行列の並び方
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ホールの新台入替の際など、例えば100人で入場抽選を行なった場合、先頭に並んでいながらも抽選で100番を引く可能性がある。先頭に並んでいながらビリ入場…これがルール上から想定される最悪のシナリオだと思われる。

わしは新台を競ってまで打たないからこの手の話題には事欠くが、並びが多い打ち手の場合には多くの悲喜こもごもがあるに違いない。100番目の抽選から「トップに成り上がり」というツキを使い果たしたような展開もどうかと思うが、たとえ成り下がっても並び順に近い結果(入場順)が欲しいのが人情というものだろう。

そこでわしは、過去の経験を活かしたり頭を使うことで並び順が繰り上がったりする状況があるのであればそこに労力は惜しまない。他人から見て「セコい」と糾弾されれば無念至極だが、「賢い」と賞賛されるような行動を常に取りたいとは思っているのだ。


わしが日頃から頻繁に利用する近所のスーパーは、デフレの勝ち組らしく安売りを最大のセールスポイントにしている。特に既製品の安さは折り紙つきで、定価が100円程度の商品でも他店の安売りより1割以上安かったりする。わしもソコだけが魅力で通っているのだ。

その一方で欠点もある。察するに激安商法の裏返しから人件費をトコトンまで削っているらしいのだ。そのせいで商品の売れ方に対して陳列が追いつかないことなどは日常茶飯時で、飲料系では置きっぱなしにされているダンボールを自ら開けて商品を抜き取ることも多い。


さらにコストダウンの弊害は広がりを見せ、最後の関門であるところのレジ人員にまで波及する。そもそもレジは5レーンあり、かつ客が多くいるにも関わらず3レーンほどしか稼働していないことが多いのだ。オマケに稼働中の3レーンに人が集中するためハンパない行列に発展するのには辟易してしまう。

早朝時にレジが混んでしまった場合などは、明らかにレジ打ちに精通していないと思われる魚売り場のおじさんがゴム長を履いたまま狩り出される始末だ。何でもできる人が重宝がられる時代だとは思うが、このコストダウンはいささか行き過ぎで、列の消化を著しく悪化させている。


そこで本題である。パチンコを打つ流れで同様の場面はなさそうだが、この3レーンに5人ずつ並んでいたとしたらどの列に並ぶのが最適なのだろう? こんな疑問は誰にでも起こりうる日常生活のテーマだと思うが、少しわしの思考法を紹介してみたい。

まずは、並んでいる人々のカゴの中身がトータルして一番少ないと思われる列に加わるのが最善であろうし、これは誰でも行なう手法だろう。そこへわしは、よく行く店ならではで、レジ担当者の処理能力を加味して列を決めていく。

おおよその感覚だが、仕事の早い職人肌のレジ打ち人ともなれば、レジ打ち凡人と比較して、5人待つ間に1人を追い抜いてしまうことも多いのだ。その辺は量の関係もあって臨機応変の判断になるが、量よりも(レジ打ち人の)質を重視し、基本的には仕事が早いと思っている人のレーンに並んでいる。

以前も、パチンコでブドウの解消などで、タートに玉を入れてくれる店員が来てからランプを押すというようなことを書いたが、基本的には同様の考え方と言えるだろう。


当然ながら並んでいる客層にも注意が必要だろう。近所の野球部の学生が飲み物2本ぐらいだけを持って大挙している列は、見かけは長いが回転が早くなるチャンスだ。また、会計に細かい小銭をたくさん出して手間取りそうなばあさんが列にいたならば、並びが短くとも逃避が正解の場合が多かったりもする。

ただし例外もある。列がひどくなってくると、急きょレジ担当者を増員する場合があるからだ。それが近いと読んだ場合には、仕事能力云々より空レーンの隣に並ぶのは攻めの手である。思惑通り増員が行なわれた場合には、隣のレーン(並んだレーン)からお客を引き抜いて処理していくから、結果的にどのレーンのどの担当者よりも早く会計を受ける恩恵を受けられる。こんな時は思わずニヤリとしてしまう。


わしはイミグレーション(=出入国審査。以下、イミグレ)にもよく並ぶ。母国である日本のイミグレで並びでの問題はあまりないが、入国しようとしている国で入国審査を受ける場合には様々な判断が必要になってくる。ちなみに、どの国でも出国審査は余程のことがなければ(帰ってもらうだけだから)審査は早い。

到着便や時間帯の関係でイミグレの混み具合は常時変化するが、基本的にはスーパーと同じで回転の早そうな列に加わるようにしている。イミグレでよくあるオチは、最前列付近でいきなり2列に分岐していて、2人の入国審査官が処理しているというもの。

これはアラビア系の民族衣装を着て恰幅を増幅させる効果のある(つまりデブに見える)人たちを含む大人数をムダに蛇行させて並ばせたりする。このために後方から先頭付近の状況が非常に見切りづらいのだ。また、こちらが普通なのだが、分岐がなく単純に1人で処理している場合もある。したがって、イミグレで列に加わる時は分岐の有無を注意点としている。

そんなイミグレで最悪なのは、自分の並んでいる列の先人が入国拒否を喰らったり執拗な審査を受ける場合だ。わしもそのような例を目撃したことがあるが、口頭でいろいろな質問にさらされたり、入国に必要な種類を何度も書き直しを命じられていた。この時は出稼ぎ目的(わしの勝手な予想)が引っかかってしまったようだが、彼等も簡単には引けないだろうから相当に話が長くなる可能性まで考慮しなければなるまい。

もちろん、後列以降に状況説明などはなく、こんな列は自然とササクレ立ってくる。列には各人種が入り乱れているから、「割り込みは文化」とも言える某国人などがいたらトラブルが至る所で発生する事態になる。実際に見たことがあるから書き留めておくが、正義感の強そうな欧米系の青年と東洋人(東アジア)のおじさんがイミグレの列で怒鳴り合っていたら、たいがいの原因はそのあたりだろう。


余談ながら、チンタラ仕事をこなす入国審査官もいる。かつてガラガラのイミグレで、わしとわしのパスポートを見るなり「ジャパーニ、ジャーパニ♪(多分こう歌った)」と鼻歌を歌い出した暢気な入国審査官がいた。ヒマな上に前の日に奥さんにでも優しくしてもらって機嫌が良かったのだろうが、ツラを見るなり歌われてしまったわしはたまったものではなかった。

渡航先で最初に会って言葉を交わす人物はほとんどの場合が当該国の入国審査官だから、そこでの印象はその国の印象をも左右しかねない。そういう意味では、この審査官にはかなり面喰ったものだ。しかも彼は仕事が遅く、機嫌良さ気にワケの分からない歌のようなものを口ずさんでいるばかりで、なかなか入国スタンプを押してくれないのにはホトホト参ってしまった。


さしあたって、行列の並び方一つでも様々なことに考えを巡らせている。これまで物事が起こってから対処する「泥縄式」の行動パターンが多かったが、パチンコ屋の開店の時ぐらいはスムーズに入場したいものだ。
アツいぜ
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