ライターの資質1
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※2016年4月26日公開分です。


「パチスロライターになろっかなーと思ってますw スロ歴は1年ですw」

最近SNSを見ていると、こういった内容のプロフィールをよく目にする。

いや、いいんじゃないですかね、なれば。俺を含め、ほとんどのパチスロライターはフリーランスだし、自分からパチスロライターと名乗れば誰でもパチスロライターだろう。仕事を振ってくれる媒体があるのであれば、バイト感覚でやってもいいでしょう。周りからどう思われても個人の自由ですし。

しかし、いつからこのパチンコ・パチスロ業界では、「ライター」が誰でもなれる手軽な職業になったのだろう。


今回のコラムは、現在パチスロライターとして生きるオッサンの独り言である。

別にこれからライターを目指そうとしている若者に対して、説教をしたいわけでない。まずはその旨をご理解頂きたい。まずは少しばかり、昔話にお付き合い頂こう。


今から15年ほど前の話になる。

俺はサイト7(CSのパチンコ・パチスロチャンネル)の番組を作る制作会社でバイトをしていた。そのとき、初めて「パチンコ・パチスロライター」なる職業の人物に出会うことになる。

当時の俺はADや音声助手。ライターという職業に特別憧れを抱いていたわけではない。

加えて当時の俺は、少しばかりパチスロの腕に覚えがあった。パチスロライターと言っても、さほど俺と変わらんだろう…なんて思っていた。

しかし収録でお会いした某誌のライター陣は、俺にとてつもない衝撃を与えた! 完全に次元が違うのである!!

当時は4号機の爆裂AT機全盛期だったが、まだビタハズシ(ビタ押しでリプレイハズシ)が必要な技術介入機もたくさん残っていた。

そのビタハズシを、ライター陣は常人では到底できないであろうスピードでこなしていく。

さらに知識も一流。当時はネットが発達しておらず、頼れる情報源は雑誌だけだった。その雑誌にも載っていない情報が、ライター陣の口から溢れてくるのである。

「これがライターか! とてもじゃないけど俺にはマネできない」

これが最初の印象だった。


それから少し経ち、俺はバイトを辞めて某テレビ局の下請け技術会社(カメラマン・照明・音声の会社)に就職。テレビの世界は華やかなイメージだが、もちろん裏側はそうでなく、イヤなことがたくさんあった。

ストレスのはけ口は言うまでもなくパチスロ。仕事量に到底見合わない少ない給料を握りしめ、休日はひたすらパチスロを打った。


ストレスに加え、疲労もかなり溜まっていたのだろう。ついに俺は仕事先の最寄り駅で倒れ、救急車で搬送されることに。

そして目が覚めた病院のベッドで天井を見つめながら、いつまでこんなイヤなことを続けるのだろうと思った。

アテはなかったが仕事を辞め、親から仕送りを貰う情けない生活。それでもクズだから、ホールには通っていた(マネすんなよ)。


さて、今後の人生をどうしようか。そうだ、作家・フリーライターになろう。映像・映画制作の専門学校に通っていたから脚本なら書けるし、取材のノウハウもある。

とりあえず何のライターをやろうかなと考え友人に相談したら、「風俗ライターの仕事ならスグに紹介できるよ」とのこと。

今なら「あざまーす」と二つ返事するのだが(う、うそだよ)、当時のラッシーさんはイケメン! そう、イケメンだったのである!!

「若いのに風俗に行くなんて格好悪い。女性は自力で口説き落としてナンボだろ!」という、変なプライドがあった。風俗ライターを断り、じゃあ自分の好きなものは何だろうと考えた。

…パチスロじゃね? 自分が一番時間を費やしていて、一番夢中になってんのってパチスロじゃね?


映画評論家という道もないわけではなかったが、友人や先生はみな映画を作る側である。それを批評するってのも…ねぇ? 先生方には恩もありますし。

「これはもう、パチスロライターしかねぇーな」

ちなみに当時のパチスロライターの仕事は誌面がメインで、今みたいな動画出演はあまりなかった。それゆえ「動画に出たい」なんて考えは微塵もなかった。

ただ文章を書いて飯を喰えればいい。ゆくゆくは映画の脚本や漫画原作・ゲームシナリオなんかを書きたいが、まずは実際の出版業界で自分の文章が売り物になるかどうかを試さねば。

もし今の俺の文章が売り物にならなくても、出版業界で仕事をしながら身に付ければいい。まずは出版業界だ!


だが、軽々しく「ライターになりたいです(キャピ)」なんて言えるハズがない。あの別次元のライター陣を実際にこの目で見ていたからだ。

少々大げさな物言いになるが、まぎれもなくあの感情は「畏怖」である。もちろん「尊敬」でもある。ビタ押しの技術では絶対に勝てないし、素人の俺とパチスロを日々打ち倒してるライターとでは知識にも大きな差がある。

一点、ただ一点勝てる可能性があるとするならばそれは文章だ。知識もビタ押しの技術も徐々に身に付けていけばいい。

こうして俺はパチスロ必勝本の門を叩くことになる。

(続く)