ってきたら四帖半先輩は怒るでしょう。自分のことは棚に上げても怒るでしょう。
いやいやそれよりも!
ものすごい勢いで負けてることのほうが問題です。
1台目に26000円で、2台目の最初のGGに1000円、その後9000円で赤7。この時点で36000円。
そして大体1000枚ぐらいの持ちコインを飲ませ追加投資しながらここまでハマったと…。
その後も戻ってきた四畳半先輩と2人仲良く(仲良くないけど)黙々とハマり続けてほぼ同時に天井に突入したと…。
これが37000円。
しかし天井です。もう仲が良かろうが悪かろうがどっちでもいいから、僕も四帖半先輩も連チャンさせないと。そうだEG引かないと。ガセの裏天国示唆が引けるんだからEGぐらい余裕で引けるはず。天井とEGで金を取り返すんじゃ!
すると隣の四帖半先輩が準備中にハズレで上乗せ告知。
よし、いいぞと追い風な展開を感じつつ消化していると、僕もART45G目、前回四帖半先輩がEGにぶち込んだ演出『非前兆中の雷+図柄回転』演出が発生。
こりゃEGもらったで!
この流れでEGじゃなかったら切腹する。と、断固たる決意でストップボタンを押すと。
はい。フェイク赤7ね。
切腹なんてウソウソ。いい大人がそんなことやるわけないじゃない。
しかし58Gで炎演出+中段黄7を引き、直後の65G目、今度は神の雷が発生しとる!
今度こそEG…いやGOD。どちらかはもう確定したようなもの。最悪でも上乗せ告知ぐらいは欲しい。欲しいんです!
1番サムいパターンじゃん。というか中段黄7って1/936.23でしょ。そんなもんを立て続けに2回も引くぐらいなら上乗せ2回やってほしいんですけど。
もう諦めなといわんばかりの展開で肩を落としかけたけど、あれ? いや、まてまて黄7が4連しとるぞと。次で黄7さえ引けば上乗せ確定じゃないか。
そういうこと? 一度落として持ち上げる誕生日のサプライズ的なアレですか?
それなら遠慮なくとレバーを叩こうとすると四帖半先輩からアドバイスが。
「黄7来いって思って叩いてもそうそう引けるもんじゃないよ。逆にGOD引けって思いながら叩いてごらん」とのこと。
なるほど、それはそれでアリな考え方かもしれんと思い、心の中で「ぐぉーっどぉ」と叫びつつレバーONすると通常リプレイでした。バカじゃないの。こっちは黄7を引くリズムでレバー叩いてたのに、くだらん思いつきで流れを止めるんじゃないよっ!
その後も、なんとか突入した2セット目でも88Gの雷+図柄回転でフェイク赤7。もうヤダ。
このまま終わるのか? このままじゃ終わっちゃうなんて考えてたら、天井ループなのかさっきの中段黄7なのかはわからないけど、RT状態のまま奇数が揃い3セット目に突入。
代わりに四帖半先輩のGGが終わりました。
ええと?
