春よ来い
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冬は嫌いじゃないんですが、加齢とともに寒さに耐えられなくなってきて…。16歳で中免(今は普通二輪っていうらしいですが、やっぱり「ちゅーめん」でしょ)を取ってから30年以上、ずっと単車を所有し続けているわけですが、今じゃ冬の間はすっかり車庫の肥やしに。学生の頃は真冬だろうと何だろうとドカジャン着込んでどこまでも突っ走っれたんですけどね。

現在所有している単車は、数ヶ月乗らないだけでキャブが詰まったりとすぐ機嫌が悪くなってしまいます。早く暖かくなってくれないと、エンジンをかけるまでにまた一苦労させられそうです。


なんて余談はさておき、そろそろ3月。桜前線の話題も聞こえてくる頃なので、今回はCR花満開(1993年)でも。


花満開といえば、つい先日も最新作が発表されたように、今なおシリーズ機が作り続けられているという西陣を代表するタイトル。その初代はCR機の黎明期に登場し、確変という新たな連チャンシステムを世に知らしめた、そしてCR機を一気に普及させた立役者と言えるでしょう。



まずスペックですが、大当たり確率は1/269or1/289or1/308の3つ。「3スペック」ではなく「3種類」です。当時のCR機というのは、1つの台で大当たり確率を変えられるという『設定機能』が搭載されていたんですよね。

出玉は一律約2400発。15種類の図柄のうち3か7で当たれば確変で、その場合は以降2回の大当たりが保障されます。さらにその途中で再度3か7で当たればプラス2回ということで、いわゆる「2回ループタイプ」ということになります。ただ…黄門ちゃまや大工の源さんのような後に大ヒットした2回ループ機とは違い、内部に『カラクリ』があったのが花満開の大きな特徴なんですね。


連チャン機全盛時代のパチンコというのは、発表されているスペックが全て…というわけではありません。例えば大当たり後は保留玉の確率がアップしていたり、内部的に複数のモードがあったりと、ざっくりと「大当たり確率は1/○」というものの影にさまざまなゲーム性(?)が隠されていたわけです。

そのため、記事にする場合には本当の性能を調べるために関係者に情報収集したり実戦してみたり、さらに実機を手に入れて解析したりと色々やりました。今では新台がリリースされとメーカーは積極的にプロモーションをかけますが、当時は取材なんてもってのほか…という状況なので、写真を撮るのさえ一苦労。ホールさんに撮影協力してもらうにせよ、もし店バレするとホールに迷惑がかかる可能性もあったので、雑誌に筐体を掲載する場合には証紙部分を黒くつぶしたり、白抜きにしたりということが行なわれました。

そういった部分で苦労は多かったけど達成感も大きかったですね。個人的に、あの時代は今よりも確実に楽しかったと言えます。


話が逸れてしまいましたが、花満開のカラクリであり特徴となるのは、初回の確変割合が2/15であるのに対し、確変中に限っては6/15と3倍アップするところ。これによって確変中は3と7で当たりまくるわけで、何十連チャンすることも珍しくないという状況に。

また通常図柄で当たった場合にも保留1個目が1/8で連チャンしてくれるという、今の言葉でいうところのワンチャン機能も。通常大当たりでガッカリしていたら保留1個目で3か7が当たったり、また確変中に通常大当たりが2回続いて連チャンが終わったと思ったら保留1個目で引き戻したりと、それはそれは色々なドラマが起こったワケです。



演出はノーマルリーチと、今なおシリーズ機で継承されているさくらさくらのメロディとともに花びらがヒラヒラする花満リーチの2種類のみ。でも当時の機種の常としてノーマルリーチでもそこそこ当たるし、花満リーチになろうもんなら周囲から覗き込まれるのが上等くらいの激アツっぷり。それが3か7のリーチだったりしたら…!

また、3か7が停止する時だけ図柄がヒラヒラするアクションが用意されていたんですが、確変中は保留1個目にそのアクションが出るだけで胸が高まったものです。多少美化されている部分があるにせよ、それでも演出なんてこれくらいでいいと思うんですよね。役物ガッチャーンがなくてもスペックとの相乗効果があれば中毒性は極めて高くなるってもんです。


当時、筆者が花満開を打っていたのは、横浜の自宅近くにあるG店。その店は大通り沿いにありながら駐車場は一切なく、そして商店街にも位置しないという、立地的にはとても良いとは思えない場所にありまして、やっぱりというか何というか、10年くらい前に閉店して跡地はお決まりのマンションになってしまいました。

あの頃は辺鄙なところにそれほど規模の大きくないホールがあるのはそう珍しくはなかったんですよね。完全に近所の住民相手だとは思いますが、ファンの分母が多かったからこそ商売になったということかと。

実際、G店もそれなりの稼働があり、なかでも花満開コーナーは大人気。なかなか3や7で当てることはできませんでしたが、2.5円交換ということでそこそこ回ったし、1回当たれば2400発出て、しかも通常大当たりでも連チャンが期待できるだけに、そこまで大負けした記憶もありません。

ただ、今回のゲーセン実戦で久しぶりに確変大当たりをゲットしましたが、都合5連で終了してしまいました。花満と言えば強烈に大連チャンするイメージが脳裏に焼き付いているわけですが、実際にはこんなものだったのかもしれませんね。下手したら今の新基準機の方が波が荒かったりするのかも。


ちなみに、このようなカラクリがある機種は1996年に「社会的不適合機」として強制撤去されたのですが、そんなことをしているからどんどんファンが減っているのかも知れません。そういえば昨年にも撤去騒動がありましたが…自分で自分の首を絞めてるんじゃないかという業界の体質は20年前から何も変わっていないということでしょうか。


桜が満開になるように、再びホールがファンで満員になる時代は来るんでしょうか? あ、上手いことをいっちゃいました(照)。