【第3部】第12話
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JR環状線、京橋駅の夕方は人でごった返している。

「タケシ、金いくらあるん?」

「俺? 俺は3万ぐらいかな」

「めっちゃあるやん。貸してや」

「この間、坂井と新装行ってな、女神様から頂戴した大事な金や。貸せんな。てか、ヒロ!! その前にお前、1万はよ返せよ!!」

「あっ、覚えてた? てか、そんな美味しい台あるんやったら教えてくれや!!」

「誘ったやろ!! お前、彼女が…とか言うてけーへんかったんやんけ!!」

「んなことより、今日は坂井が女紹介してくれんやろ? 俺はハニーおるから興味あれへんけど、暇やから付いてきたわ」

「いや、お前が行きたいって坂井に頼んだんやろがい。ホンマはトシ坊を連れてきてあげたかったのに」

「おっ、坂井ちゃーん。遅いでホンマ」

「ヒロ、めっちゃご機嫌やんけ。彼女おるってのに」

「付き添いやんけ、今日は。んで、どこで待ち合わせなん?」

「一応、改札のとことは言うてるんやけどな。17時はとっくに過ぎてるもんな…あっ、ちゃう。19時待ち合わせに変更なったんやったわ」

「なんやねんそれ!」

「まっ、しゃーない。駅前のパチンコ屋で時間でも潰すか」

「お前はそればっかりやな!! 頭の中、コインと玉しか入ってないんちゃうか」

「アホか!! お前らどないするん? 俺はちょっと打ってくるわ」

「ヒロと2人で茶してもしゃーないからな。俺も行くわ」

「しゃーないってなんやねん!! 最高のトーク繰り広げたるやんけボケ!! でも、俺も久しぶりに打ちたいな。金あんまないけど」

「まっ、とりあえず行ってみるか」

京橋駅周辺は帰宅途中のサラリーマン、学生と賑わいをみせていたが、俺らは人の波とは逆方向へと歩き、繁華街のど真ん中にあるホールへ向かった。


「さぁーて、この店には何があるのかな?」

「タケシ、俺あんま金ないからヒラ台(※)打っとくわ」

※羽根モノ



俺と坂井はパチスロコーナーへ、ヒロは1人でヒラ台へと別れた。

「うおっ!! リバベルWやで坂井!!」

「ホンマや!! 俺、Vしか打ったことないから打ちたかってん」

シマは半分ほど埋まっていたが、俺と坂井は並びで意気揚々と打ち始める。

「これ、リーチ目とかVと一緒かな?」

「一緒やで。基本は中段と右上がりの7テンパイ。あとは中リールのスベリテンパイとか、小役が中リールスベってハズれるとか」

「なるほど。それにしてもこの虹7はカッコエエなー、たまらんわ」

「そやろ!! 俺もめちゃくちゃ好きなんよなこの虹7。ん? いま、中リールスベって右下がりテンパイしたな…もしや」

俺は右リールに7とピエロがくっついている絵柄をダイレクトに狙ってみた。すると、そのまま美しすぎる虹7が揃い、見事BIGをゲット。ちなみに、右リールに7ではなく、ピエロが停止すればREGとなる。これはセンチュリーからの系譜だ。

「タケシ、なんか小役がめっちゃ揃うけど、もしかして集中機なん?」

「そうそう。リバベルVと違うのが、フルーツの集中があることやな」

「めっちゃエエやん」

「俺はVより断然Wのほうが好きなんよな」

「ちょっとヒロが気になるから見に行ってくるわ」

「はいよ」

俺はホールの端にある羽根モノコーナーへと向かい、ヒロを探した。


チンジャラジャラ〜。軽快なリズムに乗って小箱を満タンにしている。

「オイ、出てるやないかっ!!」

「300円やで。これめっちゃオモロいな」

「火の玉ボーイ打ってるんかいな」

火の玉ボーイは1991年に西陣から登場した羽根モノで、螺旋状の役モノを経由して右側にあるVに玉が入賞すれば大当りというゲーム性。Vは常に上下に動いているので、Vが下に移動したタイミングがとにかく重要だった。また、大当り中は螺旋状の役モノの先に磁石が登場するのだが、この磁石に玉がくっついて、Vの上から入賞を狙う…という独特な玉の動きが面白かったのだ。