準備中に上乗せして2セットってことは? 天井は単発だったということか。
神殿抜け後にそそくさとどこかに移動しちゃったけど、もうダメだ。あいつはアテにならんから1人でなんとかするしかないなんて考え始めてたら、いつの間にか2つ左でミリゴ打ってたイワイ編集長から「メシ行こうよ」と言われました。
ちょうど腹の中がドス黒くなりかけてたので、気持ちをリセットするのにはちょうどいいかなと思い、ヤマタク先輩と単発男の4人で近くの中華に行ったのですけど。満面の笑みで僕らの話を聞いてるイワイ編集長を見てるとますます気分が悪くなりました。リフレッシュ失敗。
悪いことは続くもので、実戦再開後はEGや上乗せはおろかレア役すら引けずにART終了。そして抜け。
Gゾーン中に遅れを願うも、毎ゲーム遅れてる気がして、もう何がなにやらわからなくなっちゃって。もちろん引けるわけない。
結局、僕も四帖半先輩も、まだGODもEGも引けてない。引けてないまま終わるのかしら。
GOD! GOD! と必至にレバーを叩いても、引けるのは中段リプレイのみ。ボタンで中リプ、炎で中リプ、ボタンで中リプ、炎で中リプ。おええ、もうダメ。と吐きそうになった頃、ボタン経由ではあるものの荒野から神殿へ移行。
このチャンスはモノにしとうございます。これ以上ハマったら僕病気になる。
あは。いつの間に。
もう間に合わない。
チャンスもなにも、もう終わりじゃん。
四帖半先輩がどうなってるのかなんて、知りたくもないし。さっき「84000円負けてタネ銭が尽きたから、金貸して」なんて言ってたからロクなことになってないのは確かです。
僕も神殿からGG当選したけど、総投資が96000円なのに単発。そして残りの4000円を使いきって実戦を終了しました。
結局EGもGODも引けず。時刻は17時30分を過ぎた頃ですけど、こんなに早く10万負けれるんですなぁ。
ただ、どうしても7テンパイが見たかったのでパチンコの大シャカラッシュ(MAX)を打ったら、7テンは見れなかったけど7回転で1が揃いました。
単発でした。
編集部に帰ると、すでに四帖半先輩が自分の席でふてくされてました。この時間に編集部にいるってことは、そういうことですね。
神7最終戦。
何が原因でこのような結果になってしまったんでしょう。結局思い返してもわかりませんでした。
確かなことは、もうしばらくはホールに入るまいと誓ったのに3時間後には仕事なんかやってらんないとC店でライトミドルのリング2を打って、大シャカラッシュで出した玉がなくなったということです。病気かな?
【2日後】
実は最終戦のハマリ部で13000円ほど浮いていたので…というか、そもそも最近パチスロが好調だったので、10万負けても致命傷ではなかったのです。もちろん痛恨の一撃であることに変わりはありませんけど。
そんな訳で、まだ打つ余裕があったので、軽い気持ちでC店で北斗を打ったら負けました。
半日打って+10Gが1回となんにもいいとこなしで迎えた22時30分過ぎのARTで2度目の上乗せが炸裂したと思ったら、バトル高確のオマケ付きであれよと言う間に150G上乗せ。残り10分なので取りきれないけど、せめて閉店まで打とうと思ったら22時48分にこんなものが。
北斗ボーナスを消化したところで閉店し、200G残して20000円負け。
【3日後】
前日にあんな仕打ちを受けたら、そりゃ許せませんよな。仕返しに行きました。
昨日の北斗揃いを消化せねばと息巻いてC店で北斗を打ったら負けました。
激闘乱舞1回(単発&上乗せナシ)の35000円負けでギブアップ。さらにリング(ライトミドル)で8000発あった貯玉を全て使い果たして終了。
【4日後】
クリスマスイブです。
知り合いはみんなセ●クスの準備で忙しいらしく、慰めてくれる人など皆無。
遊べる金もないので1パチのリング(ライトミドル)で1日勝負したら負けました。外はピンクオーラで渦巻いてました。
本当に、今思い返してもさっぱり分からないんですけど、コンビニでマーボー丼と、なぜか1ホールのケーキを買って帰宅。「フォークはいくつご利用ですか?」と聞かれたので「2つください」と言ってしまう。
途中で追い越したカップルの会話は「ねぇねぇ、星が見えるよ」「マジ? すげぇ」でした。他の日に同じセリフが吐けるのかよ? と脳内で突っ込みつつ帰宅。
野武士くんと2人で食べると泣いてしまいそうだったので、ケーキは1人で食べました。
【5日後】
クリスマス当日。
リング(ライトミドル)を打ちました。
前半のコラムでは1パチと書いており会社でも内緒にしてたんですけど、本当は途中でヤケを起こし4パチのリング(ライトミドル)へ移動。
給料が全部なくなりました。
今年は上京して初めてまともな年末が過ごせそうだと思ってたのに、なんでこうなっちゃうんですかね?
ごちそうさまでした。
年の瀬なのに金もないし、もうおわり!
