30年前にも釘問題が
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業界を騒がせた、昨年の釘問題(『業界激震』って書くと、ネットの情報だけを適当に集めたアクセス数稼ぎ目的媒体みたいになって面白いですよね)。これはですね、簡単に説明すると検定時と出荷時で異なる釘調整にすることで『本来の性能とは異なる』状態になっていた可能性が高く、結果的に射幸性が高まっていてよろしくない…というもの。

役物比率と射幸性の関係についても簡単に説明しますと、大当たりによる出玉のインパクトが大きい代わりに通常時の払い出しはほとんどありませんよ、という状態になっていたわけです(検定時は逆だった)。結果として投資ペースが大幅に高くなり、検定時と比べると射幸性が格段に上がっていたんですね。

この問題は国会でも取り上げられ、最終的には射幸性がずば抜けて高いMAX機の自主的な回収(≒強制撤去)ということで手打ちとなりましたが、本来なら同じゲージかつ同じような手法で保通協へ持ち込んだであろうライトミドルや甘デジまでもが性能が異なる可能性があったと考えるのが自然。つまり、一律に同じルールを適用するのであれば全台回収となってもおかしくない事案だったんです。そんなことになれば、まさに『業界激震』でしたよね。


なんて余談はさておき、今回はメガトロン(1990年頃)です。カテゴリーとしては普通機とか平台と呼ばれるもので、近年では手打ち復活という面でも話題になった昭和物語を想像してもらえればわかりやすいかと思います。

それは、特定の穴に入ればチューリップが開放し、その連動で玉を増やすというパチンコの原点とも言えるタイプで、デジパチと比べても、また羽根モノと比較しても射幸性が極めて低いというのが本来の姿。…ですが、その当時の普通機って、世間的には一発台として運用されていたのが当たり前でありました。


ちなみに、一発台というのはあくまで『いわゆる』的な呼び名で、そんなジャンルはどこにも規定されていなかった存在。その言葉の通り一発入るだけで大当たりになるのが特徴で、後は右打ち(しなくてよい機種もありましたけど)をするだけでひたすら出玉が増え続けるというのがざっくりした特徴でしょうか。

もちろん、だからといって閉店まで出っぱなしなんてことはなく、基本的に定量制で運用されていましたから、一定の出玉数で打ち止め終了となります。ただしこの打ち止め玉数はホールによって様々でありました。記憶に基づくと5千発くらいが多かったと思いますが、時間によって変更されることもあったりして、それをイベント的に集客に利用していたわけです。例えば、閉店1時間前からは1万発定量になったりとかですね。言ってみれば、まったく同じ台なのに時間によって急にスペックが良くなるわけですから、そのタイミングになると満席御礼という光景もしばしば見られました。

ちなみに、一言で『一発台』といってもゲーム性は様々で、本当に一発入るだけで良い機種もあれば、3つ穴クルーンで有名なスーパーコンビのように役モノに入ってからの振り分けでドキドキできるもの、また筆者が好んで打っていたベータみたいに狙いどころへは頻繁に入るけど役モノ振り分けが激辛という機種など、それぞれに面白さがあったんです。



そこで今回のメガトロン。この機械は役モノ振り分けを重視したタイプで…


[1]中央の役モノに入賞

[2]9本の突起をクリアして中央のGO入賞

[3]その下の役モノ(通称・ベロ)が飛び出すように5回開放し、そこで玉が拾われれば大当たり


という流れ。

役モノにはそこそこ入り、またGOにもそれなりに入るためベロ開放まではそんなにハードルは高くありません。しかしベロに拾われる玉自体が役モノ経由かつGOに入らなかったものに限定されるため、ベロが開放しても入りそうな玉が役モノ内にスタンバイしていないということが多いわけです。また、せっかく複数個の玉が役モノにあったとしても、ベロは一瞬しか開放しないため、拾われるのは至難の業でした。

まあハードルが高いからこそ、一旦大当たりさせれば数千発ゲットというのが一発台の醍醐味であるから当然ではありますけど。



で、ここからがほとんどの一発台に共通するもので、大当たりといってもただ単に特定部分のチューリップが開くだけなんですね。だって普通機だし。


でも釘をこれでもかと曲げることで玉が通る道を作り、チューリップが開くことでそこに新たなルートが生まれ、普段は入らない特定の入賞口へどんどん入るようにしていたことで、普通機が一発台へと変身していたんです。

もちろんこの強引な釘曲げはその後に問題となって最終的には一発台は禁止されてしまいましたが、これって昨年の釘曲げ問題と似てますよね。


釘によって性能が大きく変わるというのは、いつの時代でもやっぱりパチンコは釘ありきだということであり、それにまつわる問題も変わりません。今後、一発台のような強引な釘曲げはもとより、調整の範囲内での釘曲げも厳しく規制されようとしています。

そうなった時でも、パチンコはこれまでのように面白い存在であるのかどうか。そればかりは正直まったくわかりませんが、いつまでも面白い遊びとしてあり続けて欲しいものだと切に願い、このコラムの最終回とさせていただきます。

短い間でしたが、御愛読ありがとうございました。

アツいぜ
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