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- 打チ人知ラズ。(わし)
リーチ名って!?
今年に入ってから大海3を打つ機会が増えている。それは単純に面白いからなのだが、他の機種より良く回るという現実的な理由も大きい。そして「タイムスリップモード」の懐かしさも稼働を増やす理由の一翼を担っているだろう。
大海3では、海物語シリーズの元祖である「CR海物語3R」の図柄を選択できるということはご存知だろうか? この3Rはわしが2000年前後に最も打ち込んだ機種ということもあり、その感傷に浸るわけでもないのだが、大海3を打つ場合は基本的にタイムスリップモードを選択することになる。
この3Rについて軽く触れておくと、当時のホールにおける占有率は凄まじいものがあった。当時のパチンコの人気を独占していたといっても過言ではないほどであったし、現在に至るまでの海シリーズの礎になっているという意味においても、まさに名機中の名機と言える。
大海3のタイムスリップモードの"ラグーンステージ"でも堪能できる3Rと共通のリーチは、マリンちゃんリーチと珊瑚礁リーチ。まぁこれらは海物語のご先祖様となる「ギンギラパラダイス」時代から存在していたものだが、いずれにせよパチンコ史に燦然と輝く名リーチと断言できるだろう。
ちなみに、3Rにはギンパラ時代の催眠リーチが進化した「波紋リーチ」というものもあった。これは、突如赤背景になり水たまりが波打つような画面に切り替わるというものなのだが、タイムスリップモードにこの波紋リーチが搭載されていない点だけが少々残念である。
この波紋リーチのことを大阪時代の常連仲間である柴田さんが、「今な、温泉みたいなマークが出てきたけどハズれてん」といったボヤキを炸裂させていたのが懐かしい。
現在では発展したリーチ名が誰にでも分かるようにタイトルとして表示される台まであるし、バラの儀式などでは、選択している推しメンが「激アツのチームサプライズSPSPリーチだよ!」といったアナウンスまでしてくれるのだからとてもリーチ名が分かりやすくなっている。
しかし3R当時はそんな配慮はなされていない。今では当たり前の小冊子もインターネットもまだ未発達の時代だし、ホールが演出フローなどをラミネートした物を各台に備え付けるなんていうことも一般的ではなかった。
すなわち、正式なリーチ名などはパチンコ雑誌を読む人ぐらいにしか知られてなかったのだ。故にホールに集う人々は見た目から自分なりのリーチ名を語っていたフシがあった。
だから柴田さんが波紋リーチを自分なりの印象で語ることはごくごく普通のことなのだが、それにしても波紋の見た目を「温泉」に例えるセンス(ボケ)には大爆笑した。大阪のおばちゃんのお笑いセンスは日本が誇るべき大衆文化だと痛感する。
ちなみにわしは、"温泉"を言い得て妙と思いつつも「そんなわけあれへんやろ」と呟きながら温泉以上のボケを思いつくことはなかったことを告白しておく。この辺りがわしの至らなさなのだろう。
それが悔しかったからというわけではないが、ある時柴田さんに、「あれ温泉とちゃいますよ? 本で勉強したら"波紋"って書いてありましたよ」とツッコミを入れたことがあった。すると「そんなもんはな、どうでもええねん。あんなもん温泉にしか見えへやろ~。さっきのは小魚も出とったのになんで当たらんの? ホンマ腹立つわ~」と軽く逆ギレされてしまった…。
いずれにせよ当時はそんなものであったのだが、そのように各々がリーチ名を持っていたとしても、そもそもリーチの数自体が少ないから何のことを言っているのか迷うことはない。海については先ほど挙げた3つのスーパーリーチとノーマルリーチ、そしてプレミアのサムリーチが全てのリーチだったと記憶している。
とはいえたったそれだけのリーチでも、何もなし&泡&魚群の予告を組み合わせれば発展パターンは相当数になるため単調になることはない。さらに言えばリーチバランスも秀逸だったから十二分に楽しめたのである。
そんな記憶を思い出しながらタイムスリップモードを打っていると、黒潮リーチのスロー時にサメ図柄が異様な早さで尾ビレをバタつかせているのが気になった。現代の海物語の図柄は全体的に丸みを帯びているから、3Rの図柄は角張って見えたのかもしれない…。
余談ながら、これを書いていてあるメーカーの某氏から聞いた話を思い出した。10年以上前のある機種のことなのだが、検定を通過した段階になってもその機種で最も強いリーチに名前がついていない。しかし名無しのままでは販売用のカタログ作りができないから、広報が見た目で判断して適当にリーチ名をつけたことがあったそうだ。
その経緯を語った某氏は、「まあそれが僕なんですけどね」と種明かしをしてくれたが、適当とは言いながらも言い得て妙なネーミングで、「さすがにプロだな」と感心したものだ。
しかし、一方で「それにしても適当に過ぎやしないか?」とも思う。当時はタイアップ物でない機種が多かったという事情があったにせよ、「そんな適当なん?」と思い、率直に聞いてみた。すると、
「開発はリーチの見せ方に重点を置いているから名前なんて気にしてないんですよ。リーチも予告も"何をどこでどうやって見せるか"しか考えてないから、名前は全部僕ら任せになることも多いです」
とのことだった。これはメーカー独自のオリジナルコンテンツが主流だった遠い昔の話で、タイアップと人気シリーズの続編が主流化している現在では当てはまらない逸話だろうが。
いつか海物語を超えるようなオリジナルコンテンツが出てくるのだろうか。早く見てみたいものだ。