【実戦DATA】
_617 ヤメ 26k
台移動(GG0/7G)
11 GG×
_1 1k
_426 GG×
_2 9k
_211 GG×
_3
1503 GG×
_3 37k
1086 GG×
_1 23k
_335 ヤメ 4k
【TOTAL DATA】
総ゲーム数…4724G
総GG回数…10回
投資金額…100000円
獲得枚数…0枚
換金額…0円
収支…-100000円
【おまけDATA】
モンキーターン…+13000円
大シャカRUSH…+1100発
北斗の拳…-55000円
4円リング(貯玉)…-9125発
4円リング(現金)-39000円
1円リング…-4000円
●最終戦(後半その2)
結論から言うと。
やらかしてしまった。
それも完膚なきまでに。驚くほどあっさりと。さも当然のように。然るべき結論として。予想通りのエンディングのように。約束を果たすように。
金額を述べると。
10万負けちゃった。
二人とも。だから20万負けちゃった。たった1日で。っていうか8時間足らずで。
こんだけ負けてしまうと、何が起こるかと言うと。
ばーむ。みたいな、意味のない鳴き声がノドから自然に、しかも唐突に漏れるようになる。通勤の電車の中で。桜木町で。便所で。コンビニで弁当が温まるのを待ちながら。なゃっぷ。
最終戦は、2011年もホントにもうあとわずか、という年の瀬に行われた。最終戦の前半コラムにあるように、前日にしゃっくと二人して決起集会のような、ただの罵り合いのような、乱痴気騒ぎの作戦会議を決行し、やはりお互い3回の死線を乗り越えてきた者同士の信頼感というか絆みたいなものを再確認できたような気がして、会議が終わる頃には、「明日はきっと勝とうぜ、俺たちならやれば出来るさ」といった面持ちで別れたはずだった。
しかし。現実は非情だった。レ・ミゼラブルだった。すでにして全体の収支が10万4000円負けていた俺たちに、こんな酷い仕打ちが待ちうけているとは思わなんだ。
新たな年が明けた今、親愛なる読者諸兄はきっと、おめでたい気持ちでいっぱいであろう。にも関わらず、こんなにも暗く、希望のない、気の滅入るようなコラムをお目にかけることとなって、誰あろう、この俺が一番心苦しいのであるから、すみません。
でも、忘年会で、なんにも忘れられなかった俺の気持ちもわかってほしい。誰かに慰められることもなく、って言うか全体的には嘲笑されるだけで除夜の鐘を聞くこととなった俺の気持ちもわかっていただきたく思います。
さて、そろそろ実戦を振り返ってみましょうか。全然振り返りたくないけど。マジで振り返りたくないけど。記憶を消す薬を飲んで、精神的均衡を保ちたいくらいの状態にも関わらずこんなコラム書くなんてマゾすぎるけど振り返りましょう。タイムマシンに乗って小学2年生くらいからやり直したい、という思いが強すぎて小2の時よく遊んでたコッケってあだ名の友達が最近夢に出てきたけど振り返りますよ? 実戦を。あの悪夢のような実戦を。
実戦当日、開店時間と同時にホールへ到着。前日の綿密なる作戦会議で決定した、居心地抜群の、編集部からも近い、おしぼりが布の、ただしイベント時以外はほぼ設定に期待ができないという噂のホール。ミリゴのシマには先客はほぼ皆無。選びたい放題である。戦友であるしゃっくと、これから戦場となるミリゴのシマで落ち合い、それぞれが角台を確保し、おもむろに打ち始める。シマの端と端に着席したので、お互いの挙動はわからない。だが、コインサンドに金を入れる直前に、「今日は頑張ろうぜ」という思いを込めてしゃっくとアイコンタクトを図ろうとするも、奴は全然気づかずにもう打ってる。こちらを一顧だにしない。この時点で俺は若干の不穏な空気を感じ取っていた。チーム内に低く響く不協和音。不吉な前触れである。
集中してるんだな。目の前のミリゴに。しゃっくの空気を読まない行動をそのように解釈し、俺も打ち始めると、何にも起こらない。
