松真の世界
〜16講義目:ビンゴ〜

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※パチスロ極Z2018年10月号に掲載されたものを転載しています


【ビンゴ】びんご

一般的な認識

手元のカードに書いてあるマス目の数字と特定の方法で抽選された数字を一致させ、いかに早く縦・横・斜めのマス目が繋がるかを競うゲーム。結婚式の二次会などでよく行われる。



主な使用例
    

「ビンゴ大会でプレステ当たったわ」

1度ハマったら2度と抜け出せない

今あるパチスロのなかで最も怖いパチスロは何かという質問をぶつけたら、大半の人はゴッドと答えるに違いない。分かる。ゴッドは怖い。回らないし当たらないし、大谷がホームランを打つペースと同じくらいの頻度で天井に連れて行かれるわけだから、そりゃあ怖くないわけがない。

しかし、僕にとって最も怖いパチスロはゴッドではない。ビンゴである。ゴッドの怖さを10とするなら、ビンゴの怖さはジャスト2万。打つたびに開発者に対する憎悪が増大することでおなじみのあのゲーム性は、もはやパチスロの域を超えている。あの台がなければ僕は今頃ガチガチの勝ちキャラだったのかもしれない。あの台がなければ僕は今頃もっと幸せな人生を送っていたのかもしれない。あの台に出会って約4年という月日が経過した今でも、そう思わない日はない。


──僕がビンゴの虜になったのは、数年前のクリスマスのことだった。あの日は「Hooah!するまで帰れない」という誌面の実戦企画があったため、朝から近所のホールでビンゴを打っていた(今も昔も変わらんなぁ)。お昼過ぎくらいだっただろうか。あっさりHooah!が発生して666Gの上乗せに当選したかと思えば、そのBC中に究極Hooah!が発生したのである。究極Hooah!とは、発生した時点で1000G以上の上乗せが確定するまさに究極のHooah!のこと(後告知演出として発生する可能性アリ)。その時は2回カウントアップが発生して3000Gの後乗せが出てきたので、実際は初当たり時に3666Gを上乗せしていたということになる。1回の当たりで3666G、すなわち万枚確定。結局、この一撃で約1万5千枚もの出玉を獲得することに成功した僕は、一瞬にしてビンゴの虜になったのだった。

しかし、そのクリスマスプレゼントが壮大な撒き餌であったことに気付くまで、さほど時間はかからなかった。

その日以来、事あるごとにビンゴを打つようになった僕は、数日後にも同じホールでビンゴを打っていた。良く言えばビンゴ大好きおじさん、悪く言えばビンゴ中毒者。1度味わった快楽を忘れられないという人間の性質が、僕にあの高揚感を忘れさせてくれるはずはなかった。当然、そんな簡単にHooah!は発生しない。一瞬で万枚が確定するほどのポテンシャルを秘めた上乗せ契機なのだから、それは仕方がないことだと思う。時刻は18時。あのクリスマスと全く同じリズムで一心不乱にレバーを叩き続けた結果、気付けば僕は16万負けていた。

ちなみに、その日は辻さんも隣でビンゴを打っていて、9千枚ほど出していた。申し訳なさそうにドル箱にコインを詰める辻さんの顔に「ノリ打ちじゃなくてごめんね」と書いてあるような気がしたから、僕は心の中でそっと呟いた。「いや、ノリ打ちじゃなくて本当に良かったです」と。

まともな人なら、こんな目に遭った時点でビンゴの引退を決意するだろう。しかし、僕は何を血迷ったのか次の日も朝から同じホールの同じビンゴを打ちに行った。1日に16万も負けたのだから、店長さんもさすがに気を遣ってくれるに違いない。そう思いつつ、僕はまたしても一心不乱にレバーを叩き続けた。結果は9万負け。前日の16万負けと合わせると、2日で25万負けである。もう1度言う。2日で25万負けである。それ以来、僕がむやみやたらにビンゴを打つことはなくなった。


あれから数年。もう2度とあんな目に遭うことはないと思っていたのに、先日、パチスロ必勝本の一機打ちという企画(5000G消化 10万負けまで自腹でひたすら1台を打ち続けるというアホ企画)で久々にビンゴを打つことになった。正直、あの悲劇のことはもう忘れかけていたから、恐怖心はそこまでなかった。むしろ久々にビンゴを楽しみたいとか、Hooah!させまくって2万枚出したいとか、そんなようなことばかり考えていたと思う。もちろん、結果は10万負け。帰り道、僕の頭の中にはずっとトゥモローネバーノウズが流れていた。「人は悲しいくらい忘れてゆく生き物」というフレーズが、何度も胸に突き刺さった。

こういう経験を積んできて改めて思うことは、やはりビンゴ以上に怖い台はこの世に存在しないということ。それでも僕がビンゴのことを嫌いになれない理由は、Hooah!という謎の言葉にそれ相応の魅力が詰まっているからに他ならない。そして、幸か不幸かこの本が発売される頃にはビンゴシリーズの最新作「スーパービンゴリバース」が導入されている。今までのトータル収支がリバースしてくれるのか、相変わらず負けすぎて胃の中の物がすべてリバースしてしまうのか、ビンゴ中毒者である僕は、今から新たなHooah!を聞けることが楽しみで仕方ない。




リバースが5.9号機で良かった…(松真ユウ)。