横綱昇進ではっけよい
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今のパチンコも嫌いじゃありません。そうでなければ、毎日のようにホールへ通ったりしませんから。でも思い出は美化されるものでありまして、今の台より昔の方が面白かったなーなんて愚痴ったりして、かつての名機をもう1回打ってみたいなと考えることもしばしば。

10年ほど前の「みなし機撤去」まではそんな機種が残っているホールも全国にチラホラとあったので、仕事、プライベート問わず地方に遠征することもできたのですが…。

さすがに今はそんなホールは皆無となりましたが、一部はゲーセンへ形を変えて営業していたりします。そこで、懐かしい機種を打って当時の気分に浸ってみよう! というのが本コラムの主旨。アラフォーやアラフィフ読者のみをターゲットにしたニッチコラムといったところでしょうか。

申し送れました、私、ライター(NOTタレント)の宇惨臭蔵です。それではしばらくのお付き合い、よろしくお願いします。


第1回目は、稀勢の里優勝&横綱昇進記念ということで1993年登場の綱取物語でも。カテゴリー的にはいわゆる連チャンデジパチで、さらに言うなら大当たり後の数十回転まで連チャンが期待できるという数珠つなぎ連チャン機ってことになります。

システム的には、大当たり確率1/247の通常モード(これが公表確率)、1/37の天国モード、1/988の地獄モードという3種類のモードがあり、この3つのモードを大当たりの度に行ったり来たりするというもの。移行率は天国が3/6、通常が2/6、地獄が1/6となってまして、天国滞在率=連チャン率、つまり50%で連チャンするというわけですね。しかもこの頃のデジパチは当たり前のように出玉が2400発あったため、1回当たってしまえば1万発くらいは比較的簡単に出てしまうという、なかなかのポテンシャルでした。

でも地獄モードに転落してしまったら…まさに地獄。もはや大当たりさせることは至難の業ですよ。もちろんモードを外部から察知することはできないので、ハマればハマっただけ地獄の可能性も高まっていきます。そういう事情もあったため、夕方になると、通常モードが確定するということで、「電源オフサービス」なんてのも行なわれていました。


さて、都内某ゲーセンにて綱取物語と久々のご対面。とりあえず朝イチ出目(あくまで朝イチ出目なんですが、リーチ目だなんて言う人もいましたっけ)である「十両・金星・小結」を確認して、打ち出し開始です。


それにしてもね。久々に見てみると、なんて液晶が小さいことか。今では盤面全部が液晶なんていう機種もありますが、当時はこれでも美麗液晶だなんて言われてたんですよね。


なんてことを考えていたら、61回転でノーマルリーチから前頭四が揃って大当たり。この「ノーマルリーチであっさり当たる」っていうのは当時としては当たり前でしたが、やっぱりいいもんです。

…っていうか、リーチの種類はノーマルとスーパーの2種類しかないっていうのが普通だったんで、そりゃノーマルでも当たってくれなきゃなんですけど。


さらにそこから32回転で横綱が揃って、見事に数珠連ゲット。この時に出たのが、通称クルクルなんて呼ばれてたスーパーリーチ。


右デジタルがいったん停止してから、のこったのこったと表示されながらクルクルと回るアクションですが、個人的な体感期待度は50%くらい。しかも大当たり直後の連チャンゾーン内なら、当然激アツとなります。

リーチがかかったら手を使ってクルクルさせスーパーリーチ発展を祈るなんて、まるで海を打ってるオバチャンが魚群を呼び込むみたいに手を横に動かす的な楽しみ方もあったりして。



この綱取物語がデビューした24年前、既に筆者はライターとして糊口をしのいでおりました。ただそれと並行してパチンコ関連の会社が集まる東京・上野、通称上野村にある某業者を手伝っていまして、そこでの仕事を終えるとそのまま上野の繁華街にあるホールに通う日々。上野村の隣ということもあってか上野のホールは新台が真っ先に入っていまして、特に今はなきN7(仮名)というホールでは業界関係者の姿も多く見られました。

この綱取物語も真っ先にN7に導入されたのですが、仕事を終えた夕方に行ってみたらみんな死にそうな顔をして打っているんですよ。ハマリ続けている客のなかに知り合いがいたので聞いてみると、「さっきまでは連チャンしていた台も多かったんだけど…」と青息吐息。どうやら、それを期待して皆が突っ込み続けている様子。

考えてみれば、何回も大当たりをすればそれだけ地獄モードにいる可能性が高くなり、夕方にもなればほとんどの台がそうなっていてもおかしくはありません。地獄モードに移行しちゃえばいくらクルクルしようと、大当たり確率1/988の壁は高くてハズレを繰り返すばかりなのは当たり前なんですけどね。しかし当時は雑誌の解析が出るまでは中身がどうなっているか知る由もないわけです。


あとから先述したモードの存在が明らかとなると、モードがリセットされて通常モードスタートになる電源オフサービスが一般的になっていきます。ま、それと同時に釘も渋くなったんですが…。

それでもクルクルの魅力と50%という高い連チャン性で長い間設置されましたし、筆者もたまに思い出したように打ったものです。

なんてことを考えていたら、24回転、またもクルクルから関脇が揃って大当たり。そこから100回転ほど回して、第1回目の実戦を終えました。



液晶が小さくでもスーパーリーチが1種類しかなくても、連チャンするかどうかで楽しめるっていうのは、やっぱり良いもの。


また綱取物語はBGMも良くて、これは是非ともネットなどで探して実際に聞いてみて欲しいです。微妙なマイナー調のメロディは日本人の琴線に触れると思いますし、だからこそ久しぶりの日本出身力士の横綱昇進がこれだけ盛り上がるんだなってことにもつながるのかなと、強引に締めくくっておきます。

アツいぜ
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