こりゃダメだな。前日、全然出てないもの。少なくとも上げ挙動を見せてくれないと厳しい。即ヤメが吉。幸い、ミリゴのシマには客はまだほとんどいない。すぐに移動して、少しでも長く付き合えるような台、つまり前日出ていなくて、かつ朝イチにキンキン響く台に座らねばならない。ま、設定変更後の天国モード移行率は、期待できるような数値ではないが、それでも天国準備以上は高設定ほど移行しやすいのだし、騒がしいほうが気休め程度ではあるが腰を据える理由になる。だから移動せねばならぬと思ったらば中段リプを引き、よし30G回して上がってなさそうならヤメだと思ったらば右上がり黄7を引き、よし30G回して当たったり上がってたりしなかったらヤメだと思ったらば中段リプを引き、よし30G回してヤメなきゃと思ったらリプ3連して、うん、一応30G回してヤメたいよ? と思ったらⅤハサミ奇数とか出て、おいモード上がってるならさっさと当たれよ? とか思ってたら静かになったのでヤメれた。でも310Gも回してた。13000円使ってた。
これだもの。ミリゴってやつは。
もう、さすがにミリゴのシマにもチラホラと客が付きはじめている。急がねば。そう思い、次の台へ。すると1G目のレバーを叩いたら。
いきなりブラックホール。
なんだろう、当たるのかな? 当たるのなら天才的だけども、そんな当たり方は見たことも聞いたこともないし、変更挙動なのか、据え置き挙動なのか全然わからない。
まぁでも当たってくれたら素直に嬉しいです。お願いします。
ハズれた。が、ブラックホール演出の直後にボタンプッシュ演出から湖ステージに移行し、そこで中段黄7を引くと2G後には画面上に奇数が揃っておる。
2000円でGGゲット。これ変更かも。朝イチ1G目のブラックホール演出、直後のステージ移行はもしかして天国準備以上的なことを暗示(注:示唆ではない)する演出かも。この早すぎる喰いつき。6すら考えられる。やった。勝った。少なくとも俺は勝った。6なら、かなりの勝ち額を期待できるし、しゃっくさえ常識的な負け額で終わることができるなら、総合収支をもプラスにすることは十分に可能なことである。「喜べ!しゃっく!」という思いを込めてアイコンタクトを図ろうとシマの反対側に目をやるも、全く気付かない。鈍重な野郎だな。でも馬鹿な子ほど可愛いものだな。アイツには基本的に迷惑以外には何にもかけられてないけど、ま、6がツモれたんだしヨシとするか。
1発目のART中に、おそらく中段リプで上乗せし、2発目が終わったGZで3発目が出てきた。うん、そろそろしゃっくに6かもしれない台をツモったことを教えてやろうと思い、席を立つ。しゃっくの台に近づいてみると、まだ当たっていない。っていうか600Gも回してる。「何をしているの?」と笑顔で聞くと「朝イチ、ちょっとアツめの演出が出ていたので追いかけていたらこんなに回していました」という。
「そうか。でも、ダメそうならあまり深追いしないでね。っていうか、隣の台が○ゲームしか回さずにヤメていて、かつ奇数テンパイだよ? こっちに移るという手もあるのではないかな?」と優しく言うと「あ、でも僕の台も前日517Gヤメなので、もし据え置きならもうすでに1117Gなんです」と言うので「いいかい、しゃっく。一度しか言わないよ? お前は朝イチが変更かもしれないと言ってここまで深追いをしているのだよね? それが据え置きの可能性を考えたら1100だと? もうこの時点で支離滅裂だわ」
「でも残り300Gくらいで天井かもと思うと…」
「アホッ! あと最低でも400G以上あるわ! お前、前日517Gヤメってことは、通常時は417Gしか回してないってことなんだよっ! しかももし、RT状態中の連チャンだったら天井はもっと遠いんだぞ!」
「はぁっ! そうか!」
「何が悲しくて朝イチから別段美味しくもない天井狙いなんかしなきゃならねーんだよ! しかも変更挙動を確認したうえで! 最悪、ほんとに変更してたらよ、まだあと800Gも回さなきゃならねーーんだぞっ!」
「ぐぅ」
「よしんば据え置きだったとしても天井なんかなかなか到達できないんだよ? 天井行っても単発かもしれないし。ま、単発じゃなくて運よく5~6連したとしても、その頃には高設定の可能性のある台は座られてしまってるし、俺たちは7000G回さなきゃなんだから、高設定をツモりにいくのは至上命題なんだよ。わかるか?」
