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負けたくないもの
※2016年夏の特別企画「人生最大の大勝負」というテーマで書いています
世間はリオオリンピックで大盛り上がり。最近は寝不足で苦しんでいる方も多いのではないかと思います。
かくいう僕もオリンピックの犠牲者でして…昼夜逆転しているものだから普段の稼働に支障が出てしまっているんですよ。どうしてくれるんでしょうか! ぜんぶオリンピックのせいだ!
…なんてね。JR SKISKIの名言めいた言い訳をしたくなるくらい楽しすぎるんです。
選手の真剣な表情やこれまでの努力などを知ってしまうと観ずにはいられません。まだまだ続く数々の競技、これからも睡魔に負けず日本代表選手陣を応援し続けましょう。
さて、人それぞれ注目している競技は違う思いますが、僕が一番注目している競技は卓球です。原稿を書いているまさに今、男子の水谷選手が3位に入賞して、個人では日本史上初のメダルを獲得しました。これは本当に快挙なんです。
今回は、この卓球にまつわるお話になります。
時を遡ること15年。当時まだ小学6年生の僕は、校庭で6年間続けてきたサッカーの練習していました。球技が大好きだし走るのも好き(6年間ゴールキーパーでしたが)だったので、これからもずっとサッカーを続けて行きたいと思っていました。しかし…
母親と母親のPTA仲間で親友でもあるSさんと食事をしていた、とある日のこと。
突如Sさんに「Qちゃん、週に1回PTAで卓球の練習があるんだけど、ちょっとやってみない?」と言われました。
「卓球? 卓球なんて興味ないよ、おれはサッカーが好きだし…」なんて気持ちで回答を渋っていたのですが、後日Sさんと小学校でたまたま会った時になしくずし的に卓球をやることになりました。
Sさんの所属するPTA卓球チームは区内でも屈指の実力を誇る強豪。そのチームのエースでもあったSさん、なんと北海道の元国体選手だったのです。
そんなSさんにラケットの持ち方、振り方から教わって、その後練習にも参加したのですが…Sさんが打ちやすいところに返球してくれたおかげで、いきなりフォアハンドのラリーが100球も続きました。「うわー。これは楽しい!!」とびっくり!
すっかり卓球の魅力に憑りつかれた僕は、サッカーの練習と同時にPTA卓球の練習をするようになりました。すると、初めて3ヶ月程で区の小学生大会で優勝してしまったのです。この頃は本当に卓球が楽かったなぁ。
そして、小学校卒業が迫った3学期のある日。
「中学校はどうする!? Q太の行きたいところに行きなさい!」
クラブチームでサッカーをするか、それとも部活に入って卓球をするか。どちらを選ぶかで進学先が変わるのですが、もうサッカーと同じくらい卓球が好きになっていました。
悩んだ結果、選択したのは卓球。
その理由は、卓球の方がサッカーよりも競技人口が少ないから。同じぐらい好きなら、大会で勝ち残れる可能性が高そうなほうにしようと…なんとも可愛げのない理由ですね(笑)。
学区内の公立中学校は卓球部がなかったけど、タイミングのいいことに僕の卒業年から学区外の公立中学校にも行けるようになったこともあって毎日卓球が出来る環境が整ったわけです。
もう毎日が幸せで幸せで、部活から帰ってきても毎晩のように卓球の試合のビデオを見て、素振りを繰り返し、ランニングをし、また卓球のビデオを見て研究。そんな卓球漬けの毎日を過ごしていました。
その甲斐あってか2年生で関東大会にも出場出来るようになって、順風満帆な卓球ライフを送っていましたが…そんな環境は長く続きませんでした。
大会で結果を出すのを妬む先輩がいて、その先輩からイジめられるようになりました。練習に行きたくなくなり、学校の練習に参加しなくなった時期もありました。
中学生の頃って、1つ2つしか年の違わない先輩がやたら大きく感じます。大人になった今とは感じ方が全然違うんです。そんな先輩がイジめてくるんです。卓球が大好きでずっと続けたいのに、もう本当に怖くて、嫌で、逃げ出したくて。
純粋に卓球が好きで練習を続けていただけなのに、なんでこんな目に遭わなくちゃならないんだ! 真面目な人間が損をするのか? …そんな思いが心の内を占める、悶々とした日々を過ごしていました。
しかし、そんな日々を変えてくれるものと出会ったのです。それは、窪塚洋介さん主演の"ピンポン"。観たことのある方も多いと思いますが、卓球に対するイメージを変えた大ヒット映画です。
ちょうど練習を休んでいるときに上映されていたので、映画館で何の気なしに観たのですが、
「勝利を望むのであれば、それを成し遂げるための努力が必要だ」
「頂点に立たなければ見えない風景というものがあるんだよ」
「この星の一等賞になりたいの、卓球で。オレは」
努力、頂点、一等賞…作中で使われているセリフに心を打たれました。何かが吹っ切れた気がしました。
僕は戦うことにしました。卓球もそうですが、その時は逆境に負けたくなくて、そのために努力しようと思ったんです。イジメはつらかったけど、何をされても卓球が好きだという一心で部活を続けました。
その後、先輩は部活をやめました。
高校ではIHで団体16位、大学では社会人卓球選手権大会で団体32位と、頂点や一等賞にはなれなかったけど、「努力して結果を出すことが大切なんだ」という、当たり前だけど大切なことを教えてくれたピンポンにはすごく感謝しています。
僕に多大な影響を与えたピンポンの言葉は、今でも卓球のみならず、仕事や生活の中心にいます。
Sさんに勧めてもらった卓球。楽しいという単純な理由だけで続けた卓球。中学進学時に卓球を選んだことで経験した事が、僕のなかでは人生の大勝負のひとつです。
サッカーから卓球、卓球から今ではパチンコと徐々に球が小さくなっていますが、楽しい、好き、やりたい、をやる。これが人生において一番大切なことなのではないかと思っています。なので、これからも精一杯パチンコしていきます。
あ、今でも高校や大学時代の仲間と集まって卓球してますよ。もう完全に趣味ですけどね。