■第5話:凍死 パチプロ編
全てを投げ打ったその先に…

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その顛末以来、焼肉屋と会うことはなかったのだが、1年くらいたった冬の寒い日、表で開店を待っていると、プロ連中が俺に話しかけてきた。

「焼肉屋、死んだってよ」

理由を聞くと、どうやら酒に酔ったまま駅前で寝込んでそのまま凍死してしまったらしい。

普通なら動揺するところだろうが、俺の感情は乾いていて何の感慨もなかった。しかし周りを見渡すと、焼肉屋と仲が良かったプロ連中も一様に俺と同じ冷めた顔をしていた。そしてその話題はそれきり、その後はいつものようにフィリピンパブのネーチャンがどうのとバカ話に花を咲かせている。


この時、奴らの冷めきった顔を見て思ったことがある。

「こいつらクズだな…」

と。

「紳士」と呼ばれていた初老のプロが、食えなくなって仲間の家に空き巣に入ってパクられた。また、よく見知ったプロが偽造チケットを作って販売し、新聞沙汰になって刑務所にブチこまれた。まさしくクズの巣窟…と呼ぶに相応しい有様だった。

そして俺も間違いなく、あいつらと同じ正真正銘のクズだった。いや、あいつら以上だったかもしれない。


自分にはパチンコに対しての知識はある。プロとして食って行けるだけのテクニックもある。金を稼ぐことはそう難しくない。だからズルズルとパチンコ生活者を続けたわけだが、結局パチプロはいつもひとりなのだ。周りには仲間らしき者はいるが、こいつらはみんな銭で人間が変わる。今日仲が良くても、明日は自分の台を奪いに来るかも知れないのだ。

いっぱしのプロ気取りでここまでやってきたが、俺もこいつらと同じでこんなツラして生きてるのかと思うと、ただ銭だけのためにパチンコをやってきたことが突然アホらしく思えてきた。音を立てて潮が一気に引くように気持ちが萎えてしまった。

全てを投げ打ったその先に…

このままではまずい。俺はそう思い、中途半端に貯まっていた金を全て持ち出し、渋谷の場外に行って武豊の単勝馬券にその全てをブチ込んだ。