「完全にわかりました。すみません」
「うん。俺も強く言いすぎたね。とにかく、キリのいいとこで違う台に移れ。いいな? それと、安心していいぞ。俺の台、高設定…っていうか6? かもしれないから」
「ホントですか?」
「ははは。目をキラキラさせるな。現金な奴め。まだわからないよ。ただ2000円でGG3連してるから」
「がが…頑張ってください!」
「言われなくてもな」
恰好よく言い置いて、自分の台に戻る。なんだかこのGGが10連以上するような予感を抱きつつ3連目を消化していくと、3連で終わった。………やはりしゃっくなんかと接触を図るべきではなかったのだ。あの男の負のオーラにあてられた可能性大である。もしかしたら内部的に貯まっていたGGストックすら消滅せしめるほどの圧倒的な負の力。俺は改めて自分の背負った十字架の重さを噛みしめた。しかし、きっとこの持ちコインで次の初当りが引ける気がする。なんていうんだろう。こういう予感とか予想って、俺ハズしたことないんだよね。
1217Gだって。ぽぽぽぽ~ん。
見ての通りゼウスなので単発ではなかったです。でも2連でした。ダメだこの台。
高設定のはずがねえ。脱出せねばならない。もう累計で45000円使っているし、6じゃないよ。シマを見渡すと、当たり前だけど朝イチ台などどこにもない。そう言えば、さっき、黙々とハマっている間にしゃっくが僕の台、裏天国かもみたいなこと言いに来ていた。しゃっくが座った台が6かもしれない。となると、前日下見した時に、シマの右半分が出ている風だったので、あいつの近くに行ったほうが良いかもしれぬ。つまり、変更狙いではなくて、そもそも据え置きを狙うべきだったのかもしれない。よし、嘆いていても仕方がない。ヤツの近くに、というか隣に移動だ。負のオーラなど纏ってないよアイツは。隣同士で打つことで、なんていうか友情パワー的なものが増幅しやすくなってすごい出る気がする。最初からそうすれば良かった。でもまだ遅くはない。気づけたのだから。俺は大事なことに気づけたのだから。
ほんの少しの持ち玉で移動し、しゃっくの隣の台に座る。しゃっくの画面を見ると通常時。ゲーム数を見ると700G。
「何をしているの?」
「ミリゴを打ってます」
「うん。裏天国は?」
「3連でした」
「…………そっか」
俺自身が座った台は総ゲーム数1581G・GG6回・現在673Gの台。隣のしゃっくは現在絶賛ハマり中とは言え、裏天国移行を確認済みなので、粘る価値がある。そして、俺の台も朝イチ、どうも最低2回は初当りを引いてるようだし、これくらいのハマりは高設定でもまぁ起きるような気がするので、座る価値がある。というかコレくらいしか空き台がない。信じること、思い込むことが輝く未来を手にする近道であることは皆さんも知っての通りである。なるべく早い当たりを希望しつつ、レバーを叩く二人。
しゃっくの台。
俺の台。
二人して1200G超えちゃった。もう会話は皆無である。どうしてこうなった。俺が1000Gを超えたあたりで「なははぁ~~~ん…ったはははは~~~~~っ!」とワラビ声(笑い声と叫び声の混ざったヤツ。絶望感がすごい時に出る)を上げた時なんかは、「ちょっと! まだ壊れるには早いですよ!」と毅然とした態度で俺を諌めたしゃっくだったが、もうこうなると、互いに声すら出ない。ヤツの心中は知らぬが俺の心の地図は怒りの帝国が完全に覇権を握っている状態である。俺たちは1年間まぁまぁ頑張って仕事してきたはずだ。特に俺に至っては、作ろうと思えばすぐにでも作れたはずの女も作らずに、今は仕事に集中するべき時期なのだからと、たまにしか酒も飲まず(1週間平均5回)、気晴らしの麻雀もなるべく抑えて(1週間平均2回)、節度を守った飲食を心掛け(1年間で6kg増)、己の人間的向上のために全力を尽くしてきたのも、仕事に活かさんがための努力だったのだ。だのに。こんな目に。許さん。これが天井に到達しないなんてことが起きたら俺はテロリストになるかもしれない。天井だ。俺もしゃっくも天井に行くんだ。天井桟敷の人々として語り継がれるんや。天井を意識した場合に重要なこと。それは言うまでもなく集中力である。視線と焦点は固定しなければならない。画面のみを見つめる。リールも見てはならない。データ表示器を確認するなどもっての他である。当然、誰かと会話などしてはならないし、とにかく気が散るような行動を取ると天井にはたどり着けない。これは俺が経験から導き出した天井到達打法である。マネしたい人はしてもよい。効果は保障する。