「磁石がヘタってると、大当りがパンクするからそういう台は絶対に打つなよ。まぁ、見てる限り、コレは大丈夫やな」

「この球の動きが堪らんわー。でも、大当り中にパンクしそうになったら"助けてー"って叫ぶのだけはヤメてほしいな、ドキドキすんねん」

「残り少ないでーってやつな。俺も好きやねん」

「ほな一緒に打とうや」

「いや、BIGがサクサクと当たってんねん、俺も」

「エエなー、オイ」

「まぁ、まだ時間あるし楽しもや」

俺は坂井の待つリバベルWのシマへ戻ると…

「おっ、BIG当たってるやん」

「フルーツ終わってすぐやったから、結構な出玉なったわ」

「明らかにココのはノーマルやな」

「裏モノあるん?」

「あるで。BIG後5G目にBIG。んでその5G後にフルーツの3連コンボverがあるねん。大阪にはあんまないけどな。ほら、リバベルVでも11G連verがあったやろ?」

「知らんわ。てか、なんでそんな知ってんねん。どこの情報やねん」

「地元の常連連中からや。金がちと貯まると奈良とか神戸まで裏モノ打ちにみんなで遠征行ってるからな」

「ヤバいな、お前はホンマに。将来心配なるわ…」

それなりにパチスロを堪能した俺と坂井。そして欲を出して持ち玉を全部溶かしたヒロの3人で店を出る。

「なにが火の玉ボーイやねん!! 結局、全部ノマれたわ」

「300円しか使ってへんねんから、楽しめたわーっでエエやろがい」

「いや、俺はお前ら2人が勝ってるってのが許されへん」

「なんでやねん。俺は2千円しか勝ってないぞー、タケシは5千円ぐらいや」

「あっー、けったくそ悪い。どうせブス3人衆やろうしな、帰ろうかなー」


京橋駅前の改札へ行くと、明らかにその3人らしき女性が待っていた。

「坂井くん!!」

「おっー、ミワちゃん久しぶりやな」

「あっ、はじめましてヒロって言います!! こっちはタケシっていうパチスロばっかりしてるどうしようもないヤツです」

「おいっ!!」

「なんなん、めっちゃオモロい人らやん坂井くん。あっ、ウチの商業の友達でカオリとアキ」

「はじめましてー」

正直、奇跡的に3人ともめちゃくちゃ可愛くて、カオリちゃんだけは少しヤンキーっぽい感じはするが、あとの2人は清楚系といった感じだ。

そして何よりヒロが大はしゃぎしている。誰にしようかと品定めをするかのようなマシンガントークをぶっ放しながら、適当な居酒屋へ入った。

酒の味すら分からないガキ達が、テンションだけでその場を楽しんだ。

「みんな彼女いないんですか?」

「おらんねんなー。寂しいわ…悲しいわ…」

「(コイツ…)」

「(調子乗んなよヒロ)」

俺と坂井は目で、ほどほどにしとけよ、と合図を送るがお構いナシ。よほど気に入ったのか、ひたすら喋り続けている。

「タケシくんもおらんねや」

「あっ、俺? そやな、なんかおったりおらんかったり、付き合ってもフラれるねん、いつも」

「えっ? なんでなん? 女遊び激しいとか?」

「ちゃうわっ!! なんやろ、パチスロばっかりしてデートとか行かんからちゃうかな」

「そりゃ怒るで。てかな、ウチもパチスロちょっとやったことあんねん」

「マジで!?」

「うん、元彼が好きやったん」

「ほったら今度行くか一緒に? どこ住んでんの?」

「寝屋川」

「おっ、近いな。バイクやったらすぐやわ」

「オイオイ、なんやタケシくん。カオリちゃんとデートかいな?」

「デートって。パチスロ行こかって話や」

「ホンマお前はそればっかりやな」

「やかましいわ」

俺らは2時間ほど楽しい時間を過ごし、カオリちゃんとベル番と電話番号を交換した。肝心のヒロもアキちゃんと仲良くなっていたが、彼女がいるのにこの先どうなることやら。

そして俺はカオリちゃんとこの後、急接近することになるのだが、まさか一悶着が起こるなんてこのときの俺は予想もしていなかった…。





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アツいぜ
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