天井。天井。それだけを心の中で唱えながら開いた瞳孔を晒して打ちこんでいると、俺の空いているほうの隣に、パチスロ7編集長であるイワイさんが座った。「今日、ここで神7の最終戦やってるって聞いたからさ~」などと言いながら、どっか他の台で出してきたのであろう持ち玉を下皿に移す。
打つ気だよ。このお方。天井を目指す二人の横で。ウザきこと山の如しである。これで、座ってソッコーでGOD降臨なんてさせちゃったりしたらどうする気だろう。あり得ない。俺たち二人にこんな狂気の沙汰としか思えないような実戦を課しておいて、自分は何の縛りもない、好きな時に好きなようにヤメれるミリゴの実戦を、あろうことか天井に向かって一心に突き進むイカロスたちのすぐ横でおっぱじめるとは。無邪気か? それとも邪気いっぱいか? たぶん後者だろう。ドS全開である。利根川さんがいうところの、「安全である愉悦」をしゃぶる気満々である。
こんな蛮行が許されてはならないが、天井を目指すものとしては他人との会話も自らに禁じているので「ちょっと…近くで打たないでくださいよ。その台別に良くないですよ」と言うこともできない。座っちまったものはしょうがない。GOD引こうが気にしてもいけない。心を乱されると天井にはたどりつけない。無視だ。いないものとして扱おう。
するとしばらくして「おおっ」とワザとらしい声を出す我が編集長。チラッと見ると図柄巨大化演出が発生している。しかしリアクションはしない。俺には天井がかかってるんだ。頼むから静かにしてくれ。イワイさんが停止ボタンを順に押すと、単なるハズレ目が停まっている。前兆濃厚である。
「何これ?」
おいおいおいおい。話しかけちゃったよこの人。俺、天井まであと150G切ってるのに(多分)。今が一番大事な時期なのに。ゴルフではショットの瞬間、くしゃみすらしてはならないという。そんなことは常識である。プレイヤーの集中を乱すのは万死に値する行為だということを知らんのか?
「たぶん当たりです」
答えてしまった。上司の問いかけを無視することはできなかった。天井も大事だが、一介の下っ端編集としては編集長の機嫌を損ねないよう振る舞うのも重要であった。自分が情けない。だが、必要最低限の言葉しか発してないので3秒ルールが適用されてこの場合は大丈夫。ただし、もし天井に行かなかったらこれはもう完全にイワイさんのせいなので、デスノート的なものを手にした暁には、泣いて謝らない限りはその名を書き込むことになる。それは仕方のないことである。
イワイさんの台は、前兆濃厚かと思われた図柄巨大化演出から40Gほど経過し、ただのガセ演出であったことが確定した。しきりに俺のほうを見て首をかしげるイワイさんを今度こそは完全に無視し、話しかけるなオーラを大にして、打っていくと。
やりおった。天井である。実は俺、天井到達は初めての経験なのである。もう大丈夫だ。累計の投資は76000円だけど、V揃いでもゼウスでもポセイドンでもないのが若干気になるけど、こっから10連、いや30連くらいする。少し前にしゃっくも無事、天井に到達している。俺たちのめくるめくGG連チャンが始まるのだ。長かった。途中、邪悪な横やりも入った。だが辿り着いた。爆連だ。こっから二人して爆連して合わせ万枚でも出せば、気持ちよく年を越せるってもんだ。行くぜ? しゃっく。俺たちを止められるヤツなどいないぜ。見なよ、しゃっく。準備状態中のハズレで上乗せしたぜ! くくく…。ループストックでしこたま貯まってるだろうけど、爆連には上乗せも必須だからな!!
2連だった。
もう一度言う。
2連だった。
もう一度だけ言う。
2連。
つまり、1回上乗せしてるから、天井GGそのものは単発ということになるよバカが。もうなんだろう、現実感がなさすぎるわ。ファンタジーだわ。リアリズムの欠片もない。あんまりびっくりしたから自転車の乗り方忘れた。かゆい。体がかゆい。あと画面が少し滲んでる。多分、俺、今泣いてるんだね。しゃっくは3連目が終わって神殿ステージだ。怖い。まだストックあるかもしれないけど結末を知るのが怖いので飯を食いに行った。
もそもそと近くの中華料理屋の定食を食う二人に会話はほとんどない。ねえ、GOD引けそう? 今日。とか、EGでいっぱい赤7揃えなきゃですね。とか不毛にもほどがある。飯の味はほとんどしない。怖い。
ホールに戻る。天井で2連だった台にこれ以上座る理由はないので、他の空き台へ。ちょうどいいのか何なのか知らんけど、そこそこGGを引けてる(2625回転で13回)台が2箱ほど持ち帰ってヤメたのでその台へ。投げやりになっているが、少しでも良い台に座らないとマズい。現状、空き台の中では最もマシだろう。
持ち玉をノマせ、追加投資2000円で当たる。もしかしたらホントに悪くない台なのかもしれないけど、もうどうでもいい。このGGが10連超えたら少し笑顔が取り戻せるかもしれないけど、2連だったからもう知らない。その後381GでGG引いたけど単発だったからうるさいだけ。残りの軍資金は28000円だ。このまま当たらなかったとしても天井を狙わなきゃならないようなゲーム数にはならなそうだし、他に目ぼしい台もないし、つって打ち続けるとホント何にも起きない。盛り上げる気ゼロ。でもそれでもいいっていうかどうでもいい。順調に500Gを超え、600Gを超え、この日の、この台の最大ハマリを俺が更新している。ふふふ。見放されている。神から。どうやら、しゃっくのほうの天井も全然ダメだったみたいだし。二人で20万負けだ。それが答えだ。ミリゴに神はいない。いや、神はいるのかもしれないけども、傍観するのみである。奇跡を、恩寵をもたらしたりはしないのだ。最後の1000円をコインに換える。何も起きていない。まかり間違ってGODを引くなどという予感もない。俺はこういう予感はほとんどハズさない。
1枚コインが余ったが、正真正銘、これが10万円を使い切った瞬間である。データ表示器に7が3つ揃っている。注意深く右下の子役入賞履歴を見てもらうとわかるように、775Gでリプレイを引いている。このリプレイがなかったら、777Gヤメもなかった。このリプレイが神の恩寵なのであろう。俺は少し笑った。
これで神7の実戦は全て終わった。
辛く苦しい戦いであった。俺たち二人の収支は-30万4000円となった。だが得るものがなかったわけではない。この財産は失われることはない。ミリゴはゲーム数を決めて打つ台ではない。唯一にして絶対の真理。このことだけは当コラムの読者に約束してほしい。2012年の目標にしてほしい。
さようなら。
しばしのお別れです。俺はきっとまだミリゴを打つでしょう。今度は好きな時に好きなだけ。自由、その言葉の意味を噛みしめながら。
おわり。
【実戦DATA】
_310 ヤメ 13k
台移動(GG0/0G)
35 GG×
_3 2k
1217 GG×
_2 45k
_304 ヤメ
台移動(GG6/1581G)
_830 GG×
_2 16k
_304 ヤメ
台移動(GG13/2625G)
_226 GG×
_2 2k
_381 GG×
_1
_777 ヤメ 22k
【TOTAL DATA】
総ゲーム数…4856G
総GG回数…10回
投資金額…100000円
獲得枚数…0枚
換金額…0円
収支…